大渓老茶廠(桃園市)

大溪老茶廠

閉店・移転、情報の修正などの報告

日東紅茶のルーツも探れる美しすぎるお茶工場!

こんにちは、台北ナビです。

台北からの日帰り旅行が叶う桃園。桃園と言えば、空港がすぐに思いつきますが、実はほかにも魅力がいっぱい!その中でも若者に最も人気の場所が今回ご紹介する「大溪老茶廠」です。

台湾ではその“美しさ”が取り上げられ、「美しすぎるお茶工場」として有名になったのですが、実は…日本で有名な「日東紅茶」も関係があります。ナビは今回で4度目の訪問!何度も訪れたくなるその魅力とは……?!

その美しさにウットリ!

外観からは「美しすぎるお茶工場」という印象は全く受けませんが、建物の中へ一歩入ると、打放しコンクリートですが、白熱電球をいくつも天井からつりさげています。無機質でありながら温かみのあるセンス溢れる様に驚いてしまいました。

販売しているお茶や茶器も整然と並べられており、思わず写真を撮りたくなる!そういう空間になっていました。
外観はただの工場……美しすぎるってちょっと大げさじゃない?と思ってしまいます 外観はただの工場……美しすぎるってちょっと大げさじゃない?と思ってしまいます 外観はただの工場……美しすぎるってちょっと大げさじゃない?と思ってしまいます

外観はただの工場……美しすぎるってちょっと大げさじゃない?と思ってしまいます

このすっきり感がたまりません! このすっきり感がたまりません! このすっきり感がたまりません!

このすっきり感がたまりません!

2階には当時の様子が保存されています。ナビは暑い日に訪れましたが、東西の壁一面にある窓から気持ちいい風が吹き込み、動きたくないと思ってしまったほど。しかも、お昼すぎから午後にかけて太陽の光が差し込み、雰囲気があるんです。機能的なのに映えるって、すごすぎませんか?

そんな館内に惚れこんだ若者たちは写真撮影に必死!そして商品目録用かネットショッピングのためなのか、多くの衣装を持ち込み、モデルさんがポーズを取ったり、ブツ撮りをしたり……。それくらい絵になる場所なんですよ~!聞いたところによると、結婚写真のロケ地として使用されることもあるそうです。

※商業用の用途や結婚写真撮影には事前予約が必要です。

歴史を簡単にご紹介します!

1899年、三井合名会社が大渓に茶畑を開拓。1926年、1670坪という広大な敷地に「角板山製茶工場」を建設しました。その工場の周りも見渡す限りの茶畑でした。

初期の頃には烏龍茶と包種茶のみを生産していましたが、1928年には海外からの需要に応え、「合名茶」という紅茶作りに従事。甘く繊細な味はとても優雅であるとロンドンではとても有名になり、セイロン、ダージリン、祈門紅茶と並び称えられ、四大名茶のひとつだ!とまで言われるようになりました。
角板山工場以外にも台湾国内にいくつか工場がありましたが、角板山工場は特に輸出商品を生産していました

角板山工場以外にも台湾国内にいくつか工場がありましたが、角板山工場は特に輸出商品を生産していました

1933年に「日東紅茶」のブランドと商標を創立し、1944年には台湾紅茶の生産と輸出量をほぼ独占する形となりました。

需要が凄まじく、1日3班制で、製茶機は昼夜問わず動かし続け、年間600萬トンもの「日東紅茶」を生産しましたが、それでも、需要に追い付かなかったいいます。

その頃、高品質であることから、台湾人から「黒金(ブラックゴールド)」とも呼ばれていたのだとか…。
1959年に再建した頃の写真

1959年に再建した頃の写真

1945年日本の統治が終わると、三井合名会社は撤退し、代わりに政府が工場を管理するようになりました。1946年には農林處が官営の「台湾茶業公司」を作り、運営を担当。角板山工場を「大渓茶葉」と改名しました。

1955年には台湾農林股份有限公司による民営となりましたが、翌年機械の操作ミスによる火災に見舞われました。その後1959年に再建しましたが、生産量は減少。1995年に製造を停止しました。
2010年、「大溪老茶廠」と正式に名称を変更し、自然栽培の理念と台湾茶業の昔日を復活させるという使命感を抱き、老工場を改修に着手し、今に至ります。

紆余曲折を経て、新たな観光スポットとなった「大溪老茶廠」。館内には当時のものがたくさん展示されていますので、歴史に興味ある方は是非ご覧ください。
当時の写真も飾られています。この時代の人はおしゃれだなぁと思ったら、これは写真撮影用におめかししていたそうですよ~! 当時の写真も飾られています。この時代の人はおしゃれだなぁと思ったら、これは写真撮影用におめかししていたそうですよ~! 当時の写真も飾られています。この時代の人はおしゃれだなぁと思ったら、これは写真撮影用におめかししていたそうですよ~!

