町で暮らす原住民が作るくつろぎの空間。原住民の飾らない様子を感じられる隠れ家的カフェです
こんにちは、台北ナビです。台東は原住民の多い場所として知られていますが、皆さんの思う原住民の姿というのはどのようなものでしょうか?原住民衣装を身にまとい、狩りをして、踊り、お酒を飲んでいる…そんな印象でしょうか?今回ナビが訪れた「KITURU」はそんな印象を覆してくれるようなカフェでした。
原住民の方が開いているカフェと聞いてやってきたので、てっきり木彫りなど原住民を意識したものが軒先においてあるのかなぁと想像して、「KITURU」にやってきたのですが、あれ?一見すると普通のカフェです。でもよ~く見ると、小米(粟)がつってあるなど原住民のエッセンスも上手に取り入れられています。店内を設計する際に、伝統的すぎる原住民色は排除したそうで、コンクリート造りの店内には木製の家具を置いて、シンプルな中にも温かい雰囲気が漂っています。ナビの思う原住民の方が開いているお店と言えば、「原住民でっせ~」と見れば誰もがわかるような原住民アピールがあるものでしたが、こちらはそういったものが全然なく、なぜか心が和んでくる不思議なお店です。
「KITURU」とはパイワン族の言葉で「学習」という意味!
台中で過ごしていたというオーナー。台東に移り住んでから、台東には観光客向けの飲食店が多いのに、地元台東の方達自らが休憩したり、イベントを開いたりという場所はほとんどないことに気づきました。そこで都会で育ったオーナーは部落での生活には慣れていないため、原住民を感じられる部落や都会からつかず離れずの場所を選び、2013年3月に台東で暮らす人向けのカフェをオープンさせました。
「パイワン族と言えば木彫りを思い出す人も多いけれど、現代の原住民の家の前に木彫りがあるのなんてほとんどない。石ぶきの屋根に住むというのも今となっては不可能に近い。」とオーナーのAikuさんは言います。博物館のようなお店ではなく、現代の生活に溶け込んでいる原住民文化を感じ取れるお店を作りたかったのだとか。その狙いは当たり、原住民の方には親しみを持ってもらえるし、原住民でない方は作り込み過ぎていない原住民文化を学べる場として台湾のブロガー達を中心に徐々に人気が出てきています。
刺青模様のバックは普段使いしやすそう!知らない人にはただの柄だけど、原住民好きにはたまらないはず♪
店内奥には原住民アーティストによるグッズも販売しています。元々原住民文化産業に携わっていたオーナー。その時に多くの原住民アーティストと知り合ったそうで、その方達の作品などを売っています。自ら売り込むことがあまり得意でない彼らの代わりに自分がいいと思ったものをセレクトして売っているのだとか。売っているものを見てみると、ナビのイメージしていた一目見ただけ原住民グッズとわかるものはありません。オーナー夫婦がパイワン族出身というのも関係していますが、落ち着いた色使いが特徴のパイワン族アーティストのものが中心で、アミ族の様な奇抜な色を使ったものは極力置かないようにしているそうですよ。原住民グッズってかわいいのですが、主張が強くて普段使いには難しいのも事実。でもこちらに置いている物は使いやすいものばかりだったのでした。
店内奥にある棚の半分を占めるCDと本。カフェの規模からみるとかなり豊富に取り揃えられています。原住民アーティストが多い台東ですが、実は原住民の本やCDは台北まで足を運ぶかインターネットで買うしか方法がなく、オーナー自身がかなり大変だったそう。そこで以前の仕事で知り合った出版社やCDの販売元にお願いして、この量を確保しているそうです。また、西部に多いツォウ族やタイヤル族のものはオーナーが詳しくないため取り扱いがないそうです。
台東のものを使ったスイーツを試してみて!
ナビはこの小米クッキーがお気に入り~♪
原住民グッズは場所を提供して売っているだけだということで、全く利益がないそう。そこでお金を稼ぐためにドリンクやスイーツを販売しているの~とオーナーは冗談めかして話してくれました。ワッフルやケーキなど、他のお店と大差ないよ~と語るオーナーですが、お値段は台北よりもぐっとお安い!今回ナビがいただいたのは、小米(粟)で作られたクッキー75元。プチプチとした食感が楽しく素朴な味で病みつきになってしまうお味でした。また、この日は時間の関係でいただけなかったのですが、最近人気なのが栄養満点のパイナップルミルクなんだとか。次来たら絶対試してみます。また、パイワン族の家庭では一つのお鍋に粟や野菜、お肉、葱、豆腐乳などを入れて調理したものを食べる習慣があるそうで、三地飯と呼ばれるパイワン族が日常食べるお料理もいただけます。獨享鍋(1人前)、相搶鍋(4~6人前)。
ワッフルも人気なんですって!
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お腹がすいている時は「三地飯」を試してみてください
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みんなどんなことを「学習」しているんでしょう?
これが「學習卡(学習カード)」
どんなことをするにも「学習」が必要!「KITURU」の意味も学習、ということで、「學習卡(学習カード)」なるものがありました。お店を訪れたお客さんが口コミを書くことからインスピレーションを受けて作られたもので、自分が「学習」しているものを他の人にシェアするためにあります。店内で学習カードを記入すると店内に貼ってもらえ、ある程度たまったらオーナーがFB上に写真をUPしています。2013年7月に始めたこのカードですが、大好評のため壁いっぱいになってしまったそうですよ。ナビも「中国語と原住民文化を学習中」と書いてみました。この時ちょうどキャンペーン中でポストカードを一枚プレゼントしてくださいました、ラッキー!
これでもまだまだ少ない方なんだとか
お店に飾られていたのはパイワン族の民族衣装。これはオーナーのものです。パイワン族の衣装とひと言でいっても族群によって刺繍方法が違うそうで、これは屏東のものだそうです。都会暮らしが長かったオーナーも台東に移り住んできて初めて学ぶということが多く、店名通り日々「学習」しているんだとか。
ナビも知っているようで知らないことがまだまだいっぱい!特に台東の魅力である原住民文化は思っている以上に奥深くいもの。ここに来て新たな原住民について知り、学んでみませんか?
以上、原住民のこともっともっと知りたいナビがお届けしました。