竹林の山の中に三合院の民宿がひっそりとたたずんでいました
こんにちは、台北ナビです。
台湾中部の南投県に竹山というところがあります。かつてこの町は、台湾輸出産業の一端を担う竹製品で栄えていました。その竹山の山奥深く入っていったところに「天空的院子」はあります。ここが数ヶ月前から予約しないと部屋が取れないという台湾で今もっともホットな民宿なのです。
なんせ山奥ですから、行くとしたら高鉄「台中」駅で降りて、竹山「台湾好行」の南投県溪頭線行きのバスに乗り竹山下車。竹山停留所から1日に3本しかないというバスで20分ほどかけて行くのもいいかもしれません。が、事前予約すれば車の手配もしてくれますよ。途中茶畑が眼下に見下ろせ、絶景が望める「上山閲讀」カフェを過ぎたら、山のてっぺんに「天空的院子」はありました。
民宿の起こり
この坂を上って行くと…
中央の建物、屋根の両端が上がっています
民宿のオーナーである何培均さんは、当時兵役を終えたばかりの26歳、ある日竹山へ登山に来ていました。そこで思いがけなく遭遇してしまったのが、崩れかけつつある100年以上を経た三合院の建物。美しい山に静かに佇む廃墟に近い建物に心を奪われ、何さんはこの建物が朽ち果てる前に何とかして救いたいという衝動に駆られました。
建物を建て直すには一人ではできず、幼い頃建築家を目指していた当時医学生の従兄を連れてきます。同じ感動を受けた従兄は、2人で家を立て直そうと決心。もう他の場所へ引っ越していた家屋の元の持ち主である張さん一家を探し当て、まず2人は訪れます。張さんは若い2人の熱意に打たれ、家を彼らに売却することに同意しました。
が、家屋の修復は、情熱と理想だけでは成り立ちません。若い2人にはお金もなく、銀行でお金を借りようにも担保も何もありません。16軒回って、17軒目の合作金庫銀行がやっと救いの手を差し伸べてくれました。かつては国営だったこの銀行がお金を出すとなると、私営銀行も少しずつ助けてくれるようになり、改修のために500万元が集まりました。2人は、昼間は自分たちも仕事をして費用を稼ぎ、夜や週末に作業を行いました。寝袋と懐中電灯、紙、ラジオを持って山へ向かい、寝泊りはここで行います。設備は十分ではなかったけど、ここでの1日がこの場所への思い入れをさらに深めにくれたことは、言うまでもありません。
霧が深い日はこうなります
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熱血青年、何培均さんが語る
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そして、3年…、家屋は完成しました。
そして、民宿としての形も整ったものの、どのようにすれば多くの人に知ってもらうことが出来るのか。箱は出来たけど、その活用方法をまたしても模索する日々が始まりました。2人は、竹山の山奥にこんなすてきな場所があるんですと、台湾の県文化局や関連機関に手紙を送りました。やがて地元の南投県が取り上げてくれてからは、多くのメディアが訪れるようになり、2人の若者のストーリーはTV番組にも紹介されました。信念と情熱を持って行動すると夢は実現するというストーリーは多くの人に感動を与え、今では彼らの熱意に共感する若者たちが何さんの下に集まり、更に2軒の民宿や先ほどの「上山閲讀」カフェ、そして、竹山駅近辺の「小鎮故事館」の活動を支えています。「故事館」は今後「竹山」の文化を国内のみならず海外へ発信する基地となっていきます。ナビがここへ来たのは、運営が始まってから7年目のこと。当時民宿が軌道に乗るまで大学を休学していた従兄は、再び医学生に戻り、現在は医者になっています。
庭が素敵
入口の石にも天空の名前
古い石を集めて再利用し造られた庭の周り、階段、広場、テーブルや椅子。苔の生え具合にも趣があります。鯉が泳ぐ池は新たに造られ、木も全体の統一感を考えて苗木から植えられました。庭の形式は日本庭園の要素も混じっているよう。ナビがその雰囲気を強く感じたのは、屋根です。庭を一周して、上のほうに回ってみると、黒い瓦屋根に日本家屋を感じます。が、広場の中央に立って三合院を見渡すと白い壁と木の造りからここはまさに中華風。が、白い壁はこれまた日本の矢倉の壁のようでもあり、この建物は日本人にはとても親しみと落ち着きを感じさせてくれます。
中に入ってみましょう!
