おいしい豚足は屏東にあり!ノスタルジーな竹田駅もご紹介します♪
你好!一青妙です。
突然ですが、皆さん「豚足」は好きですか?
日本では沖縄で「てびち」として豚足を食べる習慣がある以外、スーパーで豚足が売られていることはあまりないと思います。でも台湾では豚足専門店があり、市場でも生の豚足が売られているくらいのポピュラーな食べ物。今回はわずか100mの通りに何軒もの豚足専門店が立ち並ぶ「豬脚街」(豚足ストリート)として有名な「萬巒」の街をご紹介したいと思います!
ノスタルジーを感じさせる竹田駅とその周辺
目指す場所は屏東県萬巒郷。
台北からだと新幹線に乗って終点の左營まで行き、そこから台湾鉄道のローカル線に乗り換え、最寄りの竹田駅か潮州駅に行きます。
萬巒郷は竹田駅と潮州駅のちょうど中間にあり、下車するのはどちらでも構いませんが、潮州駅の方が大きく、駅前にタクシーも停まっています。竹田駅は単線の駅で駅前にタクシーはいないので、交通のことを考えると不便ですが、数少ない日本統治時代の駅舎が残る駅であり、駅前に「竹田驛園」という公園が整備されていて、とても風情があります。
折角だから今回は竹田駅から行ってみることにしましょう。
竹田駅の目の前にあるのが、日本統治時代の1940年に建てられた駅舎。現在中は物産館になっていて、客家の特産品やポストカードなどが売られていました。
昔の駅
駅長さんの簫さん、とても親切です
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のどかな雰囲気が漂う駅
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駅前の整備された公園
駅舎のある一帯は整備され、公園になっています。井戸やお風呂、蔵など昔懐かしい風景が見られ、休日になると、結婚写真を撮りにくるカップルや家族連れで賑わうとか。ゆっくりできるカフェもありました!中では飲み物があるほか、名物の鉄道弁当や本格的な鍋まで食べられるので一時間に一本しかない電車を待つのには、とてもありがたい場所かもしれません。
公園の中には、「池上一郎文庫」というアジア最南端の日本語図書館があります。池上一郎博士は第二次大戦中、台湾の竹田で野戦病院の院長をつとめ、多くの人々の命を救ったお医者様。その池上博士が終戦後日本に戻り、日本へ留学した台湾の学生の面倒を見たことから、竹田の人々は池上博士を記念すべくこの図書館を建立したそうです。
図書館の中には文庫本から雑誌、辞書までとにかくたくさんの日本の書籍がありました。
交流協会より最近の書籍も届けられていて、貸し出し用にラベルも貼られていて、きちんと管理されているのに驚きました。
いざ豚足の街へ
びっしりと並んでいる看板
竹田駅と竹田驛園をあとにし、「萬巒豬脚街」を目指します。
タクシーに乗ること約10分。ビン榔の樹と畑しかない風景から、急に看板がたくさん並ぶ道に出くわしました。見上げると「萬巒豬脚」の文字!どこにお店が?と思って車を降り、看板左手の道を眺めたら、ずら~っと豚足店の看板が並んでいました。客引きのおばちゃんたちが手招きをし、大声で叫んでいたので、早速向かってみます。
近隣の人達は自家用車で、遠方からは中国大陸、香港、シンガポールの観光客が大型バスで乗り付けてこの街にやってくるそうです。休日は人が多過ぎて、歩行者天国になるほど賑わうと言われました。そもそもこの「萬巒」は山地で客家人が多く、限られた食材を保存する調理法が発達し、しっかりと味付けした煮込み料理が多いとか。豚足もその一つ。
八角、桂枝など数十種類の漢方が入った煮汁で3時間程煮込み、冷ましたあと、醤油にニンニクなどを入れたタレにつけて食べます。
わずか100メートル足らずの道の両側に林立するお店は全て豚足専門店!そのなかでも特に有名な3店舗をご紹介します。
林家豬脚
さっ煮込むぞ!!
道の入り口右側に大きく店を構えている「林家豬脚」。今から約50年前、萬巒豬脚街は市場でした。そこで小さなおそば屋さんを営んでいた林陳玉さんはサイドメニューとして豚足を細々と売っていました。その豚足の美味しさが評判を呼び、いつの間にか豚足専門店になったとか。お店の人は皆オレンジ色のユニフォームを着ています。
豚足が出来上がるまで
沢山の豚足!
