お手ごろ価格と気さくなサービス、地元の人に愛される老舗。8通りの食べ方で北京ダックを楽しめるのが魅力!
こんにちは、台北ナビです。
食いしん坊のナビにとって、北京と言えば、やはりダック♪丸々と育ったアヒルを、手間暇かけてじっくりローストした北京ダックは、中華料理の王様としての風格充分。人生に一度は、思う存分に食べてみたい料理のひとつではないでしょうか。
でも、中華の王様だけあって、さすがに値段の方も王様級。思う存分に食べるなんて夢のまた夢・・・、と諦めていた庶民的ナビですが、台湾に来てビックリ!台湾には、お手ごろ価格で北京ダックを食べられお店がいくつもあるんです!台湾の人にとって、「人数が集まったら北京ダック」というのは、ごくごく普通のこと、特に贅沢なことでもないのだそう。そんな、人数が集まったら行ってみたい店のひとつが、今日うかがった「北平 陶然亭餐廳」。MRT「南京東路」駅からすぐ近く、復興北路沿いという便利な場所に店をかまえる、地元のお客さんに愛されている老舗北京料理店です。
本場北京の味を35年以上 地元っこに愛されているお店です
「北平 陶然亭餐廳(以下「陶然亭」)」は、オープンして40年近くの老舗店。北平とは、北京のかつての呼び名で、店名どおり、北京料理のお店です。
初代のオーナーは本場北京から渡ってきた華人。それを引き継ぎ、味を守ってきたのが台湾人の楊さん。今はその息子、楊天麟さんが三代目としてお店を仕切っています。 「まだお若そうなのに(30歳台?)、お店を切り盛りしているなんてすごい!」と感心するナビの声に「子供の頃から、学校が終わると、厨房でお父さんから料理を教わっていたから」という楊天麟さん。「中華料理界に弟子入りして、料理の技を身につけるのは本当に大変。あえて、秘訣を1,2つ教えないなんていうのもよくあること。自分の場合、師匠が父親だったから、陶然亭の料理のコツを、若くして全て学ぶことができた」と、亡くなったお父さんを思いだし、感慨深げなご様子。ナビも思わずウルウルしてしまいました~。
「陶然亭」の人気料理は、なんと言っても北京ダック。水と空気が美しい宜蘭で自家養育した「填鴨」という種類のダックを使用。この「填鴨」、北京ダックにした時に、最もおいしくなるように改良されている品種で、焼き上げた時の、皮のパリパリ感とジューシーさが秀逸なのだそう。
その「填鴨」を、毛をそり、内臓をとって、皮と肉の間に息を吹き、ふくらませ、熱湯に通し、麦芽糖をかけて2~6時間風で乾かし(天候によって時間を調整)、冷蔵庫で1日寝かせます。下処理だけでもこれだけの手間暇がかかっているというから驚き!
そして、最後に「焼き」。お腹にスープを入れて炙り蒸し焼きにすること40分。「填鴨」を育てるところから始めると、気が遠くなるような時間を経て、パリパリキツネ色に焼きあがった北京ダックが、ようやく私たちの目の前に登場するのです。
北京ダックにはかかせない甜麺醤(テンメンジャン)も、もちろん自家製。大豆を8時間も炒め、自家製酵母菌を加え更に30分。やっとできあがったのが、陶然亭特製テンメンジャン。コッテリとコクがあるのにしつこくない自然な甘みは、手間暇かけて作った自家製ならではです!
北京ダックの食べ方は、なんと八吃まで!ダックの全てを味わいつくせます!
「陶然亭」の北京ダックには、もう1つ大きな魅力があります。
一般的な北京料理店の北京ダックは、「三吃」という三通りの食べ方で食べるのが普通ですが、「陶然亭」ではなんと「八吃」、八通りもの食べ方で、ダックの隅々までを食べつくすことができるのです!ダックのおいしさを余すことなく味わってほしいという思い、そして、お肉の部分は食べにくいお年寄りにもダックを味わってもらいたいという思いが込められているのです。
基本の北京ダックは1000元。一吃追加ごとに100元プラス(八吃目のみ+200元)。人数に合わせ、お好みに合わせ、メンバー構成に合わせ、食べ方をいろいろ追加できるのが楽しいですよねー!
一吃 一般的な食べ方。ダックをネギやテンメンジャンと一緒に「餅」に包んで食べます。
二吃 ダックの肉とモヤシの炒め物。
三吃 ダックの骨からとったスープ。酸菜(北京風漬物)の酸味がいいアクセントに。
四吃 「醤爆鴨骨」という、ダックの骨を使った料理。
五吃 「溜黄菜」という、卵をダックの油で炒めて作ったスープ。
六吃 「鴨油烤蛋」という、ダックの油で焼いた中華風の卵焼き。
七吃 「乾扁鴨肉絲」という、細切りにしたダックの肉の炒め物。
八吃 「生菜鴨鬆」という、ミンチにしたダック肉の炒めものを、生のレタスにくるんで食べます。
※四吃以降は、三吃をオーダーした方のみ、追加オーダーが可能です。
北京ダックの秘訣を教わった後は、いよいよ実際に北京ダックをいただきまーす!
説明を伺っているときから、頭の中は「早く食べたい!」の煩悩で埋め尽くされていたナビ。本当は「八吃」に挑戦したかったのですが、同行スタッフ4名ではとても食べ切れない・・・。ということで、今回は基本の三吃+二吃をいただくことにしました!
まずは、基本の食べ方。「餅」と言われる薄い小麦粉の皮に、こんがり焼けたダックの皮、テンメンジャン、白葱をくるんでいただきます!噛んだ瞬間に、ジュワッとあふれ出すダックの脂、テンメンジャンの甘み、さっぱりとした葱の香味が口の中で一緒になって、なんとも美味しいです~。
楊天麟さんのお話によると、ダックの皮は肩部分が一番おいしのだそう。もちろんこれはお好みなので、いろいろ試してみてくださいネ。ダックの脂に