南部台湾で最大の佛教寺「佛光山寺」と「佛陀紀念館」を見てきました!
こんにちは、台北ナビです。
今日は台湾の4大仏教の一つである佛光山をご紹介します。総本山は台湾の高雄県大樹郷に位置し、昔は荒山でしたが、星雲大師の指導のもと、1967年5月16日から山を切り開き始めました。僧侶から伺った話しによると、もともとこの山はあるご夫婦のものでしたが、財務困窮に陥ったところを、星雲大師が引き受けたということです。山奥の辺鄙な場所でもあったので、多くの人が何でこんなところに?と最初反対したそうですが、法師の強い信念に弟子達の奉仕の精神が合わさり、その後信徒達の熱心な支持もあり、竹薮多い荒山を徐々に開墾。やがてここは台湾南部最大の仏教寺院となり、今では海外からも仏教の聖地と公認されるに至っています。
台湾での宗教
台湾の人口は、2012年現在約2300万人。うち仏教徒が最も多く、次に道教、そして、キリスト教信者も人口の割に日本より多いのが特徴的です。また、仏教といっても道教が混じっている部分も多いので、日本とは全く異なるといってもよいほどです。佛光山は臨済宗ですが、江戸時代に白隠が再興した日本の臨済宗ではなく、唐の臨済義玄を宗祖としているので、やはり少し違います。日本との違いはまず建物を見れば一目瞭然でしょう。
台湾では、人々の信仰心はかなり篤く、廟や寺の立地密度もかなり高くなっています。離島などでも荒涼とした海岸沿いで車を飛ばしていると、いきなり色彩豊かな廟が現われることがあり驚きます。そして、それらの建設費用はすべて信者からのものだと聞くと、頭が下がるばかりです。
観光地でも台湾の人たちの信仰の篤さを知ることができます。たとえば、龍山寺は毎日が寺のイベントだと思えるほどの人の多さと山積みの供物。行天宮でもその光景は同じでしょう。また、お線香を手に持ち、熱心に拝んでいる人たちの中には若い人もたくさんいます。
台湾の4大仏教とは、南投:中台禅寺、新北市:法鼓山、花蓮:慈済基金会、高雄:佛光山と言われています。それぞれが各自の布教以外に慈善活動や教育など、各方面で強みを持っていますが、教育面はどの団体も熱心で、小学校から寄宿舎設備を備えていることから、親が熱心な仏教徒であると、子供を幼少の頃から預ける家庭もあります。親は子供の躾になるし、贅沢を好まぬ規律正しい人間になるなど、すべて子供によかれと思ってそうするのですが、幼い頃からベジタリアンで育ってしまいます。それはどうなのかな?とナビは疑問に思っていたら、実際週末寄宿舎を離れたとたんその反動があるということも聞きました。生活状況に関係なく、一般の家庭でも仏教学校に子を送る家庭は、日本より多いのですが、かわいい子供の時期に親元を離れて生活するなんて、子供だけじゃなく親も寂しいでしょう。子供がりっぱに育てば、幼かった頃の日々の生活の思い出が乏しくとも、親としては満足するのでしょうか。しかし、佛光山では、生徒、学生としてではなく、自ら「出家」目的で来る10代の子たちも多く、高校生くらいから志願してくるそうです。数年の修業期間を経て、僧侶としてやっていけるかどうかが判断されます。
佛光山寺(Fo Guang Shan Monastery)の概略
開山臨済宗第48代星雲大師(1927年中国江蘇州生まれ)が、仏教の道に進んだのは、熱心な仏教徒の祖母からの影響が大きいと星雲法師自らが語っています。法師は17歳の時にマラリアにかかりました。生死の境をさまよっていたところ、師父からいただいた鹹菜を食べて助かり、その時一生を人に尽くす決心をしたということです。1949年台湾に渡り、布教活動を開始。台湾各地を回りました。現在はご高齢のため車椅子に乗ることも多くなりましたが、今でも第一線で日々活動されています。
佛光山寺所在地:台湾高雄市大樹郷興田村153号
境内施設:敷地300万m2 開山祖師:星雲大師
総本山住職:心培和尚 僧侶数:約1,500人
信者数:約300万人(台湾、日本、その他アジア、欧米、豪州、アフリカ)
活動の宗旨:人間仏教の趣旨にふさわしい活動の実践に努め、以下のことを目的としています。1) 文化による弘法、2) 教育による人材の育成、3) 慈善による社会への奉仕、4) 修行による人心の浄化
寺院設立国:台湾国内に70寺院、その他海外60か国に220寺院(米国、カナダ、フランス、オランダ、イギリス、ドイツ、フィリピン、オーストリア、スウェーデン、スイス、オーストラリア、ニュージーランド、タイ、マレーシア、インド、中国、香港、韓国、日本、南アフリカ、ブラジル、アルゼンチンほか)
佛光山寺関連機関:佛光テレビ局(台湾・台北)、佛光縁美術館(台湾・台北)、「人間福報」新聞社(台湾・台北)、佛光文化出版社(台湾・台北)、叢林学院(台湾・台北)、西来大学(米国・カリフォリニア州ロサンゼルス近隣のロセメド市)、南華大学(台湾・嘉義)、雲水病院(台湾・宜蘭)、禅堂・念仏堂・写経堂
それでは、中に入ってみましょう!
