素朴な木造建築が里山の落ち着いた風情を盛り上げます。お庭で散歩、友人との語らいにぴったり。
こんにちは、台北ナビです。今回ナビは台北から車で2時間ほどの所にある苗栗という場所に来ています。ここは緑が多く、休日をゆったり過ごすにはとてもいいエリア。その中で、テーマ施設として著名な「華陶窯」をご紹介したいと思います。苑裡鎮火炎山の山腹に位置する華陶窯は、陶芸の作業場として開かれた場所を観光用に開放した所で、創作室、柴焼登窯、陳列室、屋外作業棚、花壇などのエリアに分かれています。どこか懐かしい…そんな建物が心を和ませてくれます。
オーナーの思い入れ
創設者で華道家である陳玉秀さんと旦那様の陳文輝さんがオーナーさんです。1984年に草が茫々と生え、火炎山の赤土が広がるこの地に窯と仕事場を作りました。10数年という時間をかけ、土地を整えました。どんな建物にするか、どんなお庭にするか・・・今もずっと考え続けているとか。一番大切なことは昔なつかしい雰囲気を残すこと、自然がいきいきと存在していること・・・。「華陶窯」内のすべてのものに陳文輝が携わっているそうです。こちらでは人と自然が対話している、そんな気がするから不思議です。しかも建物の屋根には瓦が使われており、オランダ時代の赤レンガとの相性がバッチリ!台湾の歴史を表しているかのようです!
都会に住んでいる人たちは、田園風景に憧憬のようなものをもっていますよね?休日にこちらのようなのどかに閑談し、食事ができる庭園で過ごすのが好きな台湾の方も多いそう。広い敷地なので、もちろん子供たちも水を得た魚のように飛び回って遊べます。
花がいっぱい!
「華陶窯」という名前にふさわしく、こちらは四季折々のお花が楽しめるのも見どころのひとつ!陳さんが厳選し、いいと思ったお花だけを選んで植えるそうです。ナビがこちらを訪れたのは2月。桃の花やカエンカズラなどを見ることができました。また建物の中にもお花がさらっとセンスよく飾られていて思わず花瓶や一輪ざしを買いたい衝動に駆られてしまうほど!
センスのよい陶器の数々
陶器と言えば鶯歌!鶯歌が好きな方ならきっとこちらも好きになるはず!こちらは陶器の数こそ多くないものの、センスの良さが光っています。こちらで作られている陶器は2種類。ひとつは電気工芸窯を使って焼き上げるもの。これは見学者の方が体験製作したものを焼く時に使います。もうひとつは相思木柴(アカシア)の薪をくべて焼き上げるもので「目仔窯」と呼ばれています。製作に時間と手間がかかるため1年に5回しか窯起こしをしないのです。薪の状態や温度の関係で同じ様には絶対焼き上げることができない、とっても味のある器が焼き上がります。
お土産ショップにこちらで焼き上げた陶器が売っています。陳玉秀さんは華道家ということで花瓶や一輪差しの品数が多いなぁ、と思っていたら、日本のお抹茶セットまで売っていました。お茶の心得もほぼないナビですが、購買意欲がぐ~んと上がってしまうほどステキでした。
ご飯も食べられます!
「割稲仔飯」
こちらでは「割稲仔飯」という台湾料理のブッフェがいただけます。この「割稲仔飯」はその昔お米の収穫時に神様へ豊作の感謝の心をこめて作られ、収穫を手伝ってくれた友達や旦那様に振る舞われました。大きな器にまず白いご飯をよそい、その上からおかずをのせていきましょう。豚の角煮はとっても美味!でも日によっておかずの種類は変わるそうなので、もしかしたら豚の角煮はないかも・・・。周りの方は米粉(ビーフン)がおいしい!おいしい!と言っておかわりしていました。もちろんブッフェですのでお腹いっぱいになるまで食べましょう♪そして気付いた方も多いと思うのですが、ここではこちらで焼かれた器でご飯が食べられるんですよ~。手にいい感じに収まり、食べやすい!美しさと機能性を兼ね添えています。
ステキカフェ
何やら太鼓と鐘の音が聞こえてきます。その音に誘われ入ったのが「相思茶館」というステキカフェ。カフェ入口の前に太鼓と鐘が釣り下げられていました。時間になると音を奏でるようです。ふと入口付近で振り返ってみると緑の向こうに苗栗の街並みが見えました。さてカフェに入りましょう。カフェというよりは小さな個展会場のよう。それほどおしゃれ感に溢れています。こちらの陶器も売っていますよ。席はイスに座るタイプと地べたに座るタイプの2種類。どちらも陶器とお花がセンスよく飾られています。ナビはちょっと時間がなくてこのカフェに長居はしなかったのですが、次訪れる時は「相思茶館」でゆっくりしたいなぁと思いました。
自分だけの器を作っちゃいましょう!
プロの作る器もいいけれど、自分で作れるのはまた乙!!ナビは残念ながら時間の関係上陶芸にチャレンジできなかったのですが、こどもたちの焼き物研修にもこちらがよく利用されるとのこと。ということは不器用ナビでもきっと大丈夫!!なんとか形になるはず!!次回は是非是非!
オーナーの陳さんは言います。「もしもすべての人が自分の土地を慈しむと、この世界に荒れ果てた場所は一寸たりともないはずだ」と。その言葉はこの土地に根付き、愛しているからこその言葉ですよね。そういう静かに熱い思いのこもったこちらに訪れるとなぜか清々しい気持ちになるのはなぜだろう。日常の中で忘れてしまってはいけない何かがこちらにはある!そういう気がします。
ナビは、縁あってこの場所を訪れる機会があったのですが、車でアプローチしないとなかなかいけない場所にありますので、苗栗の近くへ行く予定があったら、台湾人のお友達にでも「華陶窯へ行ってみるのはどう?」と提案してみてはいかがでしょうか。