当時の写真も飾られています。この時代の人はおしゃれだなぁと思ったら、これは写真撮影用におめかししていたそうですよ~!

定時ガイドのススメ

今回ガイドをしてくださったのは萬光久店長!

今回ガイドをしてくださったのは萬光久店長!

当時の様子を間近で見られるこちら。ガイドを聞けば聞くほど、工場を設計した方の聡明さが感じられます。基本的には自由参観となりますが、定時ガイドがあるので、中国語だけになりますが、その時間に合わせて訪れるのもオススメです。

ナビが萬店長に案内してもらうのは2度目。ガイドの内容も深くなり、そして写真スポットの紹介も余念がありません。自らモデルとなりポーズを決めてくれるお茶目さも相変わらずです!
ビデオを見るエリアは何だか学校みたい!

ビデオを見るエリアは何だか学校みたい!

定時ガイドや紹介ビデオの時間に合わせられないという方は、オフィシャルページに公開しているビデオを見ればOK!滞在時間が長く取れない方は事前に見ておくと、理解が深められると思います。

見学ルートは紹介ビデオを見て、2階へ上がり、1階へ降りてくるという具合です。では、早速見て行きましょう!

聡明な工場つくり

ビデオ鑑賞後、2階にあがってきました。木造の梁が縦横に無数にも貼り巡らされているのが見られます。『美しい……』というのがナビの第一印象なのですが、これは美しさを追求したのではなく、力学的なことを考慮して採用されています。
では、なぜこんなつくりにしたのか……それは室内で萎凋を効率よく行うためです。萎凋とは摘みたての新鮮な茶葉(茶菁)に含まれている水分を取り除く作業のこと。太陽光を浴びた方が効率いいんじゃないの?と思われるかもしれませんが、台湾はスコールがよく降りその都度大量の茶葉を移動するなんてことは出来なかったんですね。

そこで、ナイロン網を柱と柱の間に簡易的にフックを作り、そこにひっかけて、萎凋棚を作っていました。水分を飛ばすには、空気の流れを良くすること!というわけで、2階にある東西の窓はすべて90°開閉式になっています。そして、この新鮮な風を建物内に巡らせるため、南北に大きな扇風機を8つ設置。これで通気性をアップさせていたのです。
柱にある穴に網を引っ掛けていたんですね!穴の数を見ただけでも、当時相当の生産量だったことがうかがえます! 柱にある穴に網を引っ掛けていたんですね!穴の数を見ただけでも、当時相当の生産量だったことがうかがえます!

柱にある穴に網を引っ掛けていたんですね!穴の数を見ただけでも、当時相当の生産量だったことがうかがえます!

窓がずら~り!

窓がずら~り!

90°開閉式なので風が通りまくり~

90°開閉式なので風が通りまくり~

この留め具、懐かしすぎる~!

この留め具、懐かしすぎる~!

ビッグ換気扇!

ビッグ換気扇!

ナイロンの網は新しいもの。昔のものは見つからなかったそうです。残念

ナイロンの網は新しいもの。昔のものは見つからなかったそうです。残念

これだけでも短時間で萎凋を可能にしたのですが、萎凋速度をより速めるために1階に置かれてある乾燥機の上に穴(天井)を開けています。乾燥機を使用すると熱風が発生しますよね?この熱風を2階へ伝えて、萎凋速度を速めようというのです!!熱は上へ逃げるという原理を用いているのですね。

乾燥機が発生させる熱は一定していないため、温度を調節するために、百葉窓と言われる開閉可能な木製の窓が取り付けられ、窓を開け閉めします。そうすることで、茶菁にとって理想的な温度を保っていたそうです。まるで2階全体が萎凋槽の働きをしているんですね!この方法を使用したことで、1日4トンの茶葉作りが可能になったと言われています。
ここから熱風があがってきます

ここから熱風があがってきます

大きな扇風機で熱風を送ります!

大きな扇風機で熱風を送ります!

開いているのを…

開いているのを…

閉めてみました!

閉めてみました!

