台湾初期の民芸品が保存され、純日本家屋の典型として古跡にも認定されています
こんにちは、台北ナビです。
1921年頃からの長い歴史を持つ「北投文物館」は、5年の修復を終え、2008年にリニューアルオープンしました。ここでは、日本・漢民族、原住民の文化財や民俗の展示の他、季節のお料理・台湾の新鮮なお茶を楽しむことができます。また、2階の大広間では、裏千家の茶道教室が開かれており、多くの台湾人・日本人が通っているようです。今回は月に一度、日本から指導に来られているという裏千家の名誉教授、関先生にもお話を伺ってきました。では、北投文物館、ご紹介しましょう。
北投文物館の歴史
画像提供:北投文物館
北投といえば温泉地。
この北投文物館も、1921年ごろ、高級温泉旅館「佳山旅館」として建てられた建物。時代の変遷と共に幾度と名を変えながらも、その美しい姿を今なお保ち続けているのです。第二次世界大戦中には特攻隊の休息所であったと伝えられています。その後、一時外交部の管轄となり、映画の撮影場所として利用され、その映画のタイトルにちなんで「古月荘」とも呼ばれていました。1984年に、「台湾民芸文物之家」として引き継がれ、台湾初期の民芸品や原住民芸術の保存が行われ、正式に「北投文物館」と改名しました。
建物の完全な保存状態により、1998年9月台北市政府の古跡に認定されました。2002年から5年間にわたって古跡修復が行われ、台北地区唯一の純日本家屋の典型として完成しました。
北投文物館には約5千点近くの台湾民芸品や原住民芸術が収蔵されています。織物、竹木製品、書籍、陶磁器、人形劇や影絵など、清朝末年(1900年)から1940年に渡る庶民生活が幅広くあります。
展示室を覗いてみましょう
こちらの展示室では、15のポイントで音声ガイドが聴け、中国語に加えて日本語・英語の説明書きもあり、とてもわかりやすくなっています。建築や文物館の歴史に関しての説明もさることながら、結婚式・しきたりの文化美学などは台湾原住民と漢民族・日本の民族文化にもわたって紹介されており、お互いの文化の共通点が影響しあっているところ、全く違うところなどを、目ではっきりと確認することができました。小さな空間ではありますが、今昔が共存する空間で、色々な文化財を目にし、台湾の文化・及び日本の文化にも触れることができたような気がします。
佳山旅館時代の温泉がそのまま、残っています。ここの説明には、どのようにして入浴するかの手順まで書かれていて、興味深いです。
半年に一度の会期が設けられ、展示内容が変わります。取材時からの半年は「一期一會:日本茶道文化特展」で、来年2016年3月27日までの会期。展示の80%ほどは、関先生のご自宅にある大切な茶器のコレクションを今回台湾に持ってきました。
現在の裏千家十六代目がこの北投文物館に宛てて筆を執ったもの
茶道教室の紹介記事は、以下からご覧ください。
茶道に関連する茶器やグッズなども販売しています
紹介してくださる李莎莉館長
「台湾では「抓周」という風習があり、赤ちゃんが1歳になった時にこのような着物を着て、将来の適性検査をします。いろいろな意味あるものを赤ちゃんの前に置いて、赤ちゃんが掴むものにより、将来の志望を予測するというものです」と、李館長が話してくれました。日本で言う選び取りですね。その他、茶道に関する茶器や花瓶、グッズなどの販売もしています。
建物には靴を脱いであがったり、年配の方が多いため2階へ上がる際には奥にあるエレベーターを使用することも可能です。台湾だけど、この空間はまさに日本でした。
ぜひ一度足を運んでみてください!
茶道に興味のある方、素晴らしい生き方をされている関先生のもとでご指導を受けてみたいという方、北投文物館に足を運んでみてください。月に2度、体験教室も開かれておりますので、まずはそこにご参加されることをおすすめします。体験教室ではお弟子さんの方々から指導して頂けます。
(茶道体験の費用や日程に関しては、北投文物館へ直接お問い合わせください。)
以上台北ナビでした。