澎湖の伝統的な家屋が保存されている村で、澎湖の暮らしの知恵を感じよう!
こんにちは、台北ナビです。
台湾本島とは暮らしぶりが全く異なる澎湖。中心地である馬公はかなり整備され、町並みだけを見れば本島とあまり変わらないように感じますが、澎湖を知るにはやはり伝統家屋を見てみたい!というわけで、台湾国内で初めて「伝統聚落保存区」に認定された二崁傳統聚落へ行ってきました。
馬公から車で40分!
馬公から車に乗り、約40分で到着する「二崁古厝群聚」は「西嶼郷」にあります。澎湖跨海大橋が完成するまでは船でしかアクセスできなかったことで、澎湖らしい自然&人文景観が残されている場所です。
2001年、内政部により「伝統聚落保存区」された二崁傳統聚落は近年修復が進められ、この土地に暮らしている方々の生活の様子が見られるようになっています。
陳さんだらけ??
漢方に携わる人が多かったそうですよ!
二崁村の始祖である陳延益氏は明朝末期、澎湖に渡ってきました。まず現在の大池村に上陸し、竹湾亀山の麓の土地を切り開いたのがはじまりだといわれています。農業と漁業で生計を立てていましたが、結婚のため家族がどんどん増えてきたため、竹湾付近の「二崁」に定住したと言われています。そのため、この村の大多数が「陳」さんなのです!
乙未戦争後、伝統的な生活では生計が立てられなくなり、若者は家を出て台湾本島へ仕事に出るようになり、村はゆっくりと没落していてきました。
サンゴや貝で作られています!
澎湖の冬には季節風がかなり強く吹くため、ここでは塀や家は低く作られているといわれています。そして、ここで生活するのは夏がメインとなるため、家は簡単でいいと考え、軽く便利なサンゴで家を作ったそうです。まず、海でサンゴを採ってきて、家の周りで立てて乾かしておけば、低い塀になり、「菜宅」の役目をしたそうです。菜宅とは季節風から農作物を守る塀のようなもので、澎湖のいたるところに見られます。その乾いたサンゴで家が作られたそうですよ。
こちらに来たら、必ず訪れたいのが「二崁陳家大厝」。この村で最も大きく、政府により三級古跡にも指定されているみどころたっぷりの建物です。
この建物は陳嶺と陳邦の兄弟によって建てられました。16歳の兄が13歳の弟を連れて台南へ移住し、漢方薬で財を成し、1910年に2年の月日をかけて建てられました。1910年というと日本統治の始まっていた時代。そのため、建物は伝統的な閩南様式とその時日本で推進されていた西洋化の影響を受け、「閩洋折衷様式」となっています。
物言う建物??
「この建物は物を言う…。」そんなことを聞くと、「ギャー!!」とびっくりしてしましますが、知る人が見ると、いろんな暗号が隠されているのだといいます。建物の至る所に、縁起のいいものが隠されているのも特徴のひとつ。「こんな願いを込めていますよ!幸せに暮らせますように…」というメッセージだと思って家を見て、声を聞いてみてくださいね。
門についているこの取っ手は13面になっています。この数にも意味があるんです!この13という数字は「北斗七星」と「南極六星」を合わせた数。北斗七星は「死を司る正座」、南極六星は「生を司る正座」と考えられているため、この取っ手は「生死」を表しているんだそうです
正門に見える【メッセージや縁起物】
4つの窓にはどれも3本の格子があります。これは澎湖の伝統的な窓の特徴なんです。また、玄武岩がこんなにもきっちり丁字に組まれているというのはとてもお金がかかるので、ここからも陳さんが裕福であったことが伺われます
●かぼちゃ種が多い→子宝に恵まれる
金瓜と「金抓(お金をつかむ)」の音が一緒→お金持ちになる
●魚「魚」と「餘」の音が一緒(年年有餘)→毎年お金が残る→ゆとりのある生活ができる
一度に子供をたくさん産む→子孫繁栄のシンボル
●甕澎湖の伝統的な魔よけの象徴
●鷹子孫が鷹のように羽ばたきますように
「鷹」と「英」の音が一緒→英雄になる
●時計
子孫がきちんと時間を守りますように
●真ん中の時計&甕中国語の時計「鐘」を2つに分けると「金」「童」となり、燈甕(灯甕)は台湾語で「丁旺」となる→家を守り、家族の成長が盛んになるように
中廳・天井に見える【メッセージや縁起物】
●壺「壺」と「平」の音が一緒「平安」→何事もなく無事に過ごせる
この手前です!
