写実的でありながら優しさと柔らかさを感じる作品。女性工芸作家が創造する台湾の自然をテーマにした彫刻ワールド。
こんにちは、台北ナビです。台湾の人気No.1美術館・博物館はなんといっても「故宮博物院」。しかし、小さなギャラリーにも素敵な作品はあるんです。今日は台湾の女性芸術家・呂美麗の作品が堪能できる「呂美麗精雕芸術館」で彼女の繊細な世界に触れてきました。
今回おじゃましたギャラリーは台北から車で1時間あまりの宜蘭県礁溪に位置しています。よっぽどの美術ファンでなければ、わざわざこちらを目当てに宜蘭まで…とはならないかもしれません。が、なかなか素敵な作品が見られるんです!宜蘭に行く予定のある方はぜひとも、プランに組み込んでみてはいかが?
台湾を代表する工芸作家
呂美麗先生
1965年、宜蘭県で生まれ育った呂美麗は若き日を商業広告デザインの分野に従事します。その後、彫刻・ガラス工芸などを学び、独自の創作活動を開始。次第に作品は評価され、台湾各地・中国本土で個展を開催するまでに。また、台湾内の各種展覧会では数々の作品が入賞をはたすなど、今では台湾を代表する工芸作家の一人として活躍しています。
琉璃の流れ
①木をくりぬいた型を作り、シリコンで固めます
②シリコンへろうを流し込む
そんな彼女が創る作品は地元・宜蘭の自然にちなんだ作品がメイン。自然界に生きる草花や昆虫を生き生きと形にしています。そしてそれは、女性ならではの細やかで繊細な仕事ぶり。葉の裏の葉脈や昆虫の足先などは、本物そっくりで、驚きます。まさに、見る人を魅了する作品なのです。
生活観あふれる作品も女性ならではの視点なのでしょうか?スニーカーやザルに入れられた布巾など「これは本当に彫刻なのか?」と自分の目を疑ってしまうほど。布の持つ素材感・柔らかさといったものを、見事堅さのある木によって表現しています。とっても写実的でありながら、優しさの感じる作品は彼女の人柄をも映し出しているかのよう。
また、中華系の作家らしく、食べ物や仏像をテーマにした作品もあり、見ていて厭きません。木彫・彫金・ガラス細工と、それぞれの作品に違ったカラーがあるのも、おもしろいところです。
規模はさほど大きくありませんが、作品ひとつひとつをじっくり・ゆっくり見てまわれば、30~40分は欲しいところ。「故宮」のように混雑がないので、近づいて、細かなところまで、ジ~ッと見ることができるのもうれしいところです。
館内には彼女の作品が購入できるショップもあります。天然石を用いたデザインも素敵なアクセサリーなどが売られており、こちらは数千元程度で買えるものも。実際に店員さんが作品を解説してくれたり、正しい天然石の見分け方を教えてくれたり…と、街中のちょっと怪しいショップで怪しい品物を掴まされちゃうような心配がないのもよいところです。また、DIYで手作り(ストラップ250元)もできます。旅の思い出に手作りしてみるのも楽しいかもしれませんね。
それから、ショップのとなりにはカフェが併設されています。ギャラリーの入場チケットと引き換えにコーヒーまたはお茶がいただけるので、ゆ~っくり作品を見学した後は、こちらでの~んびり余韻に浸るというのもオススメです。
以上、台北ナビでした。