你好!今回は台湾東部の花蓮県にお邪魔している一青妙です。
你好!今回は台湾東部の花蓮県にお邪魔している一青妙です。花蓮は、東部の海岸線に沿って、南北に縦長の地形になっています。飛行機がつく花蓮空港は花蓮の北部に位置していて、目指す場所は花蓮空港から車で南に下って約2時間。光復という小さな街にある、少数民族アミ族の伝統料理店「紅瓦屋」~文化美食餐廳~を訪れました。
ビンロウ畑を抜けていきます
飛行場より車で、台湾鉄道の線路に沿って国道を走っていきます。光復駅を過ぎてすぐに踏切を渡って、山の麓に向かう途中、山の斜面にはビンロウの木々がたくさん茂っています。木々に囲まれた細い林道を抜けると、そこにお店がありました。真っ先に目に入ったのは、レストランの建物のわきにある大きなふたつの池です。そしてなんだか大きな魚がうようよ。「なんというお魚ですか」と従業員の方に訪ねると、「呉郭魚」と教えてもらいました。呉郭魚は日本ではテラピアとも言うそうです。呉郭魚を使った豪快なアミ族の石焼き料理が、私のお目当てであり、お店の看板人気メニューなのです。
レストランの周りでちょっとしたお散歩が出来ます
|
|
元気に泳いでいるお魚たち
|
アミ族村に到着!
アミ族は、花蓮に多い少数民族で、「女系」の習慣が強いことでも知られています。お店の主人も女性の林鳳廷さん。すごく明るく、元気な方で、看板娘という感じでいろいろ料理を紹介してくれます。彼女は芸術的なセンスもあって、店内には多くの木工品が飾ってありましたが、多くは彼女の作品だということです。
黒板一杯に書かれた美味しそうなメニュー
待ちに待った食事の時間です!
新鮮!さっきまで泳いでいたお魚さん
これがさっき食べたクレソン!
早速「石頭火鍋(石焼き鍋)」(800元)を注文しました。まず、木の葉っぱで作られた器がやってきました。ビンロウの葉を使っているそうです。ビンロウと言えば、台湾ではタクシーの「ウンチャン(台湾語)」なんかが、眠気覚ましに時々噛んで、口を真っ赤にしているのを目にしますが、ビンロウの器なんて初めて。お店の裏山から取ってきたそうです。そのビンロウの器に張られた水に米酒を加え、「呉郭魚」のぶつ切りが入っています。そのなかに真っ赤になるまで熱した石を落とすとその瞬間に「じゅわー」っていう大きな音がして、水が一気に沸騰します。湯気で一瞬、器のまわりは何も見えなくなるほどです。豪快そのものの料理方法。その煮立ったスープに、クレソンを大量に投入していきます。クレソンも、お店のそばにある小川で栽培していて、そこから採ってきたばかりとのこと。ほんとうに現地調達の料理です。料理はほんの5分で完成します。
お味のほどは?
さて、味はというと、塩しか入れていないというスープの味が信じられないぐらいに濃くて、魚の美味しさが凝縮された感じ。魚のうまみを、1200度という通常の料理ではあり得ないぐらいの高温で引き出しているのでは、と想像しました。店主の林さんは「石のミネラルのおいしさ」を強調していました。確かに、魚や野菜だけではなんとも言えない味の深みがありました。魚の身も新鮮でとっても柔らかく、大量のクレソンでくさみも完全に消えています。クレソンも、溶けてしまいそうなぐらい柔らかくなっています。ほかの料理も頼もうと思っていたのですが、スープを飲み始めるとはまってしまって私と友達の2人で、完全にビンロウの器を満たしていたスープを食べ干してしまいました!
〜豆知識〜
「石頭火鍋(石焼き鍋)」の効能
■石(蛇紋石):消炎、殺菌
■クレソン:消炎、排毒、利尿、血圧降下、喫煙者の体内のニコチン融解作用
このスープ、飲むだけでデトックス効果が期待できそう!
うかがった話でいちばん面白かったのは、石焼き鍋に使った石(蛇紋石)は、二度と使わないそうです。因にこの石も付近で採掘してきたもの。一度使った石は土に埋め戻して大地に返すという考えがあるからで、アミ族の自然や土地への強い信仰心を感じて感動しました。聞いたところでは、こういう石煮はポリネシア系民族に広く見られる料理法だそうで、アミ族もポリネシアの島々から台湾に渡ってきたと言われているだけに、しっかり伝統を残しているのでしょうか。店主の林さんは「子供のころ、砂浜や川べりで、大人たちがたき火で石を焼いて、いろんな料理を作っていたの。それを私風にアレンジしたのよ」と教えてくれました。この石焼き鍋、わざわざ台北から食べに来る人もいるらしくて、陳水扁前総統もお店にきて食べた時の写真がありました。
呉郭魚は、塩焼きにしても頼むことができます。
ほかにもお店には台北では見かけたことがないような珍しい山菜を使った料理があり、次回はもっといろいろと試してみたいと思っています。
〜花蓮に来て〜
花蓮といえば、私にとっては30年ぶりの訪問です。子供のころ、両親に連れてきてもらって以来。家族みんなで太魯閣峡谷に行ったことを覚えています。それから、父親が生前、花蓮に出張するたびに、綺麗なサンゴや玉を買ってきてくれました。だから、花蓮というと、美しいところだというイメージがありました。今回初めてアミ族の料理を食べ、花蓮は美しいだけでなく、食べ物もおいしい所だと感じ、もっと台北から短時間で気軽に行ける様になれば良いなと思いました。
台北とは違った深い緑の風景を見られるので、是非足を運んでみて下さい!