塩の山と渡り鳥のすみかへ!ちょっとディープな台南旅
こんにちは。台北ナビです
外国人観光客の数は激減しつつも、国内旅行がアツい台湾。中でも台南は、歴史あり、おいしいものありの観光スポットとして、例年以上の賑わいをみせています。もっともっとディープな台南を知りたい……そんな時は、少し足を延ばしての小旅行がおすすめです。
旅人御用達の99番安平台江線バスなら、台南の自然や歴史を体感できる海辺の街まで、簡単にアクセスすることができますよ。ネクスト台南旅行の際に、ぜひご利用ください。
台南のバス事情と「台湾好行」の観光バス
現在工事中の台鉄「台南」駅(台鐵台南火車站)。西口(前站)のロータリーには、たくさんのバスが絶え間なく入っては出て行き、戸惑ってしまいそうな交通量ですが、台南市内を走るバスは、主に3種類に分けられる……とナビは勝手に理解しています。
まずひとつ目は、市の中心部を走る0~21、70、77の番号がついた市バス。このバスのほとんどが台鉄「台南」駅を基点とし(中には駅を通らない路線もあります)、中心部のあちらこちらへと延びています。
そして2つ目は、台鉄「台南」駅と郊外、もしくは郊外と郊外を結ぶ幹線バスです。このバスは6種類あり、それぞれ緑、青、茶色、オレンジ、黄色、赤の6色に車体が塗り分けられています(時間帯によっては、白いバスの時もあるのでご注意!)。
そして最後は、上記2種類以外のグループ。新幹線の台南駅(高鐵台南站)と市街地とを結ぶシャトルバスや、2階建てのオープントップの観光バスが含まれ、今日ご紹介する88番の台湾好行バスも、こちらのグループかなと思います。
台南駅は現在工事中…
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ロータリーからバスがあちらこちらへ
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台湾好行バスとは、在来線や新幹線の駅と主要観光地を結ぶ、旅行客にとって便利なバスで、台湾各地に路線が企画されています。台南にも5つの路線が運行してますが、台鉄台南駅を基点とした台湾好行バスは、これからご紹介する99番安平台江線と、中心部を巡回する88番府城巡廻線の2路線になります。
青&黄緑ラインが99番バス(台南旅遊網パンフより)
99番バス時刻表(台南旅遊網パンフより)
台鉄台南駅周辺の観光スポットをまわり、西側の海岸線を北上する99番バスは、平日、休日、夏&冬休み期間中の平日とで運行時間が異なります。休日は1時間に2本の間隔で運行されていますが、平日は3本のみと少ないので出発前に時刻表を確認しておいたほうがよさそうです。また10月~翌年4月の渡り鳥がやってくる季節には、七股鹽山から鑑賞スポットまでの臨時線が運行されます。
おすすめの途中下車ポイント
99番バス乗り場
始点から終点まで、約1時間半というなが~い道のりとなる99番バス。おすすめの途中下車ポイントは……の説明の前に、多くの人が乗車地点として利用するであろう台鉄「台南」駅(臺南火車站)バス停をご紹介します。
ここは、たくさんの市バスのハブバスステーションとなっているところで、99番バス乗り場は、ロータリーと中山路が交差するあたり、ちょうどお寿司屋さんと定食屋さんがある所ところに位置しています。電光掲示板があるので99番バスが、あとどれくらいで到着するのかも一目瞭然です。
カラフルなコンテナを積んだ新バスターミナル
ちなみに、99番バスの始点となる台南バスターミナル(臺南轉運站)バス停は、長距離バスが発着するバスターミナルに隣接するバス停です。このバスターミナルは、今年初めに供用が始まったばかりで、点在していたバス会社が集約され長距離バスの利用がより便利になりました。他都市からバスを利用して台南入りし、台湾好行バスを利用するなら、こちらのバス停が乗り場になります。
それでは、こんどこそおすすめ途中下車ポイントをご紹介します。とにかくなが~い路線。見どころもたくさんあるのですが、他のバスではなかなか行きづらい海辺のスポットを中心に紹介していこうと思います。林百貨や赤崁樓など、市の中心部で通過するバス停については、88番府城巡廻線でも紹介しているので、そちらをご覧ください。
億載金城バス停
億載金城
一見すると広々としたのどかな公園……といった雰囲気の億載金城ですが、実は悲しい歴史の残る場所であり、日本にもゆかりのある場所なのです。1871年、台湾に漂着した日本人が台湾原住民によって殺害された事に端を発し、日本軍は台湾出兵を敢行。億載金城はその攻撃に備えつくられた要塞で、四隅に稜堡を持ち、弾薬庫の跡地や兵舎も残されています。敷地内に設置されている大砲のほとんどは、1975年に造られたレプリカですが、ひとつだけ本物が残されているので、探してみてくださいね。
