意外なほどにおもしろい!台湾だけでなく、世界の切手やポストもズラーッと展示されているんです
こんにちは、台北ナビです。“切手”というと、なんだかマニアな響きを感じる方もいるのでは?(失礼…)ましては、「博物館ときたらマニアの世界だから、興味なーい!」なんて言わないでくださいね。ナビも元々切手や郵便の歴史などには興味がなかったのですが…驚くほどにおもしろく、そして楽しめる場所だったのです。
かなりの規模
ナビは在台歴2年半。その間に残念ながら「郵政博物館」のことを耳にしたことはありませんでした。だから、今回初めて「こういう所があったんだ~」と。場所はMRT新店線「中正紀念堂」駅のほど近く。ナビの行動地区範囲内にありながら、気付かなかった方が逆に不思議…だって、建物もかなりの大きさなんです。絶対何度か前を通り過ぎていたはずなんですけど…。ビル自体は10階建てで、ドドンとそびえています。そのうち「郵政博物館」として開放しているのは1~7階。想像以上の規模です。1階に受付があり、そこで入館料を支払います。一般成人で5元(約15円)とかなりのお安さ。また、3/20の郵政節と、5/18の国際博物館日は無料に!これは狙い目ですね~!
そして驚きだったのが、なんとこちらには日本語音声ガイドがあったのです!借用表の記入と身分証明書(パスポートなど)を預ければ、無料で借りることができます。これはありがたいサービス!各場所に番号がありますので、そのボタンを押せばピンポイントに聴きたいところだけ聴くことも可能。これで複雑な歴史なども細かく理解することができますよね。
また、1階受付部分では切手や郵便グッズの販売も行っています。その時期の記念切手はもちろん、前に販売された切手などの購入も可能!特に人気のある切手などは手に入らないこともあるそうですが、ほかで手に入りにくいものも、ここでならほとんどが揃えられているそうですよ。今まで人気があったのは、台湾の名所の風景写真切手などだとか。台北101ビルなど…やっぱりねーって感じですよね。海外の方も欲しがるでしょうから…
カタログから選ぶこともできます
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「阿里山」に「日月潭」どちらも言わずと知れた名所です
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郵政博物館って?
今日は郵政博物館の陳さん、日本語音声ガイド作成にも携わった蔡さん、日本語翻訳のボランティアをした野嶋さんに同行していただきました。蔡さんは切手やそのほか郵便全般について研究をされているお方。日本語教育世代なので、日本語もお上手です。話好きですので、ナビが質問をするとかなり深いところまで&止まらないほど説明してくれました~。
ナビは見始める前にまず「郵政博物館」について知ろうと、館長さんのところへ案内していただきました。館長は江慶星さんです。「郵政博物館」は1965年、新店に正式に設立し、翌1966年の中華郵政設立70周年記念日の3/20に正式開放となりました。郵政事業の発展や従業員への慰労、また一般市民への郵政知識の広がりなどを願っての設立でした。その後、現在の場所へ移転してきたのは1984年のことです。博物館全体では台湾の切手類だけでも28万4千枚以上、外国のものは54万6千枚余り。そのほか、業務用器具、ハンコ、写真などの展示物は6千以上もあるのです!
2階
それでは、見て行きましょう!まずは2階から。2階は、郵便制度の沿革、台湾初期の郵政史を紹介しています。
真っ先に目に飛び込んできたのは大きなプレート。そこには誰もが知っているあの孔子が弟子たちに講義をしているところが描かれています。どうして孔子なのかというと…右上に書かれている「四書」の中の「孟子」。この中で「道徳の教えが広まる速さは、当時の郵駅(ゆうえき)伝達命令より早い」といっているんです。…というわけで、2000年前もの周の時代にすでに郵便制度が存在していたことをうかがい知ることができるのです!ただ、当時の郵便制度は軍だけが使用できた特別な制度だったとか…
昔の手紙は竹や木、絹に書くのが一般的だったとか。また、封をする際には泥を塗り、その泥に押印していたのです。それらも展示されています。現代では竹・木・絹が紙に、そして泥がのりに取って代わっているということですね…
トロッコが展示してありました!トロッコは台湾独特の運搬器具。元々は日本統治時代の初め、軍用トロッコとして使用されていましたが、のちに郵政は運賃を抑えるため、また迅速な配達をするためにトロッコを使うように…
3階
3階では近代郵政事業の創立・変革・発展、また郵便マーク、ポスト、制服なども展示されていてユニーク!