萎凋が終わると揉捻に移ります。揉捻とは茶葉を強く圧迫し揉むこと。これにより、発酵を促進させることができます。

萎凋が完了した茶葉は軽く、女性が軽々と1ヵ所に集めていたそう。その様子を撮影された写真を見てみると……金網が張られた木枠を片手でヒョイと傾けているではありませんか!実はその時代の木枠がまだ残されていました。特別に許可をもらって、ナビも木枠を動かしてみたんですが、とっても簡単!水分が抜けた茶葉なら軽かっただろうし、容易に1ヵ所へまとめることが出来ただろうなぁ……
当時の写真!女性が担当しているのがわかります

当時の写真!女性が担当しているのがわかります

何気なく置かれている木枠ですが、年代物!

何気なく置かれている木枠ですが、年代物!

ここに茶葉がたくさん並んでいるのを想像してくださいね~

ここに茶葉がたくさん並んでいるのを想像してくださいね~

パタンと落とせば茶葉が落下!でも木枠は棚にあるから、戻すのも簡単!

パタンと落とせば茶葉が落下!でも木枠は棚にあるから、戻すのも簡単!

こんな簡単な仕組みだけれど、とても大切なデザイン!

こんな簡単な仕組みだけれど、とても大切なデザイン!

もうひとつ、大変だっただろうなぁと思っていたのが茶葉の移動。揉捻の機械は1階にあるので、2階から1階へ運ぶ必要があるはずなんです。そこは揉捻機の上にこれまた穴をあけることで解決!(この穴は「投茶孔」といいます)2階からそのまま茶葉を機械へINできるようになっていました。省エネ~!
集めた茶葉を…そのままIN!

集めた茶葉を…そのままIN!

1階の揉捻機上には

1階の揉捻機上には

投茶孔が見えます!

投茶孔が見えます!

高い天井はイギリス式

高い天井はイギリス式

ちなみにナビがいいなと思ったのは、各国のいいものをどんどん取り入れているところ。建築だけを見ても、高い天井はイギリス式、通気構造は日本式、テラゾの床は台湾式と、ここでお茶を作るのに最も適した方法を採用しています。というわけで、「角板山製茶工場」は台日英式だと言われているのです。

こういう柔軟さがあってこそ、台湾茶の繁栄があったのだろうと思ってしまいます。
通気構造は日本式

通気構造は日本式

テラゾの床は台湾式

テラゾの床は台湾式

1階では歴史に触れられます

1階文物展区では、工場で実際使用していた機械などが展示されています。茶葉の製法方法なども書かれていました。面白いものに出合えるかもしれませんよ~。
金庫

金庫

茶葉切断機

茶葉切断機

乾燥機

乾燥機

レトロなパッケージ♪ レトロなパッケージ♪ レトロなパッケージ♪

レトロなパッケージ♪

貴重な文献なども展示! 貴重な文献なども展示!

貴重な文献なども展示!

ナビが注目したのは、白タイルが貼られている部分。トイレのような作りだけど、なぜここに……??

実はこれ、乾燥させた茶葉をここに集めていたそう。ツルツルとしたタイルは茶葉を集めるのにピッタリですし、白色をしているから、黒い茶葉を1本も残らず集めることができたんですね。大変な思いをして作った茶葉を少しもムダにはさせないという、強い信念がここに表れているような気がします。
この穴から茶葉が落とされてきます!

この穴から茶葉が落とされてきます!

それをすべて集めるんですね~!

それをすべて集めるんですね~!

特別に製茶区も参観しちゃいました!

製茶師さんが安心して製茶に取り組めるように、普段は参観不可。でも製茶の時期なら工場中にお茶のいい香りが充満するそう

製茶師さんが安心して製茶に取り組めるように、普段は参観不可。でも製茶の時期なら工場中にお茶のいい香りが充満するそう

普段は開放していませんが、今回だけ特別に製茶区も参観させていただきました。このエリアで現在も少量ながら茶葉を作っています。

日本統治時代から使用している揉捻機。36インチの大きさは台湾にある物の中で最も大きいと言われています。現在は真ん中の4台(ジャクソン式揉捻機)を主に使用し、お茶を作っています。
真ん中の4台

真ん中の4台

端の2台(CTC製法用の揉捻機)は散茶のティーバッグ作りの際に使用しています

端の2台(CTC製法用の揉捻機)は散茶のティーバッグ作りの際に使用しています

揉捻が終わったらこのレバーを倒します

揉捻が終わったらこのレバーを倒します

そうすると機械下の栓が開いて……

そうすると機械下の栓が開いて……

茶葉がここに!これをガラガラ押して行けばいいんですね~!