土日には、予約不要で無料のガイドツアーが行われています。中国語になりますが、挑戦してみたい方は、10:00、11:00、13:00、14:00、15:00、16:00に合わせて訪れてみてください。
当時は跳ね橋だったトンネルの入り口
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中央は軍事演習場として設計された広場
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安平古堡(安北路)バス停
安平古堡と言えばこのタワー
安平古堡海の街「安平」と言えば、台湾の歴史が始まった場所。そしてここ安平古堡は、約400年前のオランダ時代から、政治や貿易の中枢を担う役割を果たしてきた建物なのです。現在の姿は日本時代に入ってから、修復されたものですが、外城南側の壁部分と、内城北側の壁部分には、オランダ時代のレンガが残されていて、当時の様子を物語っています。敷地内で目を引く赤い屋根の展望台は、1945年に周辺を監視するために建設されたものですが、今ではすっかり安平のランドマーク的な存在になっています。エレベーターはないので、上るのに少し疲れますが、安平港や台南の街を一望することができます。
状態良く保存されている城壁
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敷地内には博物館もあり
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台湾で最も古い商店街「延平街」
延平街安平古堡を訪れたなら、すぐそばのストリート「延平街」散策も忘れずに!安平古堡の城下町的な存在である延平街には、牡蠣のお好み焼きや、豆花、蝦せんべいなどの安平名物のお店がずらり軒を連ねています。休日ともなれば、さらににぎやかに。安平の守り神とされる剣をくわえた獅子「剣獅」も、通りのいたるところに顔を出し、剣獅をモチーフにしたお土産にも、たくさん出合えます。
99番のバスで延平街へ行く場合は、安平古堡(安北路)バス停だけでなく、延平街バス停も最寄バス停になります。
德記洋行、安平樹屋バス停
安平樹屋
安平樹屋の敷地内には、イギリス商人によって設立され、茶葉の輸出と、保険や銀行の代理も行っていた「徳記洋行」の建物もあります。安平樹屋の建物は、もともと徳記洋行が倉庫として利用していた建物でしたが、戦後、台湾製塩総廠の所有となり、その事務局が移転となると、建物はガジュマルの木に浸食され、現在はまるでジブリ映画さながらの観光スポットとして親しまれるようになりました。樹屋のそばには、台南発スキアマソフトとして日本にも進出した「蜷尾屋」のソフトクリームが食べられるカフェや、メイドイン台南の雑貨を取り扱うお土産ショップもあります。
四草生態文化園區(大眾廟)バス停
緑のマングローブトンネル
綠色隧道台江国家公園内に位置する四草は、数多くの野生動植物が生息する湿地帯です。四草まで足を延ばしたからには、ぜひ体験しておきたいのが、ミニアマゾンにも例えられる自然の風景を、船に乗って楽しむ「綠色隧道」というクルーズツアー。淡水と海水が入り混じるマングローブのトンネルを、約30分かけてガイドさんと一緒に進んでいきます。途中、頭上すれすれをマングローブの枝がかすめて行ったり、小さなカニたちがお出迎えしてくれたり、運が良ければ絶滅危惧種であるクロツラヘラサギにも出合えるかもしれませんよ。
付近には、300年以上の歴史を持つ四草大眾廟や、アヘン戦争の時にイギリス軍の進入を防ぐために作られた四草砲台もあります。
聖母廟(城安路)バス停
台南正統鹿耳門聖母廟
「鹿耳門」は、オランダ人勢力を駆逐しヒーローと崇められた鄭成功が上陸した場所。浅瀬という地形ゆえなかなか上陸できずにいた時に、媽祖様にお祈りを捧げたところ、水位が上昇し無事上陸することができたとの言い伝えが残されています。入り口に立ちはだかる千里眼と順風耳の大きさも圧巻ですが、北京の紫禁城を彷彿とさせる宮殿造りの規模と豪華さにもびっくりです。正統鹿耳門聖母廟は、元宵節に行われる盛大な花火大会でも有名な場所です。ちなみに、鹿耳門には「鹿耳門天后宮」という大きな廟もありますが、正統性を競うもう一方の廟なので、場所をお間違いなく!