山を登って行った先にある入口の山門は「不二門」と書かれ、その門の右側に浄土洞窟があります。人工の洞窟は外から見るよりも大きく、入ってすぐのところには、「全人類仏教礼賛の図」と「全動物仏教礼賛の図」。一番奥には仏陀の座像。そして手前には2mくらいの五百羅漢の座像。羅漢像には横道があり、ずっと行くと、釈迦三尊像があります。ナビは今回内部には入りませんでしたが、時間に余裕がある方はぜひどうぞ。
「寶蔵館」
開館時間:9:00~17:00 年中無休寶藏館は、淨土洞窟の上方、不二門の両側に位置し、800坪を有します。白いきれいな建物で、内部には1250種もの文殊、彌勒などの大菩薩を備え、16体の阿羅漢,凝神傾聽,傳神が置かれています。
「大雄寶殿」
こちらは、佛光山を訪れた人が必ず入るという寶殿。ここへ来るために佛光山へ来たという人がほとんどと言ってもよいでしょう。寶殿前の「成佛大道」は数千坪の広さがあり、3万人規模の集会にも使用されています。「大雄寶殿」は1800坪。殿内の天井までは100m。中央には、本尊である釈迦仏、阿弥陀仏、薬師如来の3体が並んでいます。大雄宝殿(本堂)の周囲には、釈迦牟尼佛聖像がなんと14800体並んでいます。
入口で「蓮の花」を受け取り、仏像前にお供えして、お参りします。
靴を脱いで入ります
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「大雄寶殿」前の3万人が入れる広場
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天井の高さと模様にびっくり
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壁を見て、さらにため息が出ました
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「地蔵殿」
中型佛像が750体、小型が1500体も収められています。
「佛光縁美術館」
「佛光縁美術館」
水墨画の他に仏像文化に関するものが主に展示されていますが、定期的に変わる展示品もあります。
ナビはこの日メディア取材で許可されましたが、通常撮影は禁止されていますので、ご注意ください。
開館時間:9:00~17:00 開放曜日:火~日
台湾歴史博物館でも展示されていました
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神々しさを感じます
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こちらはコース料理の一例です
素食(ベジタリアン)料理
開山当初、新幹線というのもがまだ存在していなかった時代、台北から佛光山へ来るには8時間もかかっていました。法師の計らいで、遠くから来た人には食事を振舞っていたそうです。「佛光山」敷地内には、素食レストランがあります。コース料理は事前予約が必要ですが、自助餐というビュッフェ形式は、予約なしで入ることができます。
「清水坊」
入ってみると、仏教関連の書籍やCD、関連グッズがすらり。
内部はとても明るい雰囲気で、ちょっと座れるスペースもあります。
「五百羅漢」
その名の通り、500体の羅漢像がここには並んでいるのですが、羅漢様のやわらかい表情やお姿が皆異なっています。
「佛陀紀念館」
10年以上の年月をかけて、2011年12月25日に落成した「佛陀紀念館」は、佛光山の隣にあり、紀念館のみの広さは、4000坪。本館へは240mの成佛大道という通路があり、本館後方には高さ108mの銅仏が構えています。また、通路左右には八正道と言われる8塔の寶塔があります。紀念館は、1998年、チベットラマである貢葛多傑仁波切が、釈迦牟尼佛が人界に残した3本の歯のうちの1本を星雲法師に託すということで、この佛牙舎利(歯)は30844㎞の道のりを経て、バンコク経由で2003年台湾へ渡りました。残りの2本は中国とスリランカにあります。
紀念館へ入るには、まず「禮敬大廰」に入るのですが、門の入口には、象と雄獅の巨大な像があります。
