国立台湾史前文化博物館(台東市)

National Museum of Prehistory國立臺湾史前文化博物館

閉店・移転、情報の修正などの報告

遺跡の発掘がきっかけで、台湾東部に出現した最高に現代的な博物館です!

こんにちは、台北ナビです。
のどかな田園が連なる台東地方。ここに、かなり先進的な博物館があるということをご存知の方は少ないでしょう。「史前博物館」…到着後、ナビは建物の外観に圧倒され、敷地の広さに目を見張り、そして、中に入って本当に驚きました。台北よりずっと先をいってる…今日は限られた時間内だったのですが、機会があれば、次回はカフェでくつろぎ、庭もゆっくりと歩き、ショーも観賞したいと思ったのでした。
★WEBサイトには、きちんと日本語での紹介があります。来館の際は、ぜひ先に一読して、ある程度の理解をもって来られたら、参観がもっと楽しくなると思いますよ。 

博物館の起こり


「国立台湾史前文化博物館」が建設されたきっかけは、やはり卑南遺跡の発掘からでした。
やはりと言ったのは、卑南文化公園内とその周辺に広がる遺跡が発見され、これを保管、展示するには、博物館の建設しかなかったのでは?ということです。

★国立台湾史前文化博物館から卑南文化公園は、車で10分~15分の距離です。
遺跡が見つかったのは、1980年7月のこと。台鉄「台東」駅(現在の「卑南」駅)と操車場の建設工事中の際、たくさんの先史時代の遺物が土中から出現したのです。石の棺と棺内に納められた美しい副葬品の数々・・・。当時一般人に考古学という学問がそれほど認識されていなかった台湾では、遺跡の価値がよくわかりませんでした。その後どうやら希少なものであるということが知られ始めてから、多くの人の注目を浴び、盗掘などが行われました。盗掘がニュースに取りざたされてから、建設工事はストップ。台東県はやっと台湾大学人類学科の宋文薰教授に全権をゆだね、教授が組織した卑南遺跡発掘隊によって、発掘と保存が進められたのです。
約10年の間、宋文薰教授と連照美氏教授は学生たちを率いて、十数回の保存作業を進めました。この間、千五百基を超える古墳と数万点の土器と石器が発掘され、その面積は、1万㎡以上にも及びました。遺跡は新石器時代中期~後期の重要な遺跡で、東南アジアで最大の石棺墓群となりました。博物館建設は、宋文薰教授が提案したもので、2002年8月17日に正式に開館し、台湾先史文化保存と研究の発展の展示がなされました。 

魅力ありすぎの博物館


国立台湾史前文化博物館は、台鉄「康楽」駅から徒歩で5~10分ほどの距離にあります。
後方の公園のはるか向こうには、中央山脈が望めます。
博物館の建築は、アメリカ人建築家マイケルグレイブス(Michael Graves)による設計です。
2Fから中央山脈を望みます

2Fから中央山脈を望みます

入館料は80元。安すぎるのでは?とナビは思ったくらいの素晴らしさでした。館内は、一つずつのカテゴリーにまとめられ紹介されています。収蔵される文物、展示内容、設備、周辺環境のよさはかなりの高得点で、何よりナビがすごいと思ったのは、そのカテゴリーごとの配置、設計デザイン。展示物そのものよりもその設計に感激したといったら、博物館に失礼かもしれませんが、ナビの場合、台湾で見た博物館で、今までで一番よかったのが蘭陽博物館だとすると、ここ「国立台湾史前文化博物館」は、その上をいっています。ここに来たら、今まで考古学というものに興味がなかった人も、その学問に親近感をもつことでしょう。 

館内に入りました

1Fのロビー、ここから2Fに上がっていきます

1Fのロビー、ここから2Fに上がっていきます

内部は、常設展示として、【台湾自然史】【台湾先史時代史】【台湾オーストロネシア語族】の3大テーマがあります。2Fの入口から入って、階段を上り、右側の廊下を歩いていくと、まず【台湾自然史】展示ホールがあります。内容は、この島の誕生から今日までの地質の変化と生態の変化。そこから順路に沿っていくと、今度は、【台湾先史時代史】展示ホールにあたります。この島各地の先史人たちが、時代ごとに環境に適応し、各地でそれぞれの文化を発展させる様子、生活、文化的創造を説明しています。最後はまた2Fに戻って【台湾オーストロネシア語族】展示ホールに着きます。台湾オーストロネシア語族が環境に適応しつつ、多面的な文化を育んできたことの展示で、台湾の島の誕生から動植物、文化が形作られていく様子が紹介されています。 
1Fロビーの左は案内所、チケット売り場、日本語のパンフも置いてあります

1Fロビーの左は案内所、チケット売り場、日本語のパンフも置いてあります

右はショップです

右はショップです

2Fに上がると、玉の説明とかがあって、右の方へ行くと…

2Fに上がると、玉の説明とかがあって、右の方へ行くと…

常設展示会場の入口がありました

常設展示会場の入口がありました

台湾自然史展示ホール(2F)


島の誕生、氷河期、新世代で、自然史の流れを知ることが出来ます。中国語の説明書きなので、難しい・・・と思う方は、ナビのように展示物の流れをざっと見ていくだけでもかなり楽しめます。
台湾という島は、ユーラシア大陸プレートとフィリピン海プレートがぶつかり圧縮され、海底から盛り上がり形成された島嶼。その後の400年間、氷河期があり、その後海面の低下と上昇によって、大陸から動植物が進入し、多様な生物の基礎が出来上がったのです。ゾウの模型などはなかなかリアルで圧倒される造り、その展示物の見せ方や配置デザインなどに感心してしまいました。
迫力があります

