文旦の名産地にも昔の日本がいっぱい残っていました
麻豆へは、大台南公車の橘幹線と黄幹線が走っています
こんにちは、台北ナビです。
台湾では、ときに都会を離れれば離れるほど日本色が濃くなり、日本人にとって、何だか懐かしい風景や建物、食べ物、伝統文化に出くわすことがあります。特に台湾南部の台南では、ナビはいつもその印象を受けるのです。
今回訪れた「麻豆」。日本人には、「何だかかわいい名前の町ね」というネーミングですが、台湾人には、麻豆=文旦!台湾で最高に甘くておいしい文旦の産地であるのです。ここでまさにその実もたわわな文旦畑を見学&試食した後、日本が残る老街へと向かいました。
甘い文旦は、麻豆ならでは
フレッシュアボカドジュース
果樹園を守る鶏たち
まずは、今日いろいろご案内してくださる台南市麻豆商圏発展協会理事長の郭文煌さんのお宅へ向かいました。郭さん宅は眼鏡屋さんなのですが、お店兼自宅の後方は広大な果物畑。到着するやいなや振る舞っていただいたのも自宅の木に成ったアボカドのジュース。ミルクを少し足しただけのジュースは、活き返るほどのフレッシュさで、ナビ、立て続けに2杯、ごちそうさまでした。
うちは「ヨウジー」(中国語で有機の発音、オーガニックの意味)だから、という畑は、実は「ヨウジー」でも有鷄(同じ発音で、鶏がいるという意味)で、丸々と肥えた鶏が果樹園を走り回っていました。
文旦は、植えてから6年目からやっと商品としての値打ちが出てくるそうで、最盛期は10年くらいまで。麻豆の文旦のおいしさの理由は、鹽水地方からの海水が底流にたまり、地水と海水がいい具合に混じり合ったからではないかと言われています。おいしい文旦の見分け方は、底が丸く平たい、全体的につるつるで毛穴が小さいのが良質とのことで、大きいのがいいとは限らないし、毛穴が荒いのは甘さと水分が足りないとのこと。麻豆の文旦は市場では最高値で、スーパーに並ぶ時は1斤(600g)150元くらいにもなって販売されます。2014年の中秋節は例年になく早く、9月8日。待ち遠しいですね。
台南発祥の有名な小吃
老街へ着く前に、郭さんがおいしいから!と連れて行ってくれた店が、こちら。
台南にはおいしい食べ物がありすぎますが、中でも在来米を水で溶いた後固めて作った碗粿(台湾語でワーグエと言います)は、台南を代表する小吃の1つ。台南人に聞くと、朝ごはんで食べるという人がほとんど。また自宅で作るという人は、肉やシイタケ、卵などが入っていないプレーンなものだそう。
程よい弾力と柔らかさ、出来上がりの碗粿はおわんの淵だけ盛り上がり、中央がへこむ形になっています。へこみにほろ甘いソースを流し込んでもいいし、一塊切り取ってから碗の底に流し込んでもよし。
切り方も十字に切り込みを入れる人も入れば、食べる分だけ切っていく人も。楊枝を大きくしたようなものを使うのが特徴的です。濃厚な出汁の味もポイントの碗粿。材料の選択、下ごしらえ、蒸し方にもちろんそれぞれ秘伝のルールがあり、その程よい弾力感のおかげで、逆さにしても落ちません。プルプルとした食感の碗粿は、一度食べるとはまってしまう人も多々。ナビはいつも店で食べるので、肉や台湾エシャロットなどが入った薄味のものを食べるのですが、機会があれば家庭のプレーン味も食べてみたいものです。
裕益碗粿王
台南市麻豆区麻口里10-6号(本店) (老街からは少し離れています)
電話:(06)570-2687 営業時間:7:00~19:00 月曜日休み
台南市麻豆区新生北路48号 電話:(06)572-3687
いつも混んでいます
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紅茶味と冬瓜味(各10元)があります、クリームを加えた雪淇冰にすると各15元
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麻豆商圏
麻豆は、人文芸術、交通、文化が発達してきた街。
