台中と言えば、「彩虹眷村」に行きたい!と希望する人も多数。ここへ来ればその魅力にはまります♪
こんにちは、台北ナビです。今回は、台中を代表する観光スポットとして人気の「彩虹眷村」を訪ねて来ました。ここはかつて、周渝民主演の映画「愛你一萬年」のロケ地として知られ、今やテレビ番組や雑誌でも数多く取り上げられている有名地なのです。
『眷村』とは
台湾独特の「眷村」(一般的には軍人村)というエリアですが、第2次世界大戦後、蒋介石率いる国民党軍が台湾に進駐し、統治を始めた際に60万人(外省人と言われています)が移住してきたため、その人たちが暮らす住宅が必要となりました。官僚、軍人(陸軍、海軍)一般公務員、教師、地域と5種類にわけて、台湾各地に集合住宅を建設しました。そこには、外省人とその家族(多くは台湾へ来てから台湾人女性と結婚し、家族として増えた人々)が暮らしています。
こういうエリアは国民党が元からあった建築物を利用し、集団住宅にした場合もありますが、多くは新しく都市の郊外に建てられたもので、小さな急ごしらえの平屋のような建物が集合した場所です。この住宅、外省人とその配偶者、直系の子孫が住む権利を有しますが、土地は国防部(国)のものなのです。老朽化し、衛生面でも問題があり、住人も減少し、治安が悪くったという理由で、20年数前から多くは取り壊され、国宅(国の補助により建てられた低価格マンション)などに建て替えられたり、公園になったりしています。
★余談ですが、台北市の大安森林公園は、清朝時代は板橋林家花園の林家の所有で、日本時代には巨大な公園予定地となりました。が、終戦を迎え、国民党時代には、空軍の「建華新村」と陸軍の「岳廬新村」という2大「眷村」だったのでした。
『彩虹眷村』を探し尋ねて
この「彩虹眷村」は台中市の成功嶺の東側、南屯区の長春エリアにあり、この眷村周辺には、新しい建物や大学などがあります。この場所、7年ほど前は台中の人に聞いても知らない人がほとんどでした。が、今や台中観光の必須スポットとしても取り上げられ、公衆トイレも完備し、団体ツアーバスも乗り込んでいるのです。
駐車場と公園の向こうに鮮やかな壁が見えます。では、中へ入ってみましょう!小道の古い赤レンガの壁の上にデザインされた模様が描かれ、進んでいくと道路の上にも描かれています。人物像が出てきました。道路の上の絵もにぎやかになってきました。
『彩虹眷村』誕生ストーリー
「彩虹」は中国語で「虹」のこと。この場所を直訳すれば、「虹の村」になりますね。なぜ「虹」なのか。ここに絵を描き始めたのは、「黄じいさん(黄伯伯)」こと黄永阜さん。すでに90歳を超えた黄じいさんは、香港九龍出身。若いころ、国民党軍に志願し、台湾へとやってきました。高雄、屏東で暮らした後、台中の春安社区の眷村に落ち着きました。眷村は、そこに住む人々が平等、助け合いの精神で暮らす独特の文化があります。独身で年老いた老兵が多く、住宅も決して立派ではなく、若い人は、この眷村を嫌い、外の世界へと出て行きました。黄じいさんの暮らす眷村も同じく、住む人も減り、現在では3家族(うち、1家族のみ複数人、黄じいさんともう一人は一人暮らし)になり、台中市の再開発区になり、まもなく取り壊されるという運命でした。
そんな再開発計画の話がでていた2008年のある日、黄じいさんは、突然、ペンキで家の前の灰色のコンクリート壁に絵を描き始めたのです。なぜ描いたの?と聞くと、「退屈だったから。」と答える黄じいさん。絵を描くことを習ったわけでもないので、思いついた絵柄をそのまま描き続けていったそうです。人物、水牛、小鳥に飛行機、はたまたそのころ台北の動物園へやってきたパンダの「圑圑」と「圓圓」も。絵のほかにはおめでたい言葉や風刺も。さて、その黄じいさんはどこに?この手書きの看板、お店でもあるの?と思いながら細い路地に入っていくと、住宅が窮屈に並んで建っています。
ここから描き始めたのでしょうか。
さまざまなデザイン、文章、言葉、絵が見えます。
|
|
健康を祈っています。体が資本!まさにそうですね
|
老兵はここに…すぐわかります
黄じいさんの郵便受け?「25号 老兵在」(=老兵はここにいますという意味)と書いてあります。それにしてもカラフルな配色ですね。この場所が有名になってから、出入り口の絵も描き足されました。黄じいさんの家の玄関は、網戸だけです。うるさくないのかな。網戸のところには、訪れた人からのメッセージメモがいっぱい。支援者が設置した「黄じいさんペンキ代カンパ箱」が置いてあります。
こういう感じで、家の前から隣の家の壁、路地へと、黄じいさんの絵の世界が広がり、評判をきいた物好き(失礼しました)な撮影趣味の人々がやってきてブログやフェイスブックで発表。彼らの中で、この眷村が再開発計画により、取り壊されると知ってからは、「虹の村を救おう」と、ネットで呼びかけ、台中市の市長へ大量のメールが届けられました。芸術を愛する当時の台中市長であった胡志強さんは2010年9月に自らここを訪問。黄じいさんの描いた絵で色彩豊かになった眷村に感動。直接話しを聞き、ここを再開発計画から外し、台中市の特徴ある公園として残そうと約束してくれたのです。
黄じいさんのうちは左側
おめでたい言葉と心も弾む壁画
平日の昼だというのに、たくさんの若者が写真を撮りに来ています。台湾では、結婚式に使う写真集や変身写真を撮るための専門店がたくさんあり、皆一生に何度か写真を撮られる経験をしています。だから、写真を撮る際のポーズや背景にはこだわりがあるのです。この『彩虹眷村』を背景に選び、わざわざやって来るんですね。
プロポーズエリア、結婚しようよ!
|
|
そして、結婚
|
披露宴
|
|
ストーリーでした
|