三坑老街(桃園市)

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100mにも満たない小さな老街! 「永福宮」は必見です

こんにちは、台北ナビです。

今日は台湾の方もあまり知らないという客家の「三坑老街」を紹介したいと思います。

まずは簡単な歴史を紹介!

「三坑子」の「坑」とは、客家語で「小渓谷」や「水路」という意味。「蔗蔀坑」「火劫尾坑」「鴨母坑」という3つの「坑」があったことから「三坑子」と名づけられました。

大漢溪に臨む土地の利を活かし、大溪と内陸の集落の往来を結ぶ重要な貨物輸送の積み換え地点となり、賑わいをみせていた「三坑子」。台北~新北市~桃園を結ぶ「淡水」の最北に位置する埠頭であり、台北の大稻埕まで物資を運んでいたのだとか。

そうなるとどんどん人が集まり、老街には旅社、レストラン、小吃店などの店が作られ、龍潭一繁栄しているといわれるほどでした。しかし、桃園大圳や石門水庫完成後、大漢溪の水位は下降。それに伴い水運は衰退し、あれほど賑わっていた老街も徐々に寂れていきました。

簡単な標識

簡単な標識

サクラビールの文字!右から書かれていますね~

サクラビールの文字!右から書かれていますね~

曲がりくねった道の先に…

老街感が全然ない…

老街感が全然ない…


「三坑老街」の文字を入ったので、ここはきっと三坑老街。でも、本当に老街?と不安になってしまうくらい、道が狭い上に曲がっているので、先が見えません。

これは、客家の知恵で客家の村ではよく見られます。というのも、村が見えないので、この先に人はいないと敵に思い込ませることができるのです。また、ここは新竹のすぐ北にあり、風が強いことで知られる新竹の風の影響を受けないためという理由もあるのだとか。

そのため、何もないじゃないか!と思わず、歩を進めてみてくださいね。2度角を曲がると、老街のメインストリートに出ることができますよ。
先が見えない…

先が見えない…

石壁で敵が来るのを防いでいた名残

石壁で敵が来るのを防いでいた名残

都会ではもうほとんど見られない移動式の八百屋さんにも出会えました

都会ではもうほとんど見られない移動式の八百屋さんにも出会えました

住民の憩いの場!「黑白洗」


老街を入りすぐ左手にある「黑白洗」は、様々なものが洗われていた「洗い場」。上流では野菜など口に入れるもの、中流では服、下流では汚れ物と分けられていたのだとか。

ここに住民が集まり、井戸端会議に花を咲かせていたのですね。洗い場が憩いの場となっていたというのが、水で栄えた土地らしいなぁと思いました。

今ではここを使用する人がいないそうですが、この老街を代表するスポットになっています。
日よけもあります!ここで長時間話していたんだろうなぁ…

日よけもあります!ここで長時間話していたんだろうなぁ…

水が出てきました!!

水が出てきました!!

黑白洗の前の溝蓋がキュート♪

黑白洗の前の溝蓋がキュート♪

赤煉瓦と黒煉瓦


赤煉瓦の老街とも言われる「三坑老街」。

1つ目の曲がり角を抜けると、赤煉瓦の建物が見えてきます。でも、よ~く見ると黒煉瓦も一部あるんです。台湾の方々は赤色が好きなことから、台湾で煉瓦といえば、酸化焼成で焼かれた「赤煉瓦」なのですが、こちらでは北京や江南で見られる還元焼成で焼かれた「黒煉瓦」も見られます。

また、厚さにも注目してみてください。早期の煉瓦は薄く、後期になると厚くなってくるのだそう。
赤と黒の煉瓦が色んなところで見られます 赤と黒の煉瓦が色んなところで見られます

赤と黒の煉瓦が色んなところで見られます

歴史を感じさせる赤煉瓦

歴史を感じさせる赤煉瓦

煉瓦の厚さに注目!

煉瓦の厚さに注目!

伝統的な建物とは…

赤煉瓦の柱と木の梁の建物が軒を並べていますが、ほかの老街に比べると、比較的自由に建てられている印象です。

しかし、伝統的な建物は、両開きの門の両側に窓、そしてその窓の下には棚が設置されているのが一般的。中2階部分には日本の町屋作りで見られる「虫籠窓」のようなものもあります。こういった建物の1階部分の凹んだところ(騎樓)で小吃が売られたりしています。
門の両脇に窓があるのは伝統的!

門の両脇に窓があるのは伝統的!