各部屋の入口はこんな感じ
部屋は6部屋あり、4人部屋が2つと2人部屋が4つ。
A型(4人部屋) 2寝室(各部屋ダブルベッド)、1リビング、バスルーム
E型(4人部屋) 1寝室(ダブルベッドx2)、1リビング、バスルーム、ベランダ(大)
B型(2人部屋) 1寝室(ダブルベッド)、1リビング、バスルーム
C型(2人部屋) 1寝室(ダブルベッド)兼リビング、バスルーム
D型(2人部屋) 1寝室(ダブルベッド)兼リビング、バスルーム
F型(2人部屋) 1寝室(ダブルベッド)、1リビング、バスルーム、ベランダ(小)
かわいい予備のふとんもあります
今回ナビが泊まったのは
、★B型の2人部屋★で、リビングと寝室の2部屋があり、バスルームも広い。TVはありませんが、無線LANが完備されています。また、夏は涼しいので冷房はなく、扇風機のみ。湿気が多いので、除湿機もあります。となると、冬は寒いかも?布団が1枚準備されていました。ナビが宿泊したのは、夏の暑い日でしたが、夜窓を開けるとひやっとした風が入ってきて、開けたまま寝たら風邪を引きそうなくらいでした。アメニティは、大と中のタオル、シャンプーとボディソープはありますが、歯ブラシセットはありません。髭剃りやシャワーキャップ、櫛もありません。余分なゴミを出さないようにエコも重視しています。
独立したリビング
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デスク兼化粧台
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風格十分のドアの取っ手
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昔は台所だった?調理場が台になっています
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★A型(4人部屋) 2寝室(各部屋ダブルベッド)、1リビング、バスルーム★
★E型(4人部屋) 1寝室(ダブルベッドx2)、1リビング、バスルーム、ベランダ(大)★
★C型(2人部屋) 1寝室(ダブルベッド)兼リビング、バスルーム★
★D型(2人部屋) 1寝室(ダブルベッド)兼リビング、バスルーム★
★F型(2人部屋) 1寝室(ダブルベッド)、1リビング、バスルーム、ベランダ(小)★
夜はとっても静か
コードと天窓が見えますか?
高い天井には数本のコードのようなものが走っていますが、これは昔中国人のうちで、電線などを配備する時に行った方法を模しています。
また、どの部屋も天井に小さな窓があり、朝ここから差してくる光がとっても明るいのです。夜はここから星が見えたりするんですよ。
入口のドアは下の方の棒を奥まで押し切ると、自動的に中からロックがかかります。
開ける時は、棒の右端上方の小さい木を押せば解除されます。
お腹が空いたり、のどが乾いたら、中央のキッチンにどうぞ。部屋には水差しはあります。
テーブルには宿泊者ノートがあり、ナビも一筆書き記しました。
ここに泊まるとなんだか書きたくなるんですね。
部屋にはスリッパがあるけど、夏は素足も気持ちいい
部屋にはスリッパがあり、靴は脱ぎます。
建物中央の共有リビングやキッチンへも靴を脱いで入ります。リビングは、ご自由に使ってください。ここで、食事もできます。
キッチンにあるものも使用は自由。
ナビは夜に南投産アッサム紅茶(←おいしかった!)、朝はコーヒーをいただきました。お湯に溶かして飲む米乳やカップ麺もありますよ。
3つの部屋の区切りに竹を使用
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2人が家屋を修復したときの手描きの設計図
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中央リビング
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キッチンには何でもあります
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夕食と朝食が付いています
何さんのお父さんは台湾人、お母さんは客家人、民宿に泊まった人には、お母さん直々の客家料理のお弁当がついています。この民宿の特徴で、食事の時には、どこでも自分の好きな場所を選んで食べていいのです。ナビたちが広場にテーブルを運ぶ前に、大家族で遊びに来ている人たちが、食事しながら楽しそうに談笑していました。子供たちは裸足で走り回っています。広場の石畳は、子供のかけっこには最適のようですね。
さて、運ばれてきたのは1人1つのお弁当。客家の布を広げてみると、陶器の大きなお弁当箱。これは、南投県水里の窯で焼いたものです。何さん一家は水里の出身で、こういうところにも郷土心が表れていますね。
お弁当は本当にボリュームがあり、ご飯もおかずもたっぷり。ゆっくり時間をかけて食べてくださいね。スープはもちろん竹山産の筍です。噛むほどに甘みがあって、さすがという味でした。お弁当を食べたら、お腹いっぱいになってしばし動けません。隣の大家族もそのようで、子供たちは周囲で走り回っていますが、大人たちは引き続きお茶などを飲みながら、おしゃべりに花を咲かせています。涼しい風も吹いてきて、外での食事はとっても快適でした。食べ終わった後、 お弁当はカゴの中に片付けましょう。
ナビたちも食卓の準備
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子供たちは走り回り
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大人たちはおしゃべり
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夜が更けるまでどうぞ…
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こんな感じで並べられ…
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お弁当箱も独特
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台湾風味がいっぱい詰まったお弁当
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スープもたっぷり
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すがすがしい朝を迎えました!
朝ごはんはお粥ですが、食べても食べても減らないほどの量。やはり好きな場所が選べます。今度は池の横の石テーブルに陣取りました。ゆっくりと朝のおいしい空気を吸いながら食べましょう。
ここで一晩過ごしただけで、体全体浄化されたような気分になりました。
「天空的院子」をさらに登って行くと、美しい竹林があるそうです。
ナビは今回行けませんでしたが、近いうちにまたぜひ訪れたいと思います。
「上山閲讀」へもいかが?
もし、時間があればここ「上山閲讀」カフェへも立ち寄ってください。
眼下には、、山の斜面に青々とした茶畑が広がっています。
空気もいしいし、景色も最高
台北ナビがおとどけしました。