台湾好行「99台江線」に乗って、海と暮らす台南七股で大自然に触れる旅が楽しめます
写真提供:李明華
こんにちは、台北ナビです。
台湾のシャトル観光バス「台湾好行」にはもうご乗車になりましたか?台湾各地の駅などを始点に周辺の観光スポットを中心に停車する便利なシャトル観光バスです。今回は、台南公園・台鉄「台南」駅から出発する「99台江線」に乗って、台南市七股区の龍山地区を中心に旅をしてきました。
七股潟湖というラグーンに面し、海とともに栄えた街をのぞいてみました。では、行ってきましょう。
利用の際は予め時刻表を見て予定を立てておきましょう
悠遊卡(EasyCard)、一卡通(iPASS)どちらも使えます。乗車時と降車時、両方カードリーダーにタッチしてください
「99台江線」は通常、台南中心部から赤崁樓や四草生態文化園区などを経由し七股塩山までを結んでいます。平日は一日3往復と、ちょっと使い勝手が悪いのですが、休日や冬休みと夏休み期間中の平日には8~10便のバスが走っています。
さらに、毎年10月から翌年4月には、渡り鳥で絶滅危惧種のクロツラヘラサギが飛来する曾文渓の河口まで延長運転されるバスがあります。
毎日ボランティアスタッフが群れのいる場所の方向に双眼鏡をセットしてくれています
という訳でナビは早速「99台江線」に乗って終点の「黑面琵鷺賞鳥亭」にやってきました。クロツラヘラサギとは、日本を含めた東アジアから東南アジアにかけて生息する渡り鳥で、絶滅危惧種に指定されています。
2018年1月に世界各地で同時に行われた調査では、4000羽弱の生息が確認されました。そのうち、台湾は越冬するクロツラヘラサギが最も多く飛来する地域だとされ、台南、高雄、嘉義で観測されています。
ナビが持っていったカメラではこれが限界。中央とその左側に群れているんです……
一般的なカメラレンズではあまりにも遠くてしっかりと撮影するのは難しいのですが、実はスマートフォンのカメラを起動させ、この望遠鏡を通してみると、貴重な姿をカメラに収めることができますよ。
台江國家公園管理處(事務所)
台南市安南區四草大道118號
(06)284-2600
8:30~17:30
台湾南部の経済を支えた製塩業の片鱗を見る
白い山。ちょっと煤けていますが、インパクトは絶大です
続いてやってきたのは七股塩山です。ここは日本統治時代に建設され、2002年まで運用されていた台湾最大規模の製塩場で、高さ16.4メートルの塩でできた山があります。堆積した塩がいつしか固まって現在まで残っているもので、山の総重量は3.9万トン。平坦な土地に突如現れる白い山は、一瞬自分の目を疑うインパクトの強さです。
売店にはお客さんが絶えずに並ぶ人気商品です
そしてこちらの名物は、しょっぱい豆花としょっぱいアイスキャンディー!
いずれも売店で販売している「塩」ゆかりのスイーツです。豆花はそれ自体は普通のツルツル食感の豆花なのですが、シロップがよくあるそれとは違い、甘さ控え目で大人向けといった感じ。あんこの程よい甘みがマッチして、ぜひ試してもらいたいです。
一方のアイスキャンディーは、4種類のフレーバーがあり、今回は台湾らしい「烏梅」をチョイス。実際に食べた感じではそれほどしょっぱいという味はなく、そのまま「烏梅」のアイスといったところ。台湾人には蛋黄味(卵クルミ味)が人気だったので次の機会に挑戦してみたいと思っています。
七股鹽山
台南市七股區鹽埕里66號
06-7800511内線49
http://cigu.tybio.com.tw/
続いてのスポットは龍山集落。始めにも言及しましたが、龍山地区が面する七股潟湖(ラグーン)は、簡単に言ってしまうと、北海道のサロマ湖や秋田県の八郎潟のように、湾に砂がたまり、外海とほぼ分断された状態になってしまった場所。波が穏やかなので、養殖が盛んです。
そのため、龍山集落は漁業に携わる人が多く、虱目魚(サバヒー)、台湾鯛(ティラピア)、蚵仔(牡蠣)が龍山の3つの宝だといわれています。
街を歩いているといたるところに転がっている牡蠣の貝殻。てっきり収穫した後に放置された廃棄物だと思っていたのですが、全くそうではなく、これから海に運ばれて、「牡蠣の寝床」になるんだとか。牡蠣の赤ちゃんである幼生は一定の大きさになると何かにくっつく習性があり、天候や海流のタイミングを見計らって海に運ぶと、幼生がここにくっつき、自然に大きくなるそう。
また、水深によって養殖の仕方が違い、集落の中にある広場には展示もありました。
こちらは水深の深い場所で使う養殖棚
|
|
水深の浅い場所ではこちら
|
見ているだけでお酒が飲みたくなってきます
民家の庭でカラスミを天日干ししているところにも遭遇。特別に見せてもらいました。
機械で乾燥させる場所もあるそうですが、こちらは天日干しにこだわっているそう。大ぶりのカラスミは見ているだけでも美味しそう。ビールが飲みたくなってきます。
龍山で食事するなら絶対に海鮮!
