台湾の有名太鼓チーム「十鼓撃楽団」が作り上げたテーマパーク。元の台湾製糖工場が団員自らの手でユニークかつ自然あふれる公園劇場に。太鼓の魅力ってスゴイんです!
こんにちは、台北ナビです。今回は台南市にある珍しい太鼓のテーマパークをご紹介します。台湾の太鼓ってどんなの?施設にはどんなアトラクションがあるのかな?と、いろんな期待を抱いたナビ、「十鼓文化村」でいっぱい面白い発見をしてきました。
沙崙線開通で台南行きがとっても便利に
新幹線の改札を出てすぐ左に曲がれば、もう沙崙駅のホーム
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保安駅。ちなみにこの駅は「永保安康(ずっと健康で幸せ)」というキップで有名なんです。
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2011年1月1日から開通した台鉄の沙崙線は、新幹線台南駅の建物からすぐ乗換えができちゃうとても便利な路線。台南駅までなんと20分でいけるようになりました。十鼓文化村へは途中の「保安」というかわいい駅で下車。駅から歩いても行けない距離ではないそうですが、やはり南国の日差しはキツい・・・ということでナビたちはタクシーに。台南市といっても、このあたりは2010年末に合併するまでは台南県だったので、周囲にはかなり自然がいっぱいです。赤い鉄橋の下をくぐり、次に見えてきた高速道路の下を右に曲がると・・・あー、すごい大エントツに「十鼓」の文字が。
台湾が世界に誇る太鼓チームの劇場
入り口のところでもうドンドコドンドン・・と太鼓の音が聞こえてきます。もう始まっているのかな?とあせったナビでしたが、これはお客さんが設置してあるいろんな太鼓で遊んでいる音でした。
公演時間まで間があるということなので事務所を訪ねたナビ、なんと十鼓撃楽団団長の謝十さんにインタビューすることができました。
日本の太鼓と台湾の太鼓の違いは?
神仏に奉げたり、祭りで使われるのはどちらも同じですが、アジアの太鼓の最も古い源流は、5000年前に黄河文明の開祖黄帝が敵を討つときに使った戦鼓が初めとされています。雷神の皮と骨で作られたという太鼓の音を聞いて敵が逃げ去ったという伝説があるんです。中華民族の太鼓はこの戦鼓の伝統を受け継いでいるので、この文化村でも祈福館で黄帝を祀(まつ)っています。
この場所を選んだのは?
もともと広い練習場を探していたのと、ここが廃工場としてさびれたままになっていたので、なんとか自然と共生する場所として活かせないかと考えたんです。今年で11年目になりますが、木々も育ってきて、蝶が舞うなどとてもいい環境になってきました。
十鼓撃楽団の目指しているものは?
それは、私たちが生まれ育ち、愛してやまないこの台湾の大地と一体となった、民族の音楽としての太鼓。また演奏だけでなく、最終的には舞踏や劇場空間など様々な要素も含んだ音楽劇も作っていきたいですね。
平均年齢25歳、半分が女性という若い太鼓チームですが、昨年は12回の海外公演をこなし、2009年にはアルバムがアメリカのグラミー賞最優秀伝統音楽アルバムにノミネートされるなど、台湾を代表する民族打楽器楽団として注目されている十鼓撃楽団。武道のような殺陣を取り入れたり、すごく大きな太鼓を女の子がずっと打ち続けていたり、生半可な体力ではできませんよね。実際の演奏を見たナビにもその高い芸術性とすごい生命力が伝わってきました。
十鼓村では毎日2回、週末は1日に3回のパフォーマンスが楽しめます。
公演時間 平日 午前10:30~ 午後 3:00~
※休日はこれに午後1:30~が加わります。
懐かしの製糖工場を再利用
ド迫力の外観
さて、太鼓のパフォーマンス以外にも園内には楽しめるものがいろいろ。日本時代から残る大エントツもここの特色のひとつです。第2次大戦中の空襲や921大地震のときにもビクともしなかったそう。中に入って、下からのぞけるようになっています。
団長さんの話を聞いてナビが感心したのは、この文化村の木々や道も団員さんたちが自分たちで作り上げていること。半地下のような形の屋外劇場は、工場の水槽の跡を利用して作られたもので、客席もレンガを皆で1つ1つ積んで作ったんだそうです。
紫荊花の並木道。楽団のシンボルフラワーだそうです。
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天気のいい日はこの「水槽劇場」で。他に室内劇場もあります。
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<乗り物&遊び>
子どもたちが大喜びで遊んでました。
園内での乗り物は2つあります。池の周りを回るミニトロッコは小さいお子さんに大人気。奥の水槽劇場の所から出発しているのは、昔本当に製糖工場で使われていた運搬用のトロッコ。園内の端まで行って戻ってくる短い路線ですが、どちらも無料で乗り放題です。エアークッションで作られた屋内遊戯室もあります。
<太鼓教室>