煉瓦や木の梁

煉瓦や木の梁

レトロな佇まい

レトロな佇まい

窓の下の棚が残されていました

窓の下の棚が残されていました

虫籠窓のようなものが見えますか?客家花布がこの家の雰囲気によく合っていますね

虫籠窓のようなものが見えますか?客家花布がこの家の雰囲気によく合っていますね

暗い時でも看板の文字が見えそうなくらい光り輝いていました~

暗い時でも看板の文字が見えそうなくらい光り輝いていました~


55号の「江夏堂」と黒地に黒に金色の文字で書かれた看板を見ると、ガイドさんは「ここは黃さんのお宅」です!と言い出しました。客家人は「堂號」を今でも家や店に掲げていて、この「堂號」を見るだけで、苗字がわかるんです。

まるで、暗号のようで興味深いですよね。ちなみに47号も「江夏堂」という「堂號」ですよ~!
堂々とした文字

堂々とした文字

47号はこんな感じ

47号はこんな感じ


60号も伝統的な建物なので、じっくり見てみましょう。

門の両脇にある窓には細長い木の蓋が何枚もはめられていますが、よ~く見ると数字が振られています。お店の開け閉め時に、この蓋もつけ外しするのですが、順番を間違わないように、書いているのです。

また、窓の下にある分厚い煉瓦もあまり見られないもの。黒煉瓦で縁取りされているのも希少なんですよ。赤×黒も台湾の方が好む組み合わせで、ちょっぴりレトロな感じがいい味を出していますよね。
机が前にあって見にくいですが、黒煉瓦で囲まれた分厚い赤煉瓦!

机が前にあって見にくいですが、黒煉瓦で囲まれた分厚い赤煉瓦!

漢数字で数字が振っています

漢数字で数字が振っています

ラッパ型の老街


老街をどんどん進むと急にど~んと開け、廟が突き当たりに見えてきます。ちょうどラッパのような作りになっていますよ。

この開けた部分は住民が集う場所。廟に関するイベントや辦桌も執り行われます。

永福台という舞台もあります。神様の方へ向かってある舞台は、台湾あるある。一番の観客は神様なんです。信仰心が強いですよね。
永福台

永福台

廟側から見たらこんな感じ

廟側から見たらこんな感じ


廟に近いところに、老街のデパートと呼ばれるお店があります。

ドリンクやスナックなどが売られており、コンビニというイメージ。かき氷の機械もあり、週末にはかき氷を販売しますよ!

このレトロな雰囲気とかき氷の機械が置かれている白いタイルの棚がとってもマッチしていて、たくさん写真を撮影したくなっちゃいます。
白いタイル

白いタイル

漢方を包む台

漢方を包む台

レトロ感溢れる窓に緑×赤の色合いにキュンキュン♪

レトロ感溢れる窓に緑×赤の色合いにキュンキュン♪

「永福宮」は柱に注目!

本殿にまつられている神様たち

本殿にまつられている神様たち


客家の村は質素なイメージだったナビ。しかし、こちらの廟がカラフルで驚いてしまいました。

なんでも、2011年に改修工事される前は、落ち着いた色使いだったようなのですが、工事に伴い色鮮やかな廟になってしまいました。

しかし、柱は新しく色を塗りなおしているものの、昔のままの様子を留めています。そして、この柱こそが「永福宮」を訪れたら見るべきものなんです。
見事な装飾

見事な装飾

電光掲示板まであるなんてシュール!

電光掲示板まであるなんてシュール!

柱のほかにも色々見てみてください 柱のほかにも色々見てみてください 柱のほかにも色々見てみてください

柱のほかにも色々見てみてください

明治や大正と日本の年号が書かれていますよ~ 明治や大正と日本の年号が書かれていますよ~

明治や大正と日本の年号が書かれていますよ~

神様にお伺いを立てるときに使用する筊(ボエ)

神様にお伺いを立てるときに使用する筊(ボエ)

おみくじ

おみくじ

悪い縁を断ち切るものたち

悪い縁を断ち切るものたち

一般的に廟の柱は、龍が柱に巻きついているような「龍柱」なのですが、三川歩口(廟の門へと進む台)にある柱「十二孝柱」、は人の道理を説いているという「二十四孝」の中から12つのエピソードを描いています。

「文字で読んでもわからない。」そんな人でも絵を見ればどういうことなのかが理解できるようになっているのだとか。
「搤虎救父」

「搤虎救父」

「刻木事親」

「刻木事親」

「孝感動天」

「孝感動天」

「哭竹生筍」

「哭竹生筍」

本殿中の壁にも「二十四孝」が刻まれています!

本殿中の壁にも「二十四孝」が刻まれています!

