杏仁独特の香りをいろんな薬味とミックスさせて、新しい杏仁テイストを生み出せ!
こんにちは、台北ナビです。日本で、中華のデザートといえば、「杏仁豆腐」を思い出す方も多いでしょう。独特の薬品っぽいような味なので、好き嫌いの分かれる食べ物ですよね。台湾の人でも、あの香りが苦手で、嫌いという人も多い「杏仁」ですが、あえて、この「杏仁」を使った専門店が台中にありました。
お店の名刺に書いてある地図。よくわかるような、わからないような・・・(微妙)
大平路のここから入ります
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森本レオ似のオーナーマスター
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小路の奥にチラッとパステルグリーンの建物が見えるでしょ。
住所を片手に、「太平路」をうろうろ。小さな名刺には、地図まで書いてありますが、番地を見ながら行かないと、つい通り過ぎてしまいます。何往復かした後ついに「107巷」を発見。バイクが1台通れる程度の小路の先に、パステルグリーンの店を発見。5mほど進むと店の入り口です。
「杏仁茶専門店」というだけで普通のカフェとは違うと思っていましたが、中に入ると、ナビには、なんだか来た事があるような、見覚えのある雰囲気だったのです。カウンターで、うつむきながらなにやら作業をしていたマスターらしき人が、ぱっと顔を上げて、ニコッと「何飲みますか?」と記入式メニューを渡してくれました。
寒くなってくると、コンビニで、統一の缶入りの「杏仁茶」や、街角の飲料店で「杏仁茶」を頼むこともあるナビですが、このお店のメニューを見たら、「原味」のほかに、「あずき」「ゴマ」「バラ」「ラベンダー」など9種類もあるではないですか。とりあえず「おすすめは?」と聞くと、「ゴマはどうでしょう?」と言われ、温かい「芝麻(ゴマ)杏仁茶」を頼みました。
店内は、1階のカウンター4席と小さなテーブル椅子。店内でいただくお客さんのほとんどは2階の席へ上がります。すごく急な階段を上っていくと、6畳ほど板の間があり、趣の異なった席が3つ。四角の大きなテーブルのある場所でいただくことにしました。
ギシギシと音のなる階段。下りるときのほうがちょっと大変。
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自然光で明るい2階の部屋。
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自然な「杏仁」香り
「芝麻杏仁茶(熱)」は「抹茶茶碗」風な器の中で湯気を立てて運ばれてきました。この茶碗、大きさと色合いを自分で決めて、知り合いの窯で特別に作ってもらったものだそうです。ごつごつとした素朴な風合いです。その茶碗からは、湯気とともに、独特の杏仁の香りも漂います。お盆の上には、もうひとつ、小さなすり鉢があって、そこには白黒ゴマが入ってます。ということは、まずはこのゴマをする?という問いかけの眼差しを向けると、オーナーは「日本人は、これを使ってゴマするでしょ?」とゴマをするのを手伝ってくれました。ゴマの香ばしい香りが立ち始めます。どこまでするかは自分の好みだそうで、ナビは荒挽き程度にすっておきました。
お店でいただくときはこんな感じで供されます。お持ち帰りのときは、ゴマを機械ですってから袋に詰めてくれます。ここで静かにゴマをするのもなかなかいいものです。
わずかなとろみがあります。
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普通はお客さんが自分ですります。これは撮影のため特別にお願い。
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まずは、ゴマを入れないままでいただきます。まだ熱々です。すするように飲み込むと、喉に細かい顆粒がへばりつく感じで、少しむせます。このざらざら感って何だろう?と聞くと、このお店の杏仁茶は、杏仁と玄米を挽いて作り、濾したりしないので、こういう細かい粒子が残るんだそうです。一般に売られているお湯を注ぐとできあがる杏仁粉末は、加工する段階で取り除かれるそうです。これぞ、手作りの証拠。
次にゴマを少し入れてみました。ゴマが浮かんだ部分をすくっていただきます。ゴマの香りがプラスされ、また一味違いますが、喉を通るときのザラザラ感が増えますね。しばらくすると、何事も無かったように喉はすっきりするんですが、ナビは何度飲んでも、この最初の喉へへばりつく感じが苦手です。
ということを訴えたら、「じゃあ、油條と一緒に食べてみたら?」とすすめられ追加オーダー。お粥についてくる油條くらいしか食べないナビにとって、豆乳と油條という組み合わせさえしないので、どんなになるだろうと興味津々でいただいてみました。軽くトースターで加熱された油條はサクサク。まず普通に一口噛むと、しょっぱくも甘くもなく、油がじわーっと染み出てくる感じ。これが苦手なので、あんまり好きじゃないんですが、杏仁茶に浸して食べてみると、この油が「コク」に変わるわけです。控えめな甘さの杏仁茶の濃度がぐっと上がった感じで、物足りなくて飲み飽きてたナビには新鮮な味。漬ける、食べる、漬ける、食べるとひたすら繰り返し、最後下にたまったゴマ粒をすくって食べ(飲み?)きりました。
杏仁茶はこうやって作ります
日本では杏仁豆腐以外はしられていないこの杏仁。英語で訳すと、「アーモンド」ですが、ナッツのアーモンドとは種類が違います。中国語では、どちらも「杏仁」と表記されますが、2種類あるんです。お茶や豆腐になるのは、中国の杏仁。そのまま食べたりするのがナッツの杏仁です。ナビも台湾へ来たばかりのころは、区別がつかなくて、よく混乱しました。
「三時茶房」の杏仁茶の原材料は、「杏仁+玄米+氷砂糖」にお水です。
普通は、玄米の代わりに片栗粉を使ってとろみを出すのですが、風味と健康のためにあえて玄米を使うこだわり。砂糖も氷砂糖の純粋な甘さのほうが、他の材料の味を損なわないのだとか。
材料を機械の石臼でゆっくり挽きながら水を加えていくと、下の器に白い液体となってでてきます。時間がかかるけど、この方法でゆっくり挽くと、風味が損なわれないのだそうです。
瓶詰め用や冷たい杏仁茶に使うのは、こうやって大きな鍋にいれて、ずっとかき混ぜながら沸騰させます。鍋底の部分が焦げやすいので、約30分、かき回し続けます。
温かい杏仁茶を頼むと、その場で必要な分だけ鍋に入れて沸騰させて、できたてをいただけます。
「本草綱目」に書いてある杏仁茶の効能。「
体を温め、肺を潤し、咳を止めて呼吸を楽にする。腸の動きを助けお通じを良くして、潤いある美肌にする。」どうですか、飲んでみたくなったでしょ?
