行くぜ!台湾最高峰・玉山 その高さと美しさで多くの人が憧れる山。日本人グループが登りました
玉山主峰 頂上
こんにちは、台北ナビです。ナビは台湾の自然が大好き!
早速ですが、台湾に3000m級の山がどのくらいあるかご存じですか?なんと268座もあるのです。その最高峰は玉山(3,952m)。かつて日本が統治していた時代、玉山は「新高山(ニイタカヤマ)」という名前でした。富士山(3,773m)より高い山なので「新高山」。
少し古い話ですが、1941年12月日米開戦時の暗号文「ニイタカヤマノボレ」のニイタカヤマは玉山のことです。
頂上からの景色
中華民国になってから現在の名前に変更されました。冬には雪が降り、白く輝く姿が「玉(ギョク)」のようであるとして命名されたそうです。ちなみに次に高い山は北部にある雪山(3,886m)。日本統治時代はシルビア山、次高山と呼ばれていました。
台湾全土の面積は日本の九州と同じくらいですが、そこにこんなにたくさんの高い山がそびえているのです。
野訊國際登山旅行社のツアーを利用しました
玉山国家公園は、入園及び入山申請が必要です。ナビは台湾で登山を専門に扱う
野訊國際登山旅行社のツアーに参加しました。
玉山は台湾一の山ということで現地でも大変な人気。コースの途中にある山小屋/排雲山荘の抽選はとても競争率が高いのです。ありがたいことに外国人枠があり、1日24人まで4か月前から優先的に受け付けてくれます(通常は2か月前)。そんな手続きも慣れている旅行社なら安心。
また外国人が高山を登山するには台湾人のガイドをつけなくてはなりませんし、アクセスも山奥なので大変、登山前の宿泊は……と外国では困惑することが多いですよね。これら煩雑&めんどくさい手配を全部やっていただけるので利用する価値大かと思います。
前泊した東埔温泉の帝綸大飯店と旅行社のバス
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排雲山荘前にて
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いよいよ出発です
2泊3日のツアーは、18:00に台北MRT「古亭」駅出口2に集合。ここから専用バスで台中―水里―東埔温泉まで向かいます。今日は玉山登山口から1時間半くらい離れた宿で1泊し、翌日登山開始です。
集合場所へ向かうとバスがやってきました
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バスの車内の様子
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今回の参加者は11名。ガイドさんは廖(Liao)さん(とっても理知的でハンサム!)です。若い方ですが、ガイド歴7年のベテランです。道中どんなときでも冷静で物静か。きっちりリーダーを務めてくださいました。
高速道路をどんどん南下し台北→東埔温泉の帝綸大飯店まで4時間半くらいかかりました。深夜11時到着。ともかく休みましょう。
翌日は6時起床。快晴。やった~。朝食を摂った後、7:05バスに乗って登山口までまっしぐら。
上東埔停車場から塔塔加登山口へ
8:20上東埔停車場に到着。バスを降りて、徒歩5分のところにある排雲登山服務中心まで歩きます。ここで入山等の手続き(パスポート等のID提示が必要です)を済ませ、いよいよ塔塔加(タタカ)登山口へ進みます。歩けば1時間ほどの距離ですが、私たちは事前に予約してある車で行きました。
登山口
塔塔加登山口に到着しました。塔塔加(タタカ)とはこの地に昔から住む原住民ツゥオ族の言葉で「広大な平原」を意味します。確かにこの辺りは周囲の急峻な山の中にあって比較的平坦な地形です。
台湾の山は地域ごとに異なる原住民の方々が今も住み、独自の文化を守っています。また山小屋に荷物を運ぶ仕事をされる方も多く、ナビたちの登山途中でも何人もの方とすれ違いました。
原住民説明板
歩きはじめます
歩きはじめたあたりの景色。これからどんな光景に出会うのでしょうか。ワクワク
9:05登山口を出発。今日の行程は排雲山荘まで8.5㎞です。道は歩きやすいように少し危ない場所には橋や鎖が整備されています。台湾一の山の国家公園として、国がしっかり管理していることがわかります。
写真で見るように山の中腹を回りこみながらゆっくり高度を上げていきます。適度な広さがあり、歩きやすい道です。でも、ときには鎖につかまり歩く場所もありますので慎重に。
トラバース道を行く
3時間ほど歩き、11:55屋根のついた休憩所のある西峰下山屋(白木林)に到着しました。ここで30分ほどの大休止をして昼食タイムです。さすが、休息するのに良い見晴らしのある場所です。大勢の人が休息していました。
玉山主峰が見えてきましたよ。
現地に設置されていた地図。現在白木林休憩所にいます。
ここでコースの確認をしておきましょう。左側にある塔塔加登山口から点線の登山道を歩いてきました。本日の目的地・排雲山荘まで半分強歩いてきたことになります。明日は排雲山荘から玉山主峰まで2.4㎞を往復し、その後来た道を戻ります。今日の道は比較的なだらかですが、明日歩く頂上付近は急峻です。しかも高度が高いので通常より空気が薄く呼吸が苦しくなるかもしれません。
ここ、白木林の標高は3,096m!周囲は緑豊かな背の高い杉がたくさん生えています。やはり南国ですね。
大峭壁
12:30西峰下山屋(白木林)出発。1時間ほど歩くと大きな岩の場所にやってきました。
大峭壁です。本当に大きく、高くそそり立つ岩で圧巻です。ここは撮影タイムですね。
下から見上げる
大峭壁を後にして、さらにゆっくり高度を上げていきます。ご覧のようにさほど急な道ではありませんが、息が苦しいような気がしてちょっと辛い。あえぎながら排雲山荘までの最後の道を歩きます。周囲の杉の木や鳥の声、はるかに聞こえる水音に励まされます。途中に滝も見えました。3000m以上の場所にいるのにこの木々と水の豊かさ!