園内には3ヶ所の太鼓教室があり、無料で参加できます。やっぱり太鼓は叩いて楽しいもの。ナビも参加してみました。団員さんが分かりやすく教えてくれるのでよく分かります。こうやって感じたことをリズムにしていけばいいなんて、オモシロイ~。この楽譜ならナビも作曲できるかも。「ナビ台南で大暴れ」とか(^^;トントンタッタカターン♪
<レストラン&屋台>
園内のレストランは飲み物がメインですが、ここでしか食べられない太鼓の容器入りのランチセットがあります。イベント期間中や週末には屋台もでています。お弁当やおでん、台湾ソーセージなども。保安駅や十鼓村の周辺にはコンビニも食堂もないので、新幹線台南駅で何か買って持って来るのもいいかと思います。
太鼓のバチかと思ったのは、おハシ入れでした。
鼓桶風味餐 250元
メインに3種類の小皿もの。フルーツ、飲み物つき
ベジタリアン向けのものと2種類選べます。
<DIYコーナー>
建物の間の通路にあったのは太鼓の貯金箱の絵付け体験コーナー。切り絵を貼り付けてなかなか楽しそうです。団体のお客さんはレストランで太鼓のストラップ作りを体験していました。あと、事前の申し込みが必要ですが、園内にある製作工場で実際の太鼓作りも体験できるそうです。
ちっちゃいストラップ。かわい~
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ホンモノの太鼓作りなんてめったに体験できませんよね。
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<記念品ショップ>
ショップではボトル飲料などの他、十鼓撃楽団のDVDやTシャツ、なんとホンモノの太鼓まで売ってます。いい音でしたよ~。
このほか、アジアの楽器をあつめた博物館、古代中国の打楽器を復元した「鐘磬館」といった施設もあります。
元の倉庫を利用していろいろな施設が作られてます。
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時代劇映画にでてきそうな楽器がずらりとならんでました。
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春節には国際太鼓フェスティバル開催
十鼓文化村では季節によってさまざまなイベントを開催。毎年の春節期間中には台湾(十鼓)を初め、日本や韓国から多くの打楽器グループが参加する「十鼓節」という最大のイベントを見に、台湾各地から大勢の観光客が訪れます。
こちらは韓国から参加の打楽器グループ
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日本の太鼓チームは記念撮影に追われてました。
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ナビは日本から参加の「野武士」というチームの人に話をきいてみました。台湾のお客さんは他の国に比べても一番ノリがいいとのこと。ナビが見ていても、演奏者と観客が一体になって太鼓のパフォーマンスを楽しんでいます。こういう暖かさが台湾の太鼓を育んでいるんですね。リピーターのお客さんが多いというのも納得です。
2011年、宿泊施設もオープン
これがただの宿泊施設ではありません。これもなんと団員さんたちが建てたというんですから驚きです。数棟の高床式のコテージは全部で14室。ナビが行った時には外国チームが宿泊していましたが、春節明けには一般にも開放するとのこと。中を見せてもらいましたが、ホテルにも引けを取らない整った施設でした。
できるだけ生えている木を切らないように設計したそうです。
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部屋にはすべて十鼓撃楽団が作った曲の名前がつけられています。
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明るい室内にはシングルベッドが2つ。
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壁には大型液晶TV
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ひのきのおフロなんて日本風ですね。
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いちばん目を引くのはこの太鼓テーブル。ホンモノですよ~。
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トイレとお風呂もちゃんと分かれてます。
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湯沸しポット。このほか冷蔵庫、クローゼットも完備です。
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南台湾の自然の中で、朝は鳥の声を聞き、日が暮れるまで無心に太鼓を叩き続ける・・・そんな自分も想像できそうな十鼓文化村。太鼓という楽器がこんなに身近に感じられるなんて、初めての経験でした。
以上、台北ナビでした。