その歴史は、大正9年(1920年)から昭和にさかのぼり、そのころが麻豆街として一番栄えた時期でした。現存するバロック式建築は、中山路の両側に並び、80年の歴史を物語っています。代表的なのは、中山路の電姬戲院を筆頭に、日新家具、永發商行、三商百貨と興中路のセブンイレブンの建物、成記行、龍光乾洗店、振興家具行の界隈などです。
「電姬戲院」は、ちょうど大台南公車の黄幹線と橘幹線の「戯院前」停留所の場所にあたります。昭和13年(1938年)に地元の名士である陳臣によって創建されました。1階は300席、2階は100席。日本人がいたころは家族で楽しめる映画館として、盛況を極めていましたが、終戦後は布袋戲や歌仔戲のほか、芝居やストリップショーにも使用され、1987年に閉業となりました。
電姫という名も個性的
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縁起物の猿が並んでいます
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切符はこちらで
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当時の出演者の写真
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現在85℃カフェがある中山路と中華街交差点の建物も一見の価値があり。
こちらは地元の事業家陳善によって建設され、当時は「杏花村」という名の有名な居酒屋として、一世を風靡したそうです。内部では、女性が席に着いて一緒に酒を飲む形が採られ、元祖クラブの走りだったと言われています。陳善は、この建物を中心として左右合わせて14棟もの建物を所有していました。また、レンガを焼く窯も自己経営していた関係で、これらの建物には特製の材料を使用。それ故過去の戦争や地震でもビクともせずにきれいに残ったと言われています。
さて、壁面の動物ですが、ナビには、どう見ても2羽のウサギなんだけど、地元では猫だと言われています。台湾では、「豬來窮,狗來富,貓來起大厝」ということわざがあり、猫は幸運をもたらす動物なんだそうです。
台湾人にこよなく愛される味の数々
麻豆では、豆花店、來香餅鋪、寶達香瓜子鋪など台湾ならではの美食の店が数多くありますが、台湾人のおやつとして欠かせないものに、肉鬆があります。
朝ごはんのふりかけやおかゆのおかずとして、そして、サンドイッチの具材やパンの中身として、おにぎりにも入れられる肉鬆。お店は初期は屋台だったのがいつも大人気で、2年前に店舗を構えました。
店先では、常に肉を焼いています。中でも蜜汁肉乾(甘い味のポークジャーキー)は、豚肉の後ろ脚のお尻の柔らかい部分を1斤(600g)ずつ使います。毎朝3時から仕込み始め、開店後はお客さんがどんどん入って来るのです。この日は土砂降りの雨にも関わらず、バイクで乗り付けてくるお客さんが後を絶ちませんでした。メインのポークジャーキーは従来の味を守りつつ、ここ数年はカレー味や味噌味、黒こしょう味にタイ風味など新しい味も取り入れています。タイ風味は、ちょっと固めに仕上げていますが。醤油、砂糖の他に、金柑やレモンも加えられているため、甘酸っぱい風味が増し、食べだすと止まりません。
合口味
台南市麻豆区博愛路30号
電話:(06)571-5069 営業時間:7:00~22:00
伝統ばかりではなく
古風な麻豆の街ですが、しゃれた西洋料理が味わえる店もありました。
若いオーナーが開いた店は、イタリアンがメイン。食材はニュ-ランド牛肉以外は、すべて台湾当地のもの。調理法もなかなか凝っていて、パスタはもう一度味わいたいですね。
新欣奇 New Hinch
台南市麻豆区興南路68号 電話:(06)571-6693
営業時間:11:00~14:00、17:00~21:00
麻豆もあたたかい人たちがいる街。台湾リピーターになりかけている人はぜひ麻豆へ~。
以上、台北ナビでした。