全長29.7kmの行き止まりローカル線の終着駅、車埕を代表するのは梅酒と駅舎、林業と発電所、老街!
こんにちは、台北ナビです。
今回5年ぶりに車埕駅へ行き、その変化にちょっと驚きました。以前はローカル支線の終着駅という言葉がぴったりのごとく、大自然のなかに駅舎がポツリ。駅周辺にはのどかでゆったりとした空気が流れていましたが、今回行ってみると車埕駅周辺には変化があり、当時のままの設備を現存したり再現したり、かなり整備されていました。
しかし、ノスタルジックな雰囲気は健在で、観光客も増えたようでよかったなあなんて思ったナビです。
ひとつ残念なのは、林業が盛んだった1960年代、宿舎として建てられたヒノキ造りの貴重な建造物が、2013年1月に発生した火災で10数棟全焼したこと。
これら家屋群の一部は修復を経て、博物館として2月に公開予定となっていました。日本式庭園がある4棟は管理処の所有で、2102年、修復のために1500万元(約4500万円)を費やしました。管理処側は、2013年8月現在、今後どのように復旧再建を行うかまだ模索中だとのことです。
到着
今回は車で行ったので、駅後方の駐車場に車を停めてから歩きます。駐車場前には小さな梅酒博物館があったので、ちょっと覗いてみました。梅といえば、南投県の信義郷の方が有名ですが、こちらは試飲などのセールスもなかなか熱心。
2013年8月現在の車埕駅とその周辺
駅後方の景色も見ごたえがありますね
車埕駅は見所満載
終点駅としての風格を持つ車埕駅、だと思います。
建物自体は普通の大きさで昔の駅風ですが、その周辺には見所がたくさんあります。まず、ホームに降り立った時に仰ぎ見て、深呼吸したくなるほどの雄大な景色、何本もの線路、行き止まりのホーム。ここに立つと、列車が登場してくる情緒あるトンネルも見えるんですね。そして、林業製材所はかなり広く、その奥の貯水池…。
車埕駅
この景色にほれぼれ
このトンネルがいいんです
老街の食堂
駅を出て、駅前の坂道を上って行くと老街で、食堂やお土産屋さんもあります。
車埕には、木造建築も多いので、町全体がレトロな情緒に包まれ、長時間楽しめる観光スポットとなっています。
林業の名残り
木工店「林班道」
集集線は、日本統治時代に建設資材などを輸送するために敷設された路線で、車埕はその終点駅として、昔は林業の町として栄えていました。車埕周辺の山々で伐採された木材はここに集められたのです。その面影は駅周辺の各所に残っています。
林業は時代とともに廃れていきましたが、ここ数年の観光ブームのおかげで、DIYも行える木工を扱った店「林班道」ができたり、当時の労働者の模型も置いた製材所も再現されたりで、再び注目を集めています。
池近くに木造建築の酵素酒の店
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製材所内では、梅酒や木工などのおみやげが買えます
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「林班道」の入口、レストランもあります
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さっきの模型と同じ造り、昔を再現しています
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貯水池の周辺
木材を浮かべていた貯水池の周りには遊歩道やカフェレストラン、木造家屋のビジターセンターもあります。
カフェレストランから池を眺めると、なかなかいい雰囲気ですよ。
発電所まで行きました
池の向こうには、水力発電所が望めます。
もし車で来たなら、南投県にある4カ所の水力発電所のうちの1つである大觀發電廠(南投縣水里鄉車埕村明潭巷73號・電話:049-2774065・9:00~16:00(火~日))までは、約5分で行くことができます。唯一観光客に開放している発電所で、景色も雄大、水量が多い時は圧巻です。今回ナビは、梅酒博物館の隣の食堂でこの情報をもらい、さっそく行ってみることに。
国営企業台湾電力公司の敷地に入るので、入口でまず登記。案内所に入ると、こちらの大觀發電廠を紹介するビデオを見せてもらいました。が、すべて中国語なので、観光客の人は壁に飾ってある写真などをざっと眺めるくらいでしょうか。山にはりつく水管の高さ、大きさ、長さにほおーっとため息。水はコバルトグリーンでとてもきれい。駅へ戻る途中、南投出身のドライバーの張さんから、このダムを建造するのに村の住民は丸ごと移動させられ、村の家屋はこのきれいな色の貯水池の下に埋没させられたという話を聞きました。
発電所のアイスキャンディー
そして、その村がどこに移動させられたかですが、水里郷のニ坪というところなのです。
先ほど集集線は、建設資材などを輸送するために敷設された路線と書きましたが、これは主に台湾電力の発電所建設のための物資輸送が目的だったんですね。
そして、その線路は縦貫線二八水駅(現・二水駅)から工事作業地区・外車埕(現・車埕駅)までだったのです。
今回車埕へ向かう途中、そのニ坪と言うところに、張さんがアイスキャンディーのすごく有名なところがあるというので、ちょっと寄ってみました。このアイスキャンディーの建物は、台湾電力の職員たちの家族宿舎エリアの中にあり、当初は職員たちの福利社(職員用の店)だったのですが、今は一般の方も敷地内に入って買えるようになっています。
こちらの宿舎ですが、福利社隣の一番古そうな建物に住む人たちが、そのダムに埋もれた村から移住してきた人たちだと聞きました。
これが、水力パワーの源
さて、なぜアイスキャンディーかと言うと、台湾の方曰く「電力が余ってて(強すぎて?)、すぐ氷が出来ちゃうから、だからすぐ大量生産ってことだよ。」大觀發電廠の豊かな水力のおかげで、職員たちで食べきれないくらいの量が生産できるようになったからか、一般の人たちに知れ渡ると、安くてうまくて懐かしの味だからか、こちらのアイスキャンディーは瞬く間にとても有名になり、週末ともなると長蛇の列。ナビが「どれがおいしいの?」と福利社の人に聞くと、一番プレーンな「清冰」とのこと。これ、1本たったの6元!名前の通り、清らかな水を想像させるようなきれいな色で、味は爽やかでほのかに甘い。暑い時だったので、1本で暑さも吹っ飛びました。味は全部で20種以上、パッションフルーツやタロイモなど、台湾ならではの味もあるので、もし行くことがあったら試してみてくださいね。他の人たちはケースで何箱も買っていました。
2本で12元!なんと、アイスの袋の写真は、大觀發電廠!!
ぜひ!!!
また来よう
今回の旅で、日本統治時代に敷設された鉄道と駅、その周辺には様々な歴史があることに感じ入りました。以前集集線に乗った時の一番の目的は、終点駅で駅弁を食べることでした。
今回の旅は、思いがけず旅全体の幅を広げ奥を掘り下げることができ、ナビ自身もびっくり。交通機関を変えてみたことも、別の視点から見ることができた要因の1つかもしれません。旅先で出会った人たちの話しなども関係してくるでしょうね。次回行くことがあったら、また別の角度からいろんな発見ができればいいなと思います。
以上、台北ナビでした。