桃源郷のような、ゆったりとした時間が流れる島、莒光。馬祖唯一の第2級古跡である東犬燈台は必見です!
こんにちは、台北ナビです。
今回は台湾から一番遠い島、馬祖にある莒光にやってきました。馬祖観光といえば南竿、北竿という2つの島がメインですが、莒光はゆったりとした時間を過ごすには最適の島。実は釣りを愛する方達が通う釣り天国でもあるのです。
莒光へアクセスは?
莒光には飛行機が離着陸できる空港がないため、まずは台北(1日6~8便)か台中(一日1便)から飛行機に乗るか、基隆から船に乗り(毎週6便)南竿を目指しましょう。
南竿空港到着後、福澳港から約50分船に乗ると莒光に到着します。(毎日3便、1便50人)。(2011年4月現在)
直接飛行機で着けないのは面倒ですが、かえって秘境の地に到着したような気になれるのが不思議です。
台北(02)2518-5166/南竿(08)362-6511/北竿(08)365-6578
南竿(08)362-2193/北竿(08)365-5614/莒光(08)362-2503
◇新華航業
基隆(02)2424-6868/南竿(08)362-6655/東引(08)367-7555
莒光は面積2.64平方㎞の東莒と面積2.37平方㎞の西莒からなる郷で、馬祖最南端にあります。大きさはだいたい台北市の154分の1ほどしかありません。人口1.200人弱の小さな郷です。
莒光は東と西に分かれています。昔東莒と西莒は、その形が中国大陸福建省最大の河川「閩江」と海上の間で、2頭の犬が寝転がっているように見えたことから、「東犬」「西犬」と呼ばれ、ふたつ併せて「白犬列島」と呼ばれていました。その後蒋介石の訓示である「毋忘在莒(歴史の教訓を忘れず、国土を奪い返そう)」から、東莒と西莒は、2つ合わせて莒光と改名しました。
今では釣り人から愛される島として、年中釣り人の姿を見ることができます。また、6月には台湾では唯一海でドラゴンボートの試合が開催されます!海で漕ぐドラゴンボート!きっと気持ちいいだろうなぁ……。
7~8月には花蛤節(アサリの季節)!日本よりも大ぶりなアサリを是非!
莒光遊客中心で情報を集めよう!
莒光遊客中心とはトラベルインフォメーションセンターのこと。
地方都市の遊客中心は、その土地の風土を大切に作られています。莒光遊客中心も福正聚落の隣にあり、石造りが雰囲気抜群!中に入ると海からの心地よい風に吹かれて気持ちがいいです。
こちらでは台湾本島では手に入りにくい莒光の情報が満載!DVDを定期的に放映しているので、まずこちらで情報を入手してから莒光を観光するのが良さそうです。
大埔石刻のレプリカ
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すぐ隣には「福正聚落」があり、溶け込むように莒光遊客中心があります。
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馬祖で唯一の第二級古跡、東犬燈塔
福正聚落から、馬祖独特の道を東北に進んで行くと東犬燈塔があります。1842年清朝がアヘン戦争に負け、イギリスと南京条約を結んだ際、「広州、福州、廈門、寧波、上海」の5港を開港しました。
そのうちの福州の位置を正しく見分けるため、1872年イギリスの要求に応じて1872年東犬燈塔を建てました。その後1988年に①台湾で初めて花崗岩を使用して燈台を作ったこと②燈台の高さが19.5mあること③主燈がまだ現存し、光が約31km先まで届くことが評価され、第二級古跡に指定されました。
100年以上経った今でも現役で頑張っています!残念ながら燈台の中に入ることはできませんが、隣の資料館には主燈のレプリカや歴史的に重要な文物が展示されているので必見です!
白くそびえる姿が美しく、そばには草が茂り、そこでたたずむ方の姿も……。ナビもまねして、しばし海を眺めながら時を過ごしました。
中国洋式と洋式がミックスされている燈台!
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宿舎が横にありました。
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福正聚落から大埔聚落へ向かう途中にある「神祕小海灣」。近年になって名付けられた比較的新しい観光名所です。
伝説では、八仙で有名な呂洞賓と何仙姑の恋愛ストーリーがここで繰り広げられたため「呂何崖」とも呼ばれているそうです。
また、かつて馬祖では海賊が横行しており、住民にとって海賊から隠れるためにとても適した場所だったと言われています。海賊たちが船を襲おうと追ってくると、この洞窟に逃げ込みました。そうすると一瞬のうちに船が消えた!と海賊たちは気味悪がり近づかなくなったそうです。また、洞窟の中には不発弾などが残っていますので、絶対に中には入らないようにしてください。
この人間には作り出せないであろう形から、色々なものに見えるというのですが、想像力の乏しいナビにはただの岩にしか見えず……。想像力が豊かな方はインスピレーションを存分に発揮してくださいねっ!