さて、旅行の楽しみはやっぱり食事ですよね。龍山に来たのなら、海鮮を楽しまなきゃ損です!
ただ、台湾で魚介類を食べる時、気になるのはちょっとした生臭さ。ショウガやネギなどの薬味で臭み抜きをしている努力が見られるのですが、どうしても抜けきれない臭いがあるのです。。。しかし、こちらで頂く海鮮類は、とっても新鮮で、甘いんです!そして歯ごたえもプリップリ!いままで食べていた海鮮は何だったのだろうと思うほど、美味しい食材にありつけました。
台北などの大都市で海鮮に挑戦して苦手だった方も、ぜひこちらでリベンジしてください。品質が格段に違いますよ!
美國海產
台南市七股區龍山95號
(06)7872382
エビのボイル。プリプリが最高。甘い台湾マヨネーズをつけて食べます
|
|
サバヒーの背のフライ。外はカリカリで中はジューシー。食感が楽しいです
|
海に近い龍山地区。もっとラグーンのことを知ってみたくありませんか?そんな時は船に乗ってラグーン探検に出発しましょう!
ラグーン探検は基本的には団体客のみの受け付けなのですが、個人客も団体客の船に便乗させてもらう形で利用が可能です。
別の船とすれ違いました。手を振るとハニカミ笑顔で応えてくれました。こんなふれあいが楽しいです
|
|
ラグーンに到着しました。牡蠣の養殖棚が見えます
|
養殖棚は当然海中に沈んでいるのですが、杭が海面上まで伸びているので、そこに棚があるのが分かります。そしてその杭は海鳥の絶好の休憩所になっていて、かなり近いところで観察できるのが興味深いです。ちょうど餌を捕まえるために海面すれすれを飛ぶ姿なども見られますよ。
横にながーい島です
そして出航から30分ほどすると、ラグーンと外海を隔てる「長洲」と呼ばれる細長い島に到着。無人島なのですが、ちょうど埠頭が整備されていて、上陸できます。深い木々が生い茂り、穏やかな空間です。
上陸した先には、きちんと木道が整備されていて、散策しやすくなっています
そして、5分ほど歩くと、聞こえてきたのは「ドドドドドド」という轟音。実はこれ、外海である台湾海峡に打ち寄せる波と風の音だったのです。
ラグーンでは波も風もほとんどなく、本当に「穏やか」という言葉がピッタリな場所だったのですが、たった徒歩5分の島があることで、こんなにも環境が違うとは思いませんでした。横に長い長洲は、文字通り防風林としての役割を果たしていたんですね。
打ち付ける潮風に立ち枯れてしまった木
|
|
ウッドテラスも基盤が露出し、立ち入り禁止になってしまっていました
|
ただ、地元の人によると、この長洲は年々細くなっているそう。台湾海峡から押し寄せる波による浸蝕もそうなのですが、これまで川から運ばれてきた大量の土砂が流れてこなくなったため、浸蝕された砂が補充されることがなくなってしまったんだとか。
浸蝕を食い止めるにはテトラポットや大きな堤防を設置するしか方法はないのですが、台湾の海岸線のほとんどがコンクリートで覆われてしまった中、自然の海岸線を残すことは大切なこと。いつかはこの長洲はなくなってしまうかもしれませんが、全ては自然の成り行きに任せるというのが、ここで暮らす人たちの一致した考え方のようです。
絶えず大きな波が打ちつける台湾海峡
|
|
こちらは落ち着いた風景が広がるラグーン側。マングローブが茂ります
|
そして、漁港に戻るとサプライズが!なんと七股特産の牡蠣がプレゼントとして用意されていたのです。通常は生のまま渡され、下船場所に設置されているコンロで焼きながら食べられるのですが、ナビたちは次の時間が迫っていたので先に焼いてくれていました!
何の調味料を足さなくても甘しょっぱい風味が口いっぱいに広がってなんとも贅沢!思う存分堪能してきましたよ!
永順號遊潟湖
台南市七股區龍山里211-7號
0989-153-562
https://yongshunboat.business.site/
台湾好行「99台江線」は、台南市中心部の観光スポットだけではなく、なかなか行きにくいと思っていた郊外の見所にも連れて行ってくれる素敵な路線。台南市中心部から日帰りで遊べる場所ですが、まだまだ日本人観光客の利用が少ない路線なので、ぜひ貴重な体験を味わってみてはいかがですか?
以上台北ナビがお伝えしました!