排雲山荘
本日はここまで
14:50排雲山荘到着。ガイドさんが受付をしてくれ、その後部屋割り。排雲山荘では寝袋がレンタルできます。また食事も提供してくれます。その分持ち運ぶ荷物が少なくなり楽でした。飲料水としてお湯が提供されています。
建物はきれいで頑丈な造り。定員1日92名。1階にトイレ(内と外2ヵ所。 水洗ですが、ペーパーは流しません)、キッチン、食堂の共有スペース。2階が細かい部屋に分かれた寝室になっています。各部屋は大きな2段の蚕棚形式でそこに1段5人くらいが寝袋を置いて休みます。
排雲山荘の発祥は日本統治時代の1943年。その後2013年6月現在の姿になりました。その前の外観は平屋石張りのようでしたが、現在は明るい茶色の板張りです。
登山口から8.5㎞歩きました
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雲がかかってきました
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台湾のグループの方と一緒に夕食
17:00食事の時間になりました。各人1階の食堂で給仕してもらいます。
テーブルはフリー。ナビは台湾人グループのテーブルに座らせていただきました。桃園市から来られたとのこと。写真の右奥の方がグループのガイドさんで、日本の有名人もガイドされたのだとか。
3日目 頂上アタックだ!
起床1:30。朝食後2:30スタート。外は当然真っ暗。満天の星と天の川がはっきり見えました。
しばらくは森林帯を歩きましたが、どんどん樹木の高さが低くなっていきます。道はジグザグに。岩も多くなってきました。道の上に他のパーティのヘッドランプの列が見えます。頂上300m手前、頭上からの岩石除けのシェルターの場所で休憩。Liaoさんが「向こうに見えるのが阿里山ですよ。」と教えてくれました。はるか下の山塊にいくつかの灯が見えました。
あと900m まだ周囲は暗い
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頂上300m手前にあるシェルター(帰り道に撮影)
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登頂!
太陽が姿を見せはじめました
ここから頂上までは岩や鎖の多い道が続きます。慎重に確実に登ります。
5:05登頂!辺りはうっすらと明るくなってきました。360度の展望。
5:18ご来光です!なんと美しい。
全員の喜びの顔
頂上には昨夜排雲山荘に泊まった他のパーティでいっぱいです。もちろん写真撮影も忙しい。主峰の石碑は写真撮影待ちで大混雑!
皆それぞれに写真を撮り景色を堪能しました。ガイドのLiaoさんの温かいコーヒーサービスも嬉しかったなぁ。
主峰からの景色
隣の小峰から見た玉山主峰
下山
30分ほど頂上に滞在し明るくなった道を下ります。登るときは夢中で登ったのですが、なんと急な岩の道でしょう。
事故は下りで多く発生します。気を抜かず慎重に下ります。先ほど休憩したシェルターまで戻り、少し道がなだらかになりました。周囲の景色を楽しむゆとりも。
昨日排雲山荘から見た玉山連峰の稜線が間近に見えます。
7:15排雲山荘に戻ってきました。1時間25分で戻れました。ここで1時間休憩し、置いてあった大きなザックの整理をしました。温かい麺のサービスがあり、おなかがほっこり。
さあ、登山口まで戻りましょう。来た道を戻るのですが、最後まで気を抜かないように。道は反対側から見ると景色が変わって見えます。
再び白木林の休憩所に来たとき、最後に玉山主峰を振り返りました。良いお天気をありがとう!
白木林から玉山主峰を振り返る
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登山口から1.6㎞の孟禄亭まで戻ってきました
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玉山で見た花
最後に今回玉山で見たお花をご紹介します。玉山シャクナゲが有名ですね。登山口近くのシャクナゲはすでに花の時期を終えたようでしたが、高度が上がると岩の間たくさんの美しいシャクナゲに出会えました。
玉山に至る道
日本の富士山が他の山に比べ別格扱いであるように、玉山も皆の憧れと畏敬を集めている特別な山でしょう。排雲山荘の宿泊や入山申請など他の山より多くの手続きが必要です。排雲山荘はシーズン中なかなか予約が取れないこともあるようです。そんな手続き上のハードルを越えて、玉山登山口にたどり着きました。
主峰に至る道そのものは、排雲山荘までは山腹をトラバースして登っていくので比較的なだらかで歩きやすい道です。最後の急な岩場が厳しく少し訓練が必要かもしれません。
高度が高いので人により高山病の可能性もあるので注意が必要です。歩くときの呼吸の仕方なども学習しました。
帰り道途中の全メンバー
台湾の最高峰に登った達成感や周囲の山の美しさは最高でした。
季節的にもお花が豊かな時期で楽しめました。台風が多い台湾では山のベストシーズンは10月~12月(地域により差がありますが)。
一般の方でもそれなりに準備をしてのぞめば、玉山は登ることができる、とナビは思います。旅の一番の楽しさは、計画・準備段階であるとか。その結果が登頂達成です。
是非皆様も挑戦してくださいね。
以上、台湾の山大好き台北ナビ(木村明惠)でした。
(取材日:2018年5月14日‐16日)