杏仁茶専門店「三時茶房」のメニューって
杏仁茶専門店というだけあって、そのバリエーションは豊富。基本の
杏仁茶(60元)に、「芝麻:ゴマ」(55元)「紅豆:あずき」(55元)シリーズと、「薫衣草:ラベンダー」(60元)「水里紅:アッサム紅茶」(60元)の風味シリーズ。「アッサム紅茶」は「水里紅」と言って、台湾では南投県水里で唯一生産されるアッサム紅茶を使用。どの杏仁茶も、ホット(熱)とアイス(氷)が選べます。そのほか、特製コーヒーなどがあります。こだわり派のマスターが煎れるコーヒーですから、きっと深い味わいがあるでしょう。
台湾では、「紅豆」は体を温めるので冬に、「緑豆」は体を冷やしてくれるので夏に食べるといいとよく言われます。
「ラベンダー」「アッサム紅茶」 台湾産の紅茶の茶葉以外は、ドイツ製の無農薬のものを使っているそうです。
冷たいゴマ杏仁茶はこんな感じで、供されます。ゴマをすりたい方は、温かいほうを注文してください。
軽食メニューもこだわりが
飲物以外のメニューは、軽食のみ。
杏仁豆腐(アンニントウフ)(55元)
練乳がはいっているので、ミルクの香りと甘さがまろやか~なフルフルの杏仁豆腐に仕上がってます。甘さ抑えたあずきがのっていて、和テイスト。杏仁パンナコッタって感じです。この練乳を入れるのは、「どっちの料理ショー」を見て試したそうです。
お持ち帰りにすると、こんな容器に入れてくれます。ナビはいつも子供のおみやげ用に買っていきます。
杏仁瓦片(アーモンドクッキー)と杏仁千層酥(アーモンドパイ)2種で60元
こちらの杏仁は、ナッツのアーモンドです。温めてから出されるので、サクサク。ほのかな甘みと香ばしさがなんともいえません。
油條30元 台湾の朝食とおかゆには欠かせないものですが、意外にも杏仁茶とも合うんですね。
ナビがお邪魔したときに、他のお客さんが頼んだものです。このカップルも友達から聞いてやってきたそうで、まず、何を注文すればいいか、マスターに聞いていました。
「Thirty years old is New」
杏仁茶をいただきながら、お店の中を見ていたナビ。「『胡同』の雰囲気と似てますね。」というと、「ここを開店する前まで、僕は『胡同』で働いていたんですよ。そこで学んだことを生かしながら、自分のカラーを取り入れたのがこの店です。杏仁茶の専門店なんてないし、大通りでたくさん売るようなスタイルじゃなくて、わざわざ探して来てくれるお客さんに、丁寧に作ったものを提供したいと思ってここの場所に決めたんです。」なるほど、ナビが感じた既視感は、『胡同』の雰囲気と似ていたからだったんですね。売っているポストカードやメモ帳なども、『胡同』で売っているのと同じ作家のもの。
お店の名前が『三時茶房』だったので、てっきり、三時のお茶にどうぞと言う意味かと思って尋ねたら、中国語では、時間の3時は「三點」」。別に時間を表していたのではなかったようです。では、なぜ?と問うと、オーナーの何志偉さんは、開店するとき28歳。四捨五入して30歳。お店の建物も築30数年、そして、「三不五時」(=常に/いつも)という意味から、三にこだわって「三時茶房」と名づけたそうです。30年、30歳って、なんかいい感じの年でしょ?と言われ、たしかに、大人になって、少し世間を知って、体力も気力もあるキラキラしたころだなあと感じたナビ。「Thirty years old is New」うん、悪くない。
このロゴは、台湾独特の注音という読み仮名記号で、「三時」と書いてあります。台北ナビでした。