東洋の美に触れた喜びを感じる「茶空間」といえます
こんにちは、台北ナビです。
自然の中に埋もれた静かな空間で、四季折々の美を愛でながら楽しく食事が出来るところが、新北市の汐止の山奥にある「食養山房」。
台北ナビでもすでにご紹介していますが、今回食事が出来る場所から、少しだけ離れた場所にお茶室が出来たというので、足を伸ばして見ました。
「六號茶空間」とは?
庭を望む
茶人が隠遁する場所を思わせる「六號茶空間」。
食事の場所よりも更に簡素で、人がいなければ完全に自然と一体化したような空間です。ナビが伺ったこの日は大雨。この雨がわびさび的な風情を、更に深めてくれています。
雨の日はもっと美しいのよ、という彼らの言葉から、日々美しい、その美しさは日々違う、という意味を感じ取りました。
庭には老木や朽ち果てた草花もありますが、それらすべてが「六號茶空間」の大きな絵巻物の一部となっているかのようです。
着きました
池の横の道を歩いてきます…この日は大雨
山道の坂を下りると、右側に池があります。
池の向こうに「六號茶空間」の建物がありました。入口から畳の座席が広がっています。廊下の両端にはキャンドル。
そして、廊下の中央には囲炉裏。壁には書、和紙を使った明かりなど、「和」をも感じる空間は、食事どころと似ていますが、その雰囲気と空気はより質素で乾いている風でもあります。
お茶の開始
各自が席についたら、茶人の方がお茶を入れてくれます。
この日ナビの茶席をもてなしてくれたのは、日本人スタッフの橘雄介さんでした。
橘さん、ここではもう6年のベテランスタッフの一員で、茶の道研究も進行中。
お茶の種類は常時6種あるそうですが、この日は、まず石碇産の文山包種をいただきました。発酵は普通、焙煎は軽い烏龍茶本来の旨味が感じられる茶葉です。
茶空間でいただける6種のお茶は、オーナーの林炳輝さんが選んだ他では味わえない選りすぐりのお茶ばかり。この文山包種もひと口飲んだらほおっと肩の力が抜けていくようなリラックス感を感じました。
お茶をいただいていたら、軽食が差し出されました。キウイフルーツジュースとトマトとチーズがかかった柔らかいパンです。食べ物を口に入れるとお茶の味がわからなくなるということで、お茶だけ提供という茶室もありますが、お茶だけだと胃に負担がくる方もいます。ここでは、2種のお茶がいただけるのですが、その合間に少し食べ物を入れると、後のお茶もおいしくいただけますね。
軽食は、味も濃くなくさわやかで、後のお茶の味には全く影響しませんでした。というか、後のお茶がもっとおいしく飲めたような気もしました。
老茶
2煎目は、東方美人で有名な新竹北埔産の老茶です。
1979年のものなので、30年級のビンテージ茶といえます。
味は・・・甘い。
お茶の世界で使われる言葉に、「回甘」という表現があります。意味はコクがあって、後に芳醇な味を引く、のど越しを通っていった後に再び甘味が蘇ってくるような…そんな感覚でしょうか。
壁もテーブルも鉄!
さて、橘さんからお茶をいただきながら、気がついたのですが、長椅子は畳がしかれているので、大きなテーブルは木製かと思っていたら、そうではなく、聞いたら「鉄」とのこと。鉄だと錆びてしまいますが、わざと一回錆びさせて、その表面をこすってから処理したとのこと。
それを聞いてから周りを見回すと、どうやら後方の壁も鉄のようです。錆びてからきれいにコーティングされた跡が、テーブルよりよくわかり、ナビにはこの壁とテーブルは優れた芸術品のように思われました。となると、これらを包み込む建物は、芸術品を入れ込んだ大きな箱とでも言えるでしょうか。建物から小物まで、アイデアやデザインはすべてオーナーが手がけたもの。林オーナーのアート感を身近に感じたい方は、台北市の中山堂の3F「台北書院」がそうです。林オーナーは季節ごとに中山堂で、四季の茶会をプロデュースしています。
そして、中山堂の「台北書院」のお茶会と「六號茶空間」を主催するのは、佛光大学人文社会学院芸術研究所所長の林谷芳さん。
雅楽観賞
お茶席では、国楽演奏を楽しむこともできました。
さて、気になるお茶席のコースですが、お茶2種、軽食で、1250元/一人(税込み)です。予約必須。
雅楽演奏をご希望の方は、事前にお申し出ください。
食事もしました
季節ごとのメニューなので、ナビたちはこの後「食養山房」へ移動し、食事もいただきました。
まずはお湯が注ぎ足せる台湾高山ウーロン茶で一服。
自家製絞りたてジュース マンゴーとパッションフルーツ入り。
前菜は、ピーナッツ豆腐の上にアーモンド、オリーブオイルがたらされています。
隣にあるのはコーンペーストのジュース。本来が甘いからか、少し塩も入っていました。
イクラがのったサーモン巻き、なす、貝柱、キクラゲ…
豪華に盛られてきたのは・・・とこぶし、うに、鯛、まこもだけ、ブロッコリー、にんじん、肉巻き。
タマネギのみじん切りが入ったドレッシンクをお好みで。
豆ご飯とエノキダケ、貝柱。豆ご飯はおいしかったですね。
まだスープに落とし込んでいない状態
そして、「食養山房」を代表する料理、蓮の花と鶏肉の土鍋スープの登場です。
蓮の花の乾燥したものをスープの中に落とします。
ゆっくりと花が咲いていくように、花びらが開いていきます。スープは、うす味で、中にはきのこ、たけのこ、などがたっぷり。大ぶりの鶏肉もいっぱい入っていました。
開ききったら、沈ませましょう
すいかとドラゴンフルーツ、なしのフルーツの後、デザートは石花凍にトマトがのっています。さっぱり。
最後にいただいたお茶は、蓮の花茶。最初は高山茶、その後、食前、食中、食後に果物酢などのサービスもありました。
どの料理も季節の生花が添えられています。見て楽しみ、そして、食す。幸せな食事の空間が満喫できます。
*メニューはコースメニューのみ。1210元/一人(税込み)。ベジタリアンメニューは935元(税込み)。
以上、台北ナビでした。