茶葉がここに!これをガラガラ押して行けばいいんですね~!

機械ひとつとってみても色々な知恵が使われているんですね~!

そのほかにも実際使用している機械をざぁ~と見せていただきましたが、機械はきちんと手入れされており、ピカピカのものばかり。ナビ、失礼にも展示しているだけなんじゃないかと思ってしまったほどです。
通気もばっちり! 通気もばっちり! 通気もばっちり!

通気もばっちり!

最後は記念にお土産を♪

この日は三義、銅鑼茶園で栽培された茶葉である「沁蜜紅茶」が無料で提供されていました

この日は三義、銅鑼茶園で栽培された茶葉である「沁蜜紅茶」が無料で提供されていました

1階には台湾農林公司の商品を中心に、数多くの茶葉や台湾のお茶受け、茶器までも販売しています。その日のお茶として1種類お茶が無料で振舞われていますが、もし試してみたいお茶がある方は隣に併設されているレストランで味を確かめて購入されることをお勧めします。

最近は水出し茶の販売もあります!暑い日に飲むととってもおいしいので、オススメです~♪
この後ちょうどお茶の種類が変わって蜜香紅茶が飲めました!

この後ちょうどお茶の種類が変わって蜜香紅茶が飲めました!

おいしかったので、入場券を使って水出し茶を購入!

おいしかったので、入場券を使って水出し茶を購入!

茶書屋でぼぉ~とするのも気持ち良さそうです♪ 茶書屋でぼぉ~とするのも気持ち良さそうです♪

茶書屋でぼぉ~とするのも気持ち良さそうです♪

靜水餐廳ではベジタリアン料理とお茶が楽しめます! 靜水餐廳ではベジタリアン料理とお茶が楽しめます!

靜水餐廳ではベジタリアン料理とお茶が楽しめます!

靜水池は見ているだけで心が落ち着きます! 靜水池は見ているだけで心が落ち着きます! 靜水池は見ているだけで心が落ち着きます!

靜水池は見ているだけで心が落ち着きます!

閱讀区では座って読書することも可能です

閱讀区では座って読書することも可能です

茶器も豊富に取りそろえています 茶器も豊富に取りそろえています 茶器も豊富に取りそろえています

茶器も豊富に取りそろえています

ナビはこのカラフルミニ缶が気になる~!

ナビはこのカラフルミニ缶が気になる~!

5色取り揃えています

5色取り揃えています

写真には写っていませんが、缶に入っているものもあります

写真には写っていませんが、缶に入っているものもあります

現在、こちらの工場で作っているお茶はすべて自然農法にこだわって栽培されている茶葉を使用しています。どのお茶も爽やかなうま味の中とのどに残る甘みが何とも言えないおいしさなんだそうです。
ティーバッグにもなっています

ティーバッグにもなっています

「東方美人茶」の缶は赤♪

「東方美人茶」の缶は赤♪

同じ東方美人でもグレードなどによってパッケージも違います 同じ東方美人でもグレードなどによってパッケージも違います

同じ東方美人でもグレードなどによってパッケージも違います

手摘みの高山烏龍茶

手摘みの高山烏龍茶

瞬本棚に見えますが、これ全部プーアル茶です

瞬本棚に見えますが、これ全部プーアル茶です

ドライフルーツ

ドライフルーツ

はちみつ

はちみつ

酢

包種茶麺線

包種茶麺線

お菓子

お菓子

お得ティーバッグなども全部農林公司のもの

お得ティーバッグなども全部農林公司のもの

このティーバッグはスーパーでもよく見かけますが…

このティーバッグはスーパーでもよく見かけますが…

散茶タイプはあまり見かけません

散茶タイプはあまり見かけません

仙女紅茶も!

仙女紅茶も!

日本統治時代の建物を改築し、使用し続けてくださっている台湾の方々に感謝の気持ちでいっぱいになりました!

以上、また再訪したいと思っている台北ナビがお届けしました。
車をチャーターするのが楽ですが、バスのアクセスも比較的簡単です! 車をチャーターするのが楽ですが、バスのアクセスも比較的簡単です! 車をチャーターするのが楽ですが、バスのアクセスも比較的簡単です!

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記事登録日:2020-03-12

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2020-03-12

スポット更新日:2015-05-20

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