迫力があります

素晴らしい設計です

素晴らしい設計です

日本統治時代、台湾原住民で、最初に医者になった南志信さんという方のことが書かれていました

日本統治時代、台湾原住民で、最初に医者になった南志信さんという方のことが書かれていました

展示コーナーの繋ぎ通路は斜面なので、バリアフリー完備です 展示コーナーの繋ぎ通路は斜面なので、バリアフリー完備です 展示コーナーの繋ぎ通路は斜面なので、バリアフリー完備です

展示コーナーの繋ぎ通路は斜面なので、バリアフリー完備です

台湾先史時代史展示ホール(B1F)

ここは、台湾先史時代の幕開けで、台湾先史人の生活、当時使用した土器、海との関わり、卑南遺跡の卑南文化、卑巨石と祭祀、石器と玉工芸品、鉄器時代の台湾・・・と内容満載の展示コーナーです。このコーナーから、人類の模型などが置かれているので、その生活の様子などが文字を見なくとも、ある程度理解することができます。
台湾は、現在1000個以上の先史遺跡がありますが、先史時代初期から他方から来た民族たちと交流しつつ、多様な文化を発展させてきました。先史文化は14に分けられ、台北近郊では、十三行が有名ですね。このコーナーでは、最初の人類が現れてから文化が始まり、台湾が有史時代に入るまでを紹介しています。
土器の数々

土器の数々

広々とした空間

広々とした空間

台北近郊の先史文化である十三行の紹介と発掘作業の紹介 台北近郊の先史文化である十三行の紹介と発掘作業の紹介

台北近郊の先史文化である十三行の紹介と発掘作業の紹介

卑南文化の様子

卑南文化の様子

説明書きも中国語ですが、あります

説明書きも中国語ですが、あります

こちらは漁猟の様子

こちらは漁猟の様子

かなり大きな魚も仕留め、皆でさばいていたようです

かなり大きな魚も仕留め、皆でさばいていたようです

生活用品も皆で力を合わせて

生活用品も皆で力を合わせて

この時代から陶器の基礎が作られたというのがよくわかります

この時代から陶器の基礎が作られたというのがよくわかります

台湾オーストロネシア語族ホール(2F)

このコーナーは、社会的人間関係、工芸、生業と社会、祭事と精霊に関してです。
「南島民族」と呼ばれる台湾原住民。この呼び方は、「オーストロネシア語族」(Austronesian)から来ていて、この語族は太平洋諸島とアフリカマダガスカル島にまで分布しているそうです。卑南の先史遺跡などから出土する遺物は、近代原住民の生活に使用する道具につながるものも多いのです。
現代までの約400年間、オランダや中国、日本などの統治によって、原住民の生活も大きく変化してきました。そんな中、彼らは伝統文化を守りつつ、ある部分時代の流れにうまく適応してきています。現在政府に認定されている民族は、14民族ですが、このコーナーでは、各民族の建築文化、結婚や出産、親戚関係、山地海洋文化、制度としきたり、祭事に関してなど、その文化の代表的な特徴を紹介しています。 
台湾東部・蘭嶼島のダウ族の船です

台湾東部・蘭嶼島のダウ族の船です

現代的なデザインで造られています

現代的なデザインで造られています

中庭や公園を望む

Waterショーもあります

Waterショーもあります


展示空間は、2FとB1Fの全フロアと1Fの半分で、建物中央は、山の広場という名のイベントなどに利用される空間があります。建物の外壁に描かれた図案は、原住民文化の特色を表しています。大理石やタイルなどの建材はなるべくこの地方のものを使い、色は自然に忠実で、宇宙の中の自然を表現、個性的な屋根は、遺跡を表現しています。入口入って、右側はショップで、他所では見られないような原住民の工芸品類などがそろっています。カフェと軽食のエリアは2Fの奥にあります。
レンガ色がきれいです

レンガ色がきれいです

建物の後方、Waterダンス広場は、右方

建物の後方、Waterダンス広場は、右方

後方右は、子供たちが遊べるところで、迷宮もあります

後方右は、子供たちが遊べるところで、迷宮もあります

半月の池という名の噴水

半月の池という名の噴水

イベントに使用される山の広場、建物中央に位置しています

イベントに使用される山の広場、建物中央に位置しています

山の広場にも遺跡

山の広場にも遺跡

2Fのカフェ

2Fのカフェ

明るいですね

明るいですね

博物館前は、太陽広場と呼ばれています

博物館前は、太陽広場と呼ばれています

史前博物館隣のホテルも、博物館みたいでした…

史前博物館隣のホテルも、博物館みたいでした…

ちょっと行ってみようかな~、と軽い気持ちで出かけた博物館でしたが、建物を見たとたん、その立ち姿に惹かれ、中に入るとす~っとのめりこんでいくほどの豊富な内容でした。見終わった後の感想は、充実感…。面白いです。
今後台東に行かれる方、時間があれば、ぜひ立ち寄ってみてください。少なくとも2時間はとっておいてくださいね。 
以上、台北ナビでした。  

記事登録日:2013-10-08

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スポット登録日:2013-10-08

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