台湾南部3000m級の三山「塔關山」・「關山嶺山」・「庫哈諾辛山」は、巨木あり岩ありの登りごたえある山々!台湾百岳のこれら三峰を名付けて「南横三星」といいます!日本との関わりもある個性的な山々へGO~♪
塔關山へ登る道沿いにあった巨木。台湾紅檜
こんにちは、台北ナビです。
コロナ禍もおさまってきて久しぶりに台湾の山を登ってきました。
今回登ったのは、台湾南部、玉山國家公園内にあり南横公路沿いにある3つの山。巨木の中を登り、周囲の3000m級の山を遠望できる素晴らしいコースでした。巨木というと阿里山が思い浮かぶ方も多いと思いますが、南横公路周辺は道路沿いやちょっと登っただけでも当たり前のように巨木が見られるのです!
登山コースと合わせてご紹介します。
南横三星は南横公路沿いにあります
南横公路 崩れた山肌が見えます。まだ復旧工事は続けられています
台湾南部を東西につなぐ南横公路は台湾三大横貫道路の一つです。
古くは日本統治時代1921年から原住民の人々が使っていた東西を結ぶ山道を原住民監視のため10年かけて整備をしました。戦後も道路整備は続き1972年に全線開通しましたが、2009年8月のモーラコット台風(八八水害)により道路は寸断され、特に山脈が走る高山地域、高雄側の梅山口と台東側の向陽区間の損傷がひどく長い間不通でした。
13年かけてやっと2022年5月に全線開通したので短時間で登れる三星になりました。
海外ツーリストなら、地元の登山旅行社を利用してみて!ナビは「野訊國際登山旅行社」のツアーを利用しました
野訊國際登山旅行社 今回ツアーの案内チラシ
南横公路は整備された道路ながら道幅の狭い箇所もあります。梅山口―向陽間は通行時間の規制もあり、前日の宿の手配等、外国人には少々ハードルが高い。また「庫哈諾辛山(クハノシン山)」は生態保護地域で國家公園に入山申請が必要です。(定員1日100名!)
ナビは台湾で登山を専門に扱う野訊國際登山旅行社のツアーに参加しました。登山専門ガイドさんがつき、安全登山はもちろん、周囲の自然環境などの説明もしてくれます。交通機関、宿泊手配を全部やっていただけるので利用する価値大だと思います。
野訊國際登山旅行社
http://www.yx.com.tw/
向陽管制點 手前
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7時開門を待って多くの車が並んでいます
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いよいよ出発です
今回の集合場所は、高鉄「左営」の駅舎4階にある駐車場。エスカレーターで4階まで上がると大きな駐車場がありました。20時半、参加メンバー14名とリーダー、サブリーダーが集合。夜の道を北東方面、宿泊地である寳来温泉に向かいました。
エスカレーターから高鉄「左営」駅内がよく見えます
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駅舎4階は大きな駐車場でした
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リーダーの王さん 塔關山登山道に生えている笹竹を剥いています。中の芯の部分が食用になると説明。食べてみたら柔らかく野性味がありました
今回のガイドさんはリーダー王さんとサブリーダー江さん。
王さんが先頭、最後を江さんが守り、遅れる人をサポートしてくれました。
初日のお宿は寳来温泉
寳来温泉は、高雄から高速道路と一般道路を使い約1時間半の山地にあります。南横公路の山に入る起点でもあります。
寳来温泉の宿「芳晨温泉渡暇村」。団体客も入れる大規模な宿でした
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朝食は中華メニュー。コーヒーや豆乳もありました
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朝食時間は6時。食事会場前で待つ間、宿の敷地内に地元の農家が果物や野菜を売りに来ました。旬のライチとレンブがありました。
ライチ 最盛期は6月上旬~7月上旬 瑞々しくて甘い
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レンブ 5月~7月、11月~3月収穫 皮ごと食べられリンゴと梨の中間のような味
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第一座目は塔關山(3222m)
左側が登山口 道路沿いにあります 沿道には巨木が並んでいます
寳来温泉から南横公路を北上、さらに東に向きを変え約1時間半かけて塔關山登山口に到着。
簡単な準備体操をした後、8時10分頃登山開始です。
今回は3つの山を登ります。案内板地図に各山の位置があります。初日に塔關山と關山嶺山、2日目にクハノシン山を登ります。
登り始めます。初めからかなりの急こう配。ゆっくりペースを作りながら登ります。
急こう配に息が上がります
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周囲に巨木が登場してきました!
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30分ほど登ったあたりで、さらに巨木が目立ちだしました。見事な台湾紅檜です。樹齢400年。
さらに少し登ったところに「大關山駐在所」という看板がありました。1932年ここにあった駐在所が布農(ブヌン)族に襲撃されました。「大關山事件」です。布農(ブヌン)族は勇猛なことで知られ、統治政策として彼らの武器を取り上げられ狩猟ができないことに反抗して蜂起したと言われています。
この時代、台湾各地で原住民による反乱が起きました。
登山口から1時間経過した地点で大休憩。少し平坦で見晴らしが良い場所です。この地点で標高2822m。塔關山頂上までさらに400m登ることになります。
日本の山なら森林限界になる場所も多いのに、台湾は南国。豊かな木々が生えています。明日登るクハノシン山が見えました。
さらに急な道を登ります。高度が上がるにつれ、大きな木が少なくなり、その分眺望が良くなります。
登山口から2時間半で登頂しました!