今回は特別に豚足を作っている過程を見せてもらえました。
バーナーから勢いよく出る火
1) 市場から購入して来た豚足は冷凍されているので、前日に自然解凍します。解凍された豚足の表面をバーナーであぶり、取りきれていなかった表皮に残っている毛を焼いています。
冷たくないのかな
2) 焼かれた豚足は素早く流水に入れられ、包丁の背で毛を削ぎ落します。
きれいに処理された豚足は秘伝の煮汁が入った鍋に入れられます。(一つの鍋に大体20本くらい)
3) 創業時以来の煮汁を継ぎ足して使っているため、毎回新しくお砂糖や塩などを加えて煮込みます。
うっとりする黄金色
4) 約3時間経過すると、このようなつややかな黄金色になり、引き揚げるとその場で食欲をそそる匂いが充満します。
完成した豚足は冷まされた後、店先の銀色のお盆に入れられ、お客さんが好きなものを選んでその場でカットして買うことができるシステム。
一言に豚足と言っても、扱っている部位は様々。豚舌は脂身がないのでスッキリした食後感。腱と皮がほとんどの踵は食感を楽しみたい人向け。豚の尻尾はコリコリしていて、おやつ感覚?!普段食べ慣れない部位にチャレンジするのも良いかもしれません。
今回注文したのは王道の豚足!
大きく見えた一本も、切り分けて骨を取るとこれくらいの量になってしまいます。オードブル感覚の豚足。たっぷりとお店特製のタレにつけて食べます!温かい煮込んだ豚足はどうも脂っこくて、量を食べられない私でも、これだとどんどん食べられて、危うく一人で一皿完食してしまいそうになりました。実際、お店では一人で来た女性がこれくらいの量を注文して、スープと一緒にパクパク食べていました。
おばあちゃんが開業してから3代目を継いでいる林姉妹。30代前半とまだ若いのにしっかりとしていて、約20人のスタッフの先頭に立って接客をしていました。
林家豬脚
住所:屏東県萬巒鄉萬巒村民和路1号之4
電話:(08)7811-785
営業:6:00~18:00(土・日曜日は~19:00)
日本語:不可
日本語Menu:なし
鴻海飯店
萬巒豬脚原創始店と書かれた看板を掲げているのは鴻海飯店。
1949年に創業したこのお店は、当初麺を売っていた創始者の林鴻海さんが一念発起し、設立したもの。お店では様々な客家料理を出し、豚足もその内の一品にすぎなかったとのことです。
店内に飾られていた蒋経国前総統が訪れたときの貴重な写真
民国70年の春節(旧正月)に、台湾の故前総統蒋経国がここ萬巒を訪れ、客家料理として有名な炸豆腐と野菜炒めを頼み、ついでに豚足も頼んで食べたとか。すると「萬巒豬脚為什麼這麼好吃!」(萬巒豚足はなんて美味しいんだ!)と言ったそうです。
この一言を契機に、鴻海飯店と萬巒の豬脚は全国的に有名になったんですって!
お持ち帰り用
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特製のたれ
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お持ち帰りはそのままビニールに入れて持ち帰る方法とその場で真空パックにすることもしてくれます |
さすが大型店だけあって、豚足を煮る釜は20個以上。室内はむせかえる程の八角の匂いで充満していました!
煮上がったばかりの豚足は貯蔵庫に運ばれ、冷まされます。
店内でお食事をしている人を撮ってみました。2人でこの量食べられるの?と驚いたけれども、きっと若い2人だから食べられちゃうのでしょうね。
鴻海飯店
住所:屏東県萬巒鄉萬巒村民和路16号
電話:(08)7811-220、7810-782
営業:7:00~20:00(テイクアウトは20:30まで)
休み:年中無休
日本語:可
日本語Menu:なし
熊家豬脚
前出の2店に比べて近代的な設備の熊家豬脚。一見新しいお店のように思えたけれども、開店して既に30年以上経っている老舗店です。
台湾で2008~2009年に放送された超人気のテレビドラマ「娘家」(全415回)のロケ地になったため、このお店は全国的に超有名店になりました。
店先には保冷ケースの中に収納された豚足が並んでいます。
熊家豬脚
住所:屏東県萬巒鄉褒忠路156号
電話:(08)7812-521
営業:6:30~21:30(食事は9:30より)
休み:年中無休
日本語:不可
日本語Menu:なし
このほか、「李家豬脚」「萬泰豬脚店」「萬佳豬脚」「藝香豬脚店」「大人物豬脚店」などが軒を連ね、つい最近新しく開店したお店もありました。熾烈な豚足戦争になっていますが、正直どこのお店も煮込んだ豚足そのものの味に大差はなく、お店オリジナルで作っている『漬けタレ』がお客さんの好みに合うかでひいきの店が決まると思います。
「萬巒豬脚街」だけを目指してくると、結構大変ですが、台湾最南端のリゾート地恒春半島「鵝鑾鼻」に行く人、遊び終わって戻る人にとってはちょうど通りがかる場所なので、経由地の一つとして組み込んでみてはどうでしょうか。
また、どのお店も豚足以外に数十種類の客家料理を出しているので、食事のために立ち寄る価値のある場所だと思いました!