台湾が誇る大規模劇場!観劇するだけじゃなく、食事やショッピングにも最適です!
こんにちは、台北ナビです。
台北駅からMRT淡水信義線でわずか2駅の「中正紀念堂」駅出口1を出てすぐの場所に鎮座する2棟の巨大な中国様式の建物……。荘厳な外観で記念写真を撮った方は多いと思いますが、実際に足を踏み入れたことのある方は決して多くないはず……。実はこれ、國家兩廳院が運営する國家戲劇院(国立劇場)と國家音樂廳(国立音楽ホール)なんです。
今回は駅に近い南側の愛国東路に面している國家戲劇院をご紹介します。「スケジュールがキツキツだから芸術鑑賞なんてしていられないわ」とお思いの方、ご安心ください。ここは観劇するだけの場所ではないんです。食事や買い物、休憩だってできちゃう素敵スポットなんですよ。早速見ていきましょう。
國家戲劇院の建設が始まったのは1981年のこと。中正紀念堂を含むこの土地は元々、清朝時代から軍事施設が設置されていたのですが、1975年に蒋介石元総統が死去したことをきっかけに記念施設と公園、劇場と音楽ホールの建設計画が始動していました。
戯劇院と音楽廳の建設にかけられた総工費は当時の額で74億元。設計は圓山大飯店を手がけた楊卓成氏。外観こそ中国の宮廷をイメージさせる華麗で荘厳なものですが、内部は西洋式を採用し、当時最新鋭の設備と1500人規模の観客収容数を誇る大劇場で、現在でも国際的にレベルの高い作品が上演される、いわば台湾の文化的中心です。
建物は地上5階、地下1階建て。ただ、地面の直上にある階は英国式に「グランドフロア」となっているので、利用や待ち合わせの際はご注意を。グランドフロアと地下1階は基本的に自由に出入りができますが、1~4階は上演前40分前にならないと開放されません。
國家兩廳院で上演のチケットはグランドフロアで購入可能です。滞在中に気になったプログラムがあればお気軽にどうぞ。兩廳院の担当者さんは「芸術作品をたくさんの人に広める役割があるので、数百元程度のお求め易いチケットがあります」とのこと。
食事やショッピングができる空間もあります
グランドフロアには、以前にもナビでご紹介した「戲台咖」(シアターカフェ)と呼ばれるモールがあります。演劇や芸術関連の書籍や雑貨が揃うショップのほか、カフェ、レストラン、ダイニングバーなどがあり、芸術の雰囲気に包まれながら、食事やショッピングが出来ます。
大きな商業施設の中にあるわけではないので、どの時間に行っても比較的落ち着いて過ごせるのが嬉しいです。中正紀念堂見学の休憩にも使えそうですよ。
それでは、1階へと足を進めましょう。基本的には観劇する人しか入れない特別な空間で、赤い絨毯が豪華さや特別さを演出しています。
西側にあるロビーは1階から3階までの吹き抜けとなっていて、開放的です。ここで注目したいのは、この劇場の至る所で大理石が大胆に使われているということ。柔らかな印象を与えるアイボリーの大理石はイタリアからわざわざ持ち込んだという手間がかかっているもの。
台湾も花蓮でも大理石を産出していますが、色調が若干暗く、劇場の雰囲気に合わなかったということで、あえてイタリア産にこだわったそう。マーブル模様は水の流れに例え、全て一定方向に流れています。また、それぞれの大理石ごとに違う微妙な色の差にも考慮して配置されたといいます。凄く考えられているんですね。
ただ、大理石の扱いは細心の注意が必要で、もし来場者が大理石の床にコーヒーなどをこぼしてしまったら一大事。色素が大理石に染み付いて変色してしまうので、早急に拭き取ったり、場合によっては表面を研磨するなどしてきれいな状態を保っているんだとか。いやはや、スタッフの方々の苦労が隠されています。
天井からぶら下がるシャンデリアにもご注目を。とても上下に長く、どことなく中華テイスト。実は音楽廳のシャンデリアとはデザインが違うので、その違いを見比べるのも楽しいかもしれません。
ぴかぴかの大理石の床
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絵画もじっくりと眺めたいもの
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オープンから30年が経過した國家戲劇院。2017年に大規模修繕が行われました。その際には舞台の床も張り替えられたのですが、古い床をそのまま捨てるのはもったいないと、それを再利用したアート作品が展示されています。
黒く塗られていた床の表面を削ぎ、本来の木の色を露出されたモノクロアートで、角度によって見え方が異なる作品になっています。黒い床に残された傷や汚れはほとんどがそのまま残され、戯劇院が歩んできた30年の重みを感じられます。
左から見ると「30」という文字と欧米の文化をモチーフにした絵
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右から見ると「三十」という文字と台湾の文化をモチーフにした絵が見えます
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壁に咲く蘭にもご注目ください。多くの人は「造花でしょ?」と思うそうなのですが、実はこれ、本物です。壁の裏側では絶えず水が流れているほか、天井には擬似太陽光を放つライトが設置され、無機質になりがちな劇場に潤いを与えています。
しかも、台湾の特産品である蘭をメインに据えることで台湾らしさを表現。お手入れには相当気を遣っているそうですが、こんなところで台湾を感じられるって素敵ですね。
そのほかにもたくさんの芸術作品がさりげなく展示されているのが興味深いです。赤い絨毯のエリアに入れる時間はごくわずかですが、ただ席にいるだけでなく、外側を歩いてみるのも有意義な時間の過ごし方になりそうです。
劇場も申し分ない設備です
写真提供:國家兩廳院
写真提供:國家兩廳院
さて、肝心の劇場は1500人が収容できる大劇場と最大で240人が入れる実験劇場の2つ。完成から30年が経過したものの、近年のリニューアルで設備を更新。大きさこそ新しい劇場に陵駕されてはいますが、観劇環境はほかの劇場と比べても遜色ありません。もちろん、どちらもバリアフリーが徹底されていて、どんな方でも楽しめることが魅力です。
遅刻や途中退席しても安心
また、万が一開演時間に遅刻してしまった、途中で退場してしまったという時もご安心ください。ロビーの一角には、舞台の様子を中継するテレビとソファが置かれていて、影響を最小限に抑える配慮がなされています。使わないことが一番ですが、こういった安心があるのは嬉しいですね。
國家戲劇院の中に素敵なスポットがあるのは灯台下暗し的な耳寄り情報。MRTの駅からすぐなので悪天候の際にはとても便利です。ぜひ上手に活用してくださいね。
以上台北ナビがお伝えしました。