殿内にも見るべき柱はあります!「花鳥柱」は「十二孝柱」と同様、ほかではほぼ見られない希少な柱です。その名のとおり、花と鳥が刻まれています。
喜鵲(カササギ)と梅花(梅)の音が、「喜上眉梢」(眉が上がってしまうくらい嬉しい様)と似ていることからこれらが採用され、「喜びに溢れ、めでたいことが起こりますように」との願いが込められています。

一見、何てことない柱のようにですが、静かな中に凛と美しい佇まいが、客家の精神らしくて、ナビは見入ってしまいました。
正殿の前にある天公爐の左右にあるのは「八角龍柱」。この龍柱も特別なんですよ!それは柱礎が八角形をしている点。しかも、「水」の恩恵を受けていた三坑らしくカニなどの水中で暮らす生き物を題材にしているんです。と、よ~く見てみると、柱礎の上には波と鯉、龍が彫刻されています。そう、これは「登龍門」の言葉の由来になった、鯉が龍門(黃河上流にある龍門山を切り開いてできた急流)を昇って龍になる様子なんです。

そして、1匹の龍が頭を下に、尻尾を上にしている「蟠龍」は、まだ天に昇っていない、もしくは天から降りてきたと言われ、「歓迎」を表現しているといいます。
上から下までじ~くり見てくださいね

上から下までじ~くり見てくださいね

亀の甲羅のような床

亀の甲羅のような床

上を向いている龍

上を向いている龍

老街を巡ったら、サイクリングで「三坑自然生態公園」まで行ってみよう!


時間に余裕があれば、老街の入口近くにあるレンタサイクリング屋さんで自転車を借りて、サイクリングに出かけてみてください。

老街からサイクリングロード「三坑自行車道」へ自転車で3分ほど。永福路に出て中正路三坑段方向に少し漕ぐと、急な上り坂が出現……。涙 諦めたくなりますが、そこはぐっと我慢!ここを越えて、サイクリングコースに出れば、比較的穏やかな傾斜が続くので、風を感じながら気持ちよく自転車を漕げます。
老街の入口には自転車がこんな風に飾られています

老街の入口には自転車がこんな風に飾られています

ここでレンタルしました

ここでレンタルしました

ナビはこの自転車をチョイス♪

ナビはこの自転車をチョイス♪


石門大圳(灌漑用水)を左手に、美しい農園風景を右手に見ながらのサイクリング。

鳥の鳴き声を聞きながら、月桃などの台湾らしい植物も見られます。運が良ければ、珍しい蝶やホタルも見られるくらい、生態がいいんですよ。そしてどんどん漕ぐと、「自然生態公園」へ到着します!
どんどんペダルを漕いでいきましょう! どんどんペダルを漕いでいきましょう!

どんどんペダルを漕いでいきましょう!

左手に水路

左手に水路

右手には農園風景

右手には農園風景

月桃だ!

月桃だ!

ウォーキングしている方もいましたよ

ウォーキングしている方もいましたよ

「自然生態公園」で客家スイーツをいただきまぁ~す♪

「自然生態公園」は3.8ヘクタールの大きさを誇る生態公園。休日になると、ここにレジャーシートを広げる親子の姿を多く見かけるそうです。

日本統治時代には渡し船の波止場としてにぎわっていたこともありますが、水運が寂れた後、荒れ放題になっていました。その後地元の方々の働きかけで、石門大圳の水を引き込むことで緑を取り戻し、今に至ります。

「三坑老街」の美食を予め用意してもらって、こちらで堪能しました。

菜包、紅龜粿、麻糬など、客家小吃と言われるものがずら~り!ピーナッツの粉をまぶしたお餅(麻糬)は、もっちもちで砂糖のガリガリした歯ざわりも何だか気に入りました。仙草ジュースをかけた米苔目も客家らしくて、おかわりしましたよ~。冷たい仙草は解熱効果があって、飲むとすぅ~と暑さが引いていくので、夏に飲むのがオススメです。
このお餅が止まらぬうまさ!あぁ…また食べたい!!

このお餅が止まらぬうまさ!あぁ…また食べたい!!

お米からできたうどんのような麺。スイーツとしても主食としても食べられる魅惑の食べ物ですよ~。これに仙草をかけて食べました~

お米からできたうどんのような麺。スイーツとしても主食としても食べられる魅惑の食べ物ですよ~。これに仙草をかけて食べました~

紅龜粿

紅龜粿


100mほどの小さな老街なので、ざっと見て回るなら30分もあれば充分という感じですが、廟などじっくり見て回って、小吃を食べて、まったりと時を過ごしてみてくださいね。

有名な観光スポットではないからこそ、ここで暮らす人たちの息吹が感じられる「穴場」的老街。平日に訪れたのでお店はほぼ閉まっていましたが、休日は小吃などのお店も開いているので、狙うは休日です。ナビも「台湾好行」バスに乗ってまた訪れたいなと思っています。


以上、台北ナビがお届けしました。

記事登録日:2017-09-01

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2017-09-01

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