台湾歴代のポスト!
みなさんお気付きだと思いますが、台湾の郵便を表す色は…みどり色!なのでポストはみどり色。今では速達および国際郵便用の赤いポストと、夫婦のように仲良く並んでいる姿が印象的ですが…水色なんてのもあったんですねー。形も様々で…耐久性を重視し、色や形を絶え間なく研究して改良を重ねてきたのだとか。左から2番目のポスト見えますか?黄色い帽子をかぶったように見えるから「黄色い帽子のポスト」と呼ぶ人もいたそう。1947年に設置された速達専用のポストでした。
これ何だと思います?ちっちゃい廟みたいですが…正解は「セルフサービス郵便局」なんです!中には切手とおつりが備えてあり、中にも外にも販売員はいません。手紙を出したい時は自分で切手を買い、おつりが生じる場合は自分で取り、手紙に切手を貼った後に下の「信箱」という部分に投函。今じゃなかなか考えられないですよねー。だって切手もお金も自由に取れてしまうんですから。信用・信頼によって成り立つので「良心郵便局」とも呼ばれていました。1967年には閉鎖されてしまったものです。
各国のポストも!行ったことのない国のものを見るのは、もちろん初めて!
韓国と日本のって似てますね
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こうして見ると黄色も結構使われてるみたい…
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左写真、右上のものが台湾の郵便マーク。1956年に交通部が公布したもの。円の中に篆(てん)書体で「郵」と書かれています。知らないと読めませんよね!?日本の「〒」は「逓信(ていしん)」の最初の「テ」の字から作られたそう。初めて知りました!
4階
4階は「児童郵園」。子供たちが楽しみながら学べるようになっています。
新幹線も走る模型は本格的!収集・仕分け・郵送・配達といった過程を展示模型で見ることができるんです。
パソコンを使ってゲーム感覚で学ぶことも
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再現窓口もありました!
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ここに展示されているのは、台湾初の「郵便番号自動読取区分機=分信機」です。1970年に日本の東芝より購入し、1984年まで実際に使われていました。
5階
5階はお待ちかねの「切手の世界」!
ここで問題!
Q1:世界最初の切手を発行した国はどこでしょう?
Q2:それはいつ頃のことだと思いますか?
「ペニー・ブラック」
もったいぶらずに正解ですが…Q1答えはイギリスです!Q2それは1840年のこと。ローランド・ヒルという教育家が郵政改革を主導し、のちに彼は「切手の父」と呼ばれました。世界初の切手の名前は「ペニー・ブラック」。額面は1ペニーでヴィクトリア女王が18歳で即位した時の気品ある横顔を図柄にしています。
6階
これが人気の台北101ビルの切手ですね
6階は特別展示コーナー。時期により異なったテーマで展示が行われています。
ナビが訪れたこの日は、「台湾風景写真切手展」が行われていました。また出品しているのは一般のコレクターの方々。感心したのが、切手とポストカードが同じ場所のもので、さらにその場所から投函しているので、消印の地名までも同じ、というこだわりの作品の数々!例えば、台北101ビルのポストカードに、台北101ビルの切手を貼り、さらに台北101ビルの中から投函しているんです!台北ならまだしも、離島の馬祖や金門のものもあり…参りましたー、と頭が下がります。
7階
さぁ、ラストの7階は図書館になっています。郵政事業専門の図書をはじめ、一般の図書・雑誌・新聞も多く取り揃えています。自由に利用が可能です。
いかがでしたかー?かな~り見応えありました。全部をじっくり見ていたら半日、もしくは一日!?ナビは飛ばし飛ばしポイントを見ただけでも2時間以上かかりました。これほどの充実ぶりだとは…アッパレ!
ここでマメ情報!通な蔡さんのオススメ見学方法は、上の階に上がる時にエレベーターではなく階段を利用すること。なんと踊り場にも展示があるんです。それにその方が移動も早いとか。
見終わった感想は…ナビもなんだか記念に切手やグッズを買いたくなるほどでした~!
以上、台北ナビでした。