「林坳嶼」は東莒の3つの島のうちのひとつです。引き潮になっても東莒とは繋がることはない遠い島です。現在は一般開放されていないのですが、一部の釣り愛好家たちはここで釣りを楽しむとか……。
神祕小海灣。みなさんの目には何に映りますか?
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ライオンや犬に見えるとか見えないとか・・・
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風と潮で作りだされた岩たち
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今にも落ちそうな石!風化によってこのような形に!
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昔の姿を残す町並み、大埔集落
その昔ここは漁業が盛んであり、港もありました。大埔集落の向かいにある山が冬に吹く北風を遮ってくれるので、東莒の住民たちは冬になると大埔集落に移動してきました。
後に漁業は衰退してしまい、住民もいなくなってしまいましたが、昔の東莒の生活を知る重要な場所として考えられています。時の流れから取り残されたかのような雰囲気に感慨にふけってしまいます。
集落の奥に進んでいくと、「白馬尊王廟」がありました。ここは台湾で唯一お香と一緒にワラも立てられている珍しい廟です。それはなぜって?廟の中に馬がまつられているからなのです!おちゃめですね。
大埔石刻は1953年に国民党軍によって発見されました。
碑文には「萬曆彊梧,大荒落地,臘後挾日,宣州沈君有,容獲生倭六十九名於東沙之山,不傷一卒,閩人董應舉題此。」と書かれており、そのまま解読すれば、「1617年5月15日、宣州の沈君有が1名の部下のケガも犠牲もなく、69名の倭寇を生け捕りにしたことを讃えるためこれをここに記す」となります。
1966年には当時国防部長であった蒋介石の息子・蔣經國によって「懷古亭」が立てられ1988年に第三級古跡に指定されました。しかし、現地の方々の間では大埔石刻には東莒に埋蔵された宝物の位置が記されていると言い伝えられています。
ナビは全くもって解読できませんでしたが、もし解読された方はナビまでご一報を!
大埔石刻は海を向いています
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大埔石刻の解説が書かれています
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東莒では何を食べるの??
海に囲まれている東莒。もちろん食事もシーフード満載!
釣り人天国というだけあって、ナビが食べたスズキはすべて一本釣りしたもの!魚は一度も冷蔵・冷凍しないため新鮮そのもの!初めて見て・食べたものもあり、台湾とは違う!それを改めて感じることができます。
東莒と言えばアサリ(花蛤)!日本のものより大きい!貝からはみ出そうなほどです。ピリ辛に味付けされ、お箸がどんどん進みます。
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【藤壺蒸蛋】東北地方などで昔から食用とされているフジツボ。ナビは初めて見ました。日本の茶碗蒸しのようにして食べます。殻があって少し食べづらいのですが、あっさりとしていてイケます!
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【地瓜粿】オレンジ色が濃い方が金山のサツマイモ(東莒産)を使ったもの。色が薄い方が東莒のサツマイモ。中にはもち米が包まれており、サツマイモの味と溶け合いデザートにかなり食べられます!
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1本釣りしたスズキを豪快に揚げました。ただ油で揚げただけなのに、とってもおいしかったです!
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【野蔥餅(麥蔥煎餅)】この種の葱は冬、春雨の時期に馬祖で採れます。しっとりと焼き上がっており、中の葱の風味が濃くておいしい!
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【筆架(佛手)】その名の通り仏の手のようだからこの名前が付きました。殻を剥くとピンク色の身が出てきます。口に入れると濃い潮の味がしました!馬祖の名物料理!
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【冷菜】四季豆の天ぷらがホクホクしていて病みつきに!
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【鉄板豆腐】東莒のお豆腐は「アサリ・スイカ」と並んで東莒名物だとされています。特に「國利豆腐店」の豆腐がとても有名です。厚揚げのような豆腐は豆腐自体の味も濃く、ジューシー!是非食べてみてください。
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「故鄉民宿」
住所:馬祖莒光鄉東莒大坪村79号
電話:(08)368-9008/(08)368-8080
FAX :(08)368-8036
宿泊も可能です。1泊800元~
リトル香港・西莒
今回時間の関係で西莒には訪れることができませんでしたが、南竿の帰りに船の上からその様子を少し見ることができました。
東莒から西莒へはフェリーで15分。一日4便。かつては莒光の行政の中心地であり朝鮮戦争の期間にはアメリカの会社が駐在したことでリトル香港ともいわれるほど賑わいました。今でも西莒の玄関口となっており、西莒で一番活気があります。
交通が不便であることから、手つかずの昔ながらの風景が残されていると言われており、ナビも次こそは上陸してみたいものです。
素朴な風景の広がる莒光。その小ささから南竿に泊まって日帰りで回れると言われるのですが、この良さを味わうには莒光に1泊したいもの。おだやかな街に所々見られる中台冷戦の影。ひと味もふた味も違った旅をお約束します!
以上、台北ナビがお届けしました。
資料・画像提供:馬祖國家風景區管理處