山頂から南西側に鷹子嘴山3262m、關山北峰3429m、最奥に関山3668mと続く
周囲360度眺望が開けています。北側には玉山も見えます。
しばらく皆で眺望を楽しみ、写真撮影をしてから下山しました。
帰路は来た道を戻ります。
記念写真をパチリ
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向陽山と大断崖(看板表記は「関山大断崖」)
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南横公路がはるか下に。本日宿泊する利稲集落も見えます
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玉山(中央左奥)
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第二座目は關山嶺山(3176m)
隧道後ろの道を登山者が登っていきます
登山口道路で待っていた車に乗り、10分ほど東に移動。大關山隧道(615m)を抜けた地点は南横公路の最高所(標高2722m)。雲海を見る人々のための駐車場があります。ここも絶景でした。
少し前まで通行不可でしたが、今では誰でも車で来られます。
駐車場からトンネルの上を通り岩だらけの關山嶺山にとりつきます。石のガレ場を登ります。傾斜30度以上ありそう。午前の塔關山が登り片道2.5㎞150分でしたが、關山嶺山は登り片道1.5㎞120分かかります。それだけ登りにくい山ということです。
大岩をロープで這い上り、30分ほど岩稜尾根に出ました。強い風!風の通り道です。さらに進みます。木も生えていますが基本的に岩が目立つ山です。
やっと3分の2の地点までやってきました。時折ロープがある岩道です。
登りはじめて2時間、關山嶺山登頂!時間的には短い歩程ですが、かなり厳しい登りでした。
3000m越えて酸素濃度が薄いこと、高所順応が不十分なこと、午前の急登で体力を使っていたからでしょう。
下山は往路を帰ります。
午後になりガスが発生してきました
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ガレた岩の道から駐車場が見えます。まあ、急なこと
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2日目の宿は、利稲集落の民宿
今回登山の宿泊は山小屋ではありません。食事やお風呂寝具も通常の旅行と同じです。はじめて山小屋泊りのない登山ツアーでした。快適~。
利稲集落は台東側、向陽口から下ったはじめての集落です。ブヌン人の集落でお茶や高原野菜で生計を立てています。
たまたま泊った日は2023年6月22日端午節の日。祝日で利稲集落でもお祭りのような催しが行われていました。
集落の中心部にある半野外のレストランで夕食
夕食は、集落の中心部の陳大姐名産店で中式合菜夕食をいただきました。
キャベツなどの野菜料理は新鮮でおいしい。鶏肉の酒蒸しや小エビのから揚げ、魚の甘酢あんかけ……これでもか、と出てきます。
なぞの料理は、豚バラ肉のあんかけ煮?肉をでんぷん質のプリプリの皮で覆い、あんかけがかけられていました。シメのデザートはレモン味の愛玉(地元特産)とスイカ。現地ならでは食事をいただきました。
なぞの豚肉料理
2日目 第三座 庫哈諾辛山(クハノシン山)(3115m)
橋の駐車場にある地図
朝6時に利稲民宿を出発、7時半に登山口である進涇橋(標高2400m)に到着しました。
進涇橋は1971年完成、公路開通時に殉職された蘇進涇氏の名前を記念してつけられました。2009年の台風で流されましたがやっと復旧しました。
橋の駐車場。奥についている道が登山口。はじめからかなり急です
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ハシゴ道もある
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ずっと急な木の階段道が続き、息があがります。しかし周囲は緑多く陽射しをさえぎってくれるのでそれほど辛くありません。
どんどん巨木が出てきて目を楽しませてくれます。
昨日の塔關山も巨木が見られましたが、クハノシン山へ上がる道のほうがより多くの巨木が見られます。
巨木は、台湾紅檜、鉄杉(ツガ系)、雲杉(モミ系)の3種類。鉄杉が左右に広がるのに対し、雲杉は上にまっすぐ伸びると、ガイドさんに教えてもらいました。
中国語がわからなくても何とかコミュニケーションは取れるし、色々学べるのが専門旅行社に任せるいいところ!
中間地点・庫哈諾辛山屋に到着!
登山口から約2時間で山屋に到着しました。この山小屋は避難小屋として使われます。
この地点が庫哈諾辛山と関山との分岐であり、関山へは小屋に泊まって行くことができます。厳しい道らしい……。
左側のピークが関山
山屋を少し登ったピークは素晴らしい眺望です!南側に関山(3668m)北東に向陽山(3603m)が堂々そびえています。
クハノシン山が目の前に
では、いよいよ庫哈諾辛山に向かいましょう。
山小屋ピークからしばらく下り、また登り返します。
登り返しの途中。玉山(左側の山)も見えます
クハノシン山登頂!
11時半登頂。登山口から3時間45分。キツイ登りがあったので喜びもひとしおです。山頂には大勢の人がいて記念撮影は順番待ち。
帰路は、来た道を戻ります。庫哈諾辛山山頂からいったん下り、もう一度登り返すと庫哈諾辛山屋があります。この登りがきつかった~。
登り返しの道
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山頂近くにムラサキセキナン・ツツジの群落がありました
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山屋からはずっと下り。ゆとりで巨木ランドを堪能しました。
進涇橋が見えてきました
クハノシン山途中にある台湾紅檜
南横三星はこれまで馴染みの薄い山々でした。10年以上公路が不通だったからです。やっと普通に登れるようになり、皆さまにも挑戦していただきたいです。
急登・巨木の塔關山、岩多くロープ登り下りが楽しい關山嶺山、巨木、花、眺望を堪能できるクハノシン山(巨木と眺望を楽しむだけなら山屋まで、登り2時間くらいです!)
どれも個性あふれる三星でした。
以上、台湾の山大好き台北ナビ(木村明惠)でした。
(取材日:2023年6月21日~6月23日)