文字の偉大さ、大切を実感!桃園に台湾一大きな惜字炉があることを知っていますか?
こんにちは、台北ナビです。
今日は桃園の第三級古蹟に選ばれている「龍潭聖蹟亭」をご紹介します。台湾人も知る人ぞ知る観光スポット!ナビは「聖蹟亭」とは惜字炉だという事すら初めて知りましたし、そもそも「惜字炉」という存在すら知らないほど無知なのですが……。
今回はガイドの姚奇中さんに、超基本的なことから教えていただきました。
熱~く紹介してくださったガイドの姚奇中さん
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古蹟です!
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台湾、いや中国一“美しい”惜字炉
山門は左右対称!レンガ部分は円の空洞があります!
10年ほど前、中国で発表された「台湾で訪れるべきスポット」ベスト5に選ばれたこともある「龍潭聖蹟亭」。ほかにも「鵝鑾鼻」「日月潭」「赤嵌樓」「北港朝天宮」という数ある台湾の中でも有名&人気を誇る観光スポットと並んで選ばれたというから驚きです。
日本ではほとんど知られていない「龍潭聖蹟亭」が、中国の方々にはとっても人気。その理由は、全中国で最も美しい「惜字炉」と言われているからなんだとか。
日本にはわずかしかないという「惜字炉」。台湾では「聖蹟亭」と呼ばれています。
「惜字炉」は、簡単に言えば、「文字が記された紙(字紙)の焼却炉」です。中国は科挙制度の影響で、文字は崇高で神聖なものだと考えられていました。そのため、その昔、字紙を適当に処分するなんてことはできませんでした。不要になった字紙は誠心誠意心をこめて燃やしたといいます。その際に使用したのが「惜字炉」だったのです。また、焼却した際に出る灰は川に流す(送聖蹟)んですよ!
平面図
「龍潭聖蹟亭」は1875年に建築され、その後建て直し、修復を経て今の姿になったといわれています。
一般的に「聖蹟亭」というと、焼却炉のみが残されているという状態ですが、「龍潭聖蹟亭」はまるでお庭のようなつくりになっているのが、ほかの「聖蹟亭」との最も大きな違い。なんとその大きさは、950㎡もあるのです!
平面図を見てみると凸型になっており、3つのエリアに区切られている(三進といいます)ことがわかります。またここまできちんと左右対称になっている造りも珍しいそうで、その点も貴重だといわれています。
一進から三進へと、徐々に高くなっています。これはとんとん拍子に出世するという意味の「步步高昇」のよう。縁起がいいですよね。
しかも、一進と二進の間にある「頭門」に立つと、「聖蹟亭(爐體)」まで1本の道ができていることに気づきます。手前、中間、奥ときちんと分かれているのに、開放的な造り。そのため、実際よりも広く、奥に深く広がっているように感じるんです。
また、赤レンガのオレンジ色と石の白っぽい灰色の2つの色のみで造られている点が、まとまりのあるすっきりとした印象がして、とても美しいなとナビは感じました。
小さなものにも意味が込められています
では実際、ひとつずつ見てみましょう。どれだけよく考えられて建築されたのかが伝わってくるはずです。
二進へ入ろうと階段を上っていくと、赤い線があります。これから先は神様のエリアという意味。まるで、鳥居のような働きですね。ここへ入る際には心を落ち着かせ、騒がしくするのは厳禁です。
二進には、三進との境に、ロウソクのような形をした柱が2本立っています。これは「石筆(文筆旺柱)」と呼ばれ、筆をモチーフにして作られています。
文字を扱うものにとっての紙と同様に大切であった「筆」を石だけで見事に表現していますよね。このシンボルのひとつともなっています。
二門の肩部分は雲のような形をしており、「雲牆」と呼ばれます。何でも“歓迎”を表しているのだとか。
二門の柱は筆のような万年筆のような……そんな風に見えるのはナビだけ?
二進・三進には「石燈籠」があります。
1925年(大正14年)、新たに作られたのですが、日本的要素が強すぎるということで、最近行われた修繕作業時に、端の方へ移動されました。
端へ寄せられたと聞くと、日本人としてはちょっと悲しかったのですが、この雰囲気にはあまり合わないので致し方ないのかなぁ……。
茶目っ気たっぷりな「獅子」。来る人を歓迎しているような表情に見えますが、左右ちょっと年代が違うような……。
そうなんです。焼却炉(爐體)に向かって左側の「獅子」は盗難に遭ってしまったため、新しく作られたんです。廟の前にいる獅子とはどことなく違う表情をしていて、左側の獅子も右側の雰囲気をよく真似られていますよね。
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格好よく撮影するには、首もとの鈴の位置からどうぞ! |
2つの供桌は大小のサイズがあり、ともに香爐が置かれています。これは主に漢字を発明したとされる「倉頡」の誕生日である旧暦3月28日に学問の神様「文昌帝君」と共に祭事が執り行われる時に使用します。
ナビにとって「倉頡」は漢字の入力方法でお目にかかる程度でしたが、漢字を発明した方だと知って驚きました。また、その「倉頡」を祭る文化がある台湾はやはり漢字の国なんだと改めて実感しました。
※現在は旧暦誕生月の休日に開催されます
独特な形をしている焼却炉(爐體)は、花崗石で作られています。3層に分かれており、一層目は八角柱、二層目は長方体、三層目は六角角柱。
一番上には大きなひょうたんが乗っかっています。ひょうたんは廟などでもよく見られるモチーフ。その音が福祿に似ていること、種が多いことから子宝に恵まれるといい、縁起が良いとされています。
一層目の8面のうち、3面は浮き上がるような彫刻が施してあります。また、彫刻を施していない後方には、小さな穴も見えます。これは、字紙を燃やす際にここから空気を送り込んでいたのです。
焼却炉(爐體)への階段にも秘密が。なんと9段は皇帝だけが使っていい段数だそうで、それよりも少ない7段にしているんだとか
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焼却炉(爐體)を支えている台座の四隅には「螭龍吞腳」と「鮑魚花草」のレリーフが!東西のドッキングになっているのです。伝説では、螭龍は自分の足を食べるといわれていて、邪気を鎮めるといわれています
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二層目は字紙を燃やす場所。空洞になっている場所は黒くなっていて、以前実際に使用していたことがうかがえます。しかし、現在は古蹟となっているため、使用することはできません。字紙を入れる口の左右には「對聯」になっています。
八卦の中に描かれた対極。方角なども考えられているそう
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亭序
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よく台湾人に漢字の書き間違いを指摘されるナビ。見た目はほとんど同じだから、わかってよね~と思っていましたが、今回こちらを訪れて「文字」に対する台湾人の思いが伝わってきて、今までの考えを改めました。
ここまで「文字」を大切にしているのだから、「漢字一文字でもきちんと書こう」「文字を大切に紡ごう」と心に誓いました。
以上、台北ナビがお届けしました。