1400坪の「禮敬大廰」は、地上1F、地下3F。1Fには、郵便局や両替もできる銀行も備えています。海外信者が増えてきた点を考慮しての配置のようです。ロビーに入って内部を見てから後門に抜けると、8つの寶塔が並ぶ成佛大道へとつながっていました。8塔には、一教、二衆、三好、四給、五和、六度、七誡、八道という名前が付いています。各塔とも7層あり、一層ごとにいわゆる「天宮」と呼ばれる仏教の貴重な宝物を収蔵しています。すべて異なった宝物は、8塔x7層なので全部で56個。全部見終わるには1日では足りないかもしれません。
禮敬大廰の内部
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訪れた人はここにサイン
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星雲大師のことを知ることができます
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祈願コーナーもありました
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驚きました
紀念館の頂上には仏様
成佛大道を進んでいくと、その先に紀念館がありますが、館前の広場は、「菩提廣場」といい幅奥行きとも100mの広さ!ここで皆写真を撮るようです。 「佛陀紀念館」本館は、地下1階、地上5階、「三殿」「四館」から成っています。「三殿」とは、「観音殿」、「金佛殿」「玉佛殿」のこと。「四館」ですが、第一館は「地宮還原常設展」で、中に入ると数千年前の仏陀の時代まで遡ったような錯覚に陥ります。地下にある「地宮」というのは、地下の宮殿で、人が死んだ後に行く冥界をも指します。「地宮」は、「舎利」を置く場所であり、当時の文物も保存しています。紀念館には、48カ所の「地宮」があり、毎100年に一ヵ所を開放します。ということは、全部開放するには4800年を要するので、人はこの一生で一ヵ所しか見ることができません。文物には玉器、琺瑯、瑠璃、陶器、磁器、金属、化石などの腐敗しない歴史的価値のあるもの、かなり昔の仏像、法器、芸術品などの他に、星雲法師が使用した保温ボトルや携帯電話などもあります。第二館は、「佛陀館」、第三館は、仏教行事の紹介、第四館では、仏教発展の歴史を知ることができます。5階まである本館の2階は、2000人が収容できる大覚堂と美術館が4つもあるのです。
「菩提廣場」は、皆が集まって写真を撮る場所でもあります
「菩提廣場」から「成佛大道」を振り返ってみました
日本にも
星雲法師
日本では、以下の場所に佛光山があり、東京佛光山寺は、日本別院の第1号です。
本栖寺
山梨県 南巨摩郡 身延町 中之倉2927 公式:http://dharma.fgs.org.tw/shrine/motosu/
東京佛光山寺 東京都 板橋区 熊野町35-3 電話:81(3)5966-9037~8
大阪佛光山寺
兵庫県 宝塚市 清荒神4丁目14-18 電話:81(797)81-7478
名古屋佛光山 名古屋市昭和區櫻山町2-30-4 電話:81(52)851-7771
福岡佛光山寺 福岡市早良區室見1-1-6 電話:81(92)8432907
群馬籌備會 群馬縣高崎市上豊岡町235-1 電話:81(027)327 5795
ナビたちは、この日慧傳法師にお会いすることができ、佛光山の紹介、そして、壁に掛かっていた大きな額の中の言葉「做好事.說好話.存好心」(良いことをし、人が嫌がることは話さない、常に善の心を持っていること)についてお話を伺いました。
佛光山は、2011年日本の大震災にも援助の手を差し伸べてくれました。
終始にこやかな表情でお話しくださり、メディア陣は和みました
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紀念館の壁には、募金した人たちの名前がびっしり彫られています
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