臺灣鹽博物館バス停
臺灣鹽博物館
博物館のある七股は、かつて製塩業でさかえた海辺の街。その後、海外とのコスト競争に勝てず、製塩業は廃業を余儀なくされてしまいましたが、この博物館では、当時の人々の暮らしや、製塩業の歴史、七股の風土などを知ることができます。台湾で唯一の塩をテーマにした博物館で、館内には塩関係の食品やグッズが買えるお土産コーナーのほか、塩味ソフトクリームや、にがりを使った豆花が楽しめるイートインコーナーもあります。
塩山の形をモチーフにした真っ白な博物館
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当時の過酷な仕事風景を見ることができます。
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七股鹽山バス停
彫刻イベントの時には山の上にオブジェが登場
七股鹽山
99番バスの終点に到着。その名の通り、塩でできた大きな白い山が目印のテーマパークになっていて、入場料(50元)がかかります。このバス停は、ひとつ手前の臺灣鹽博物館バス停から徒歩で行けるほか、パーク内で運行しているミニ列車に乗ってアクセスすることもできます。製塩業の廃業から年月が流れ、以前ほどの白さはなくなってきてしまった塩山ですが、それでもビル6階の高さに相当する山の迫力は今も健在です。また、毎年夏ごろには、塩の彫刻イベントが行われ、塩山にもオブジェが置かれます。来年の夏ごろには、海外旅行が解禁されていますように……。
黑面琵鷺賞鳥亭バス停(10月から翌4月まで運行)
黑面琵鷺賞鳥亭
七股鹽山バス停からこのバス停までは、渡り鳥たちが越冬のため飛来する10月~翌年4月の間だけ運行しています。終点であるこのバス停には野生鳥の鑑賞スポットがあり、そこから1㎞ほど手前の「黑面琵鷺生態展示館」バス停には、渡り鳥たちについて学べる展示館があります。世界的な絶滅危惧種であるクロツラヘラサギ(黑面琵鷺)は、黒いしゃもじの様な形をした嘴が特徴的。昼間はゆっくりと休み、夕方ごろから活発にエサを探し始めるんだそうです。台南の冬は暖かく過ごしやすいので、バードウォッチングを楽しんでみるのもよさそうです。
現金派?カード派?旅のスタイルに合った利用方法を
こちらは一卡通
台南市中心部を走る市バスのほとんどは、一回一律18元で乗車することができます(長距離になると途中から加算される路線も一部あり)。99番バスの運賃は、四草野生動物保護區バス停までが18元、その先の鹿耳門橋バス停以降は36元となります。
支払は現金、もしくは悠遊卡(EasyCard)や一卡通(iPASS)などの交通カードで行います。現金の場合は、乗車時に運転手さんの横にある回収箱に運賃を入れますが、おつりが出ないので乗車前に小銭の準備が必要です。
交通カードは、乗車時と降車時にカードをタッチして精算します。
台南おもしろカードは4枚の古跡チケット付き
もし新幹線を利用し台南の古跡巡りを楽しむのならば、台南好玩卡(台南おもしろカード)の利用を検討してみては?これは新幹線の往復チケットの3割引きと、台南の市バス&台湾好行バスが初回利用から48時間乗り放題、それに安平古堡、安平樹屋、赤崁樓、億載金城、4か所の古跡入場券がセットになった便利なカードです。
購入はセブンイレブンのibonで行い、新幹線のチケットは支払い時に受け取ります。カードの方はその後、新幹線「台南」駅か台鉄「台南」駅のインフォメーションセンターにて受け取ります。提携店でのお買い物が安くなるうれしい特典もあり。カードはバスの乗り放題終了後も、現金をチャージし電子マネーとして引き続き利用することも可能です。
ibonでのカードの購入方法(中国語)
アプリを駆使してバス旅の上級者に
大台南公車&Lí hó Tainan 你好台南
ここで、台南のバスを利用する際に、便利なアプリをふたつご紹介します。
ひとつめは「大台南公車」。
このアプリは、ルート検索や、利用したいバスが現在どこを走っているのかを知りたいときに便利です。ゆるい台南ゆえ、正確さが気になるところですが、その辺も問題なし。かなり正確なので安心できます。郊外を走る幹線バスも網羅しているので、運賃検索にも便利です。
そしてもうひとつの「Lí hó Tainan 你好台南」も、同じくルート検索や運行情報がわかるほか、現在地付近のおすすめ観光スポットや、グルメ、宿泊情報なども紹介してくれます。どちらのアプリも日本語対応なので、ぜひ利用してみてくださいね。
インフォメーションセンターなどでは、台湾好行バスの88、99番のパンフレットが用意されています。これには、バスの乗り場やその周辺のおいしいお店なども紹介されているので、見つけたらぜひ参考にしてみてくださいね。
以上、台北ナビ(岩田優子)がお伝えしました。