紅豆湯で幸せになれる♪素朴なあずきスイーツのお店。
皆さんこんにちは、台北ナビです。
台南を散策していると大通り脇に小さい路地がたくさんあります。台南観光の醍醐味はその路地裏散策にこそあるのですが、今日はそんな路地裏探検で見つけた心温まるお店をご紹介します。
ここ「慕ㄇㄨˋ紅豆」は台南のみならず、台湾全土で有名な紅豆(あずき)スイーツのお店なんです。
場所は民族路三段か金華路四段にある細い路地を入り、この二つの道がT字にぶつかる角にお店があります。
お店といっても外観は古い家屋、看板など目立つ装飾はいっさいなく普通の民家となんら変わりありません。なのでうっかりしていると通りすごしてしまいそうです。
T字路の角にパパイヤでしょうか、大きく実のなった木が植えてありますが、それが目印。その奥にあずきを煮る昔ながらの釜と薪が置いてあります。
それにしてもなぜこんな小さいお店が全国的に有名になったんでしょう?しかもあずきというごく普通の、素朴なスイーツがなぜ?…と、ちょうどナビたちが取材に訪れた時、オーナーの唐大可さんがいらっしゃったので、さっそくお話を伺いました。
あずきにかけた壮大な物語!
オーナーの唐大可さん。
オーナーの唐大可さんは幼い頃、家族と紅豆湯(日本で言うあずきぜんざい)を分け合って食べた時の温かい思い出をきっかけに、「一杯の紅豆湯はみんなを幸せにする。いつか、紅豆湯で全ての人々と共に幸せを分かち合いたい」という夢を持ち続けていました。
そして、紅豆湯のお店を開きつつ、その夢を実現するために、半年間自ら資金を準備し、またいくつかの企業からの協力も得て、2013年2月、行く先々の人達に紅豆湯を無料で提供する台湾一週の旅に出発したのです。この台湾1周の旅ではリヤカーに荷物を載せ、主に台湾各地の小学校、養護施設などを回り、普段紅豆湯をあまり食べることのできない貧しい家庭の子供や老人に紅豆湯を提供し、紅豆湯で多くの人々に幸せを届けました。
旅の最初こそ、無料で紅豆湯を配るという唐さんを怪しむ人もたくさんいたそうですが、そうやって全国を回っているうちに、ある時マスコミが唐さんの活動を報道したことがきっかけで唐さんの活動が全国的に知られ、行く先々で多くの人たちが唐さんの活動を応援してくれるようになりました。
そして、この「紅豆湯で人々に幸せを」という一人の若者の熱い思いが、台湾の人々に大きな感動をもたらしたのです。
そうして唐さんは半年かけて初心を達成し、無事に台湾一周の旅を終え台南に戻ってきました。
そして、旅に出ている時に閉めていたお店を再開、今もなおこの地で唐さんは紅豆湯を通して人々に幸せを与え続けています。
台湾1周旅行をしたリヤカーが店先においてありました。
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小豆を煮る昔ながらの釜。
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あずきにかけた壮大な物語!
感動的なエピソードの後には、その話題の紅豆湯をご紹介しましょう。メニューは3種類のみ。あれこれ迷わなくて逆にいいんです。こちらのあずきは高雄大寮産、除草剤不使用の安全なあずきを使用、地瓜(さつまいも)は、唐さんの出身地でもある台南新化産を使用しています。
紅豆湯は毎日手作り。あずき、龍眼、黒砂糖などでことこと煮込みます。平日のお客さんが少ないときには小さめの鍋、休日は大きい鍋で作り、その日の分が売りきれた時点で営業は終了となります。
紅豆雪綿冰 65元
ナビの一番おすすめはこれ。ほっこり、やさしい味わいのあずきとさつまいも、さっぱりとした昔なつかしのシャーベット風アイス、その上に濃厚な練乳がとってもマッチします。
全体的に甘みは抑えて自然の味を残しているので、甘いものが苦手という方にもおすすめ。
柴燒紅豆湯 50元
あずきとさつまいもにあまい煮汁をそえていただきます。
紅豆水 30元
さっぱりとしたあずきの煮汁。
ナビはもうちょっと甘みがほしいかな~。
お店の内装は全てエコ素材
紅豆湯をいただきながら店内のインテリアを見回すと、形の異なる古い机や椅子が置かれています。
これら店内のものはすべて人から譲り受けたり、トタン板をつなげて手作りしたものだそう。一つとして統一されたものはないのですが、それらが不思議とこの空間に調和して、ぬくもりのようなものを感じさせます。
店先のテーブルや椅子も再利用のもの。
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トタン板を張りなおした手作りテーブル
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ここのお店の絵はがきも売っています。
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セメントを全面に塗らずにあえてレンガをむき出しにした模様が犬みたいに見えるでしょ?と唐さん。
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2階にはどうやってのぼるの?とナビが聞くと、「羽を広げて飛べばのぼれるよ!」と唐さん。
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台南を紹介する本が並べられています。
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取材中にも唐さんのところにはひっきりなしにお友達が尋ねてきます。他人を思いやり、質素で、物を慈しむ気持ちも持っていて、なんか唐さんは仏のような人柄の持ち主なんだなあと一抹の感動を覚えずにはいられませんでした。
最後に「台湾一周の旅という夢を実現した今、新たな夢はありますか?」と唐さんに聞いたところ、「そうだなあ、もしできるならば移動学校を開きたい。今いくつかの学校であずきを題材に、薪の割り方とか、あずきの煮方とか、生活の知恵を学生たちに体験してもらう課外授業をやっているんだけど、そういう普段学校では教えてくれない生活の知恵みたいなものを子供たちに教えたい。そういうさまざまな体験を通して、自分が本当に楽しい!やってみたい!と思えることを、自分の力で見つけていけるような子供たちになってほしいんだ。あ、よく考えると、これってまさに子供の頃のボクじゃないか!」。少年がそのまま大人になったような唐さんが笑顔でこう語ってくれました。
唐さんの新たな夢が実現するように、ナビも紅豆湯をいっぱい食べて、応援しますよ!
以上台北ナビでした。