一番奥の正廳の前にもメッセージが隠されていました。それは床のタイルの張り方です。扉から入ったところは斜めにタイルが張られています。この場所は「どうぞ、中へお入りください!」という意味。クロスしている×の部分が「人」に見えるからだそうです!それに比べ、右と左は井のように貼っています。これは「ここからはお休みするお部屋なので、立ち入りはご遠慮ください。」という意味が込められているそうですよ。柵のようにも見えてきますよね!
どうぞ!
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ここはちょっと…
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知れば知るほど色々なメッセージが込められているんですね~! |
泥棒対策
これだけのお金持ちが住む屋敷なら、お金やお宝がザックザク!そう考え、泥棒も多く入ってくるのでは?そのわりに、屋敷前の塀には扉もなく、入りたい放題。これでは防犯対策が心配です。しか~し、中廳にある閂が上下にあるだけの、この一見普通の扉に秘密がありました。実は…一度閉めるとどうしてもこの閂が抜けないのです。「泥棒が入りたいなら入ればいいよ!でも、ここからは逃がさない。」というメッセージも込められているのかもしれません。
二崁傳統聚落に入ってすぐある「二崁傳香」。家の外でお香を天日干ししているので、とても目に付きます。澎湖でよく見られる「ヨモギ」「山芙蓉(台湾ハイビスカス)」そして「天人菊(テンニンギク)」から作られたもので、臭い消しや厄除けに使用するそうです。もちろん蚊よけにもなるので、澎湖版蚊取り線香といったところでしょうか?澎湖らしいお土産になりますよ!
ぶらぶら歩いていると…入り口が端に追いやられている家があるのに気づきます。これは正面に家があるため。門と門が向かい合っているのはよくないと考えるんだそうです。そのため、高い位置にある家の方が強いので、低い方の家は入り口を横へ移動させているのだとか。
真ん中から外を見ると目の前の家がこちらを見下ろしているかのよう…
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入り口の場所を変更!!
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無糖と有糖が売っていました
澎湖の青草茶との別名を持つ「風茹茶」。暑い澎湖では熱中症予防に効くと言われ、澎湖ではよく見られます。風茹草(セリバノセンダングサ)から作られるお茶はどくだみ茶のような味で好き嫌いが分かれますが、太陽に打ち勝つため是非飲んでみてくださいね!
一際大勢の方が入っていくお店。ココでは杏仁茶が売られていました。元々漢方の売買を生業としていたお店であるだけあって、門が大きく取られているのが特徴的!仕事の経験から杏仁への理解も深く、品質の良い杏仁が選べるため、特別においしい杏仁茶が作れるのだとか。杏仁茶を購入しなくても、家の中は自由に参観できるので、入ってみてくださいね!
二崁杏仁茶
電話:0928-305-046
住所:西嶼鄉二崁村20號
人が多すぎ…
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神様と門には足を向けて寝てはいけませんよ~!
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ぶらっと歩くだけだと30分もかからず歩けますが、ナビは1時間以上もかかりました。メッセージを探して、先人の知恵を感じて、じっくりと歩いてみませんか?
以上、お香を買おうと思っていたのに、村歩きに夢中になって買い忘れてしまったうっかりナビがお届けしました。
二崁とはあまり関係ないそうですが、でも何だかかわいくて買いたくなっちゃいます
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青空と瓦の色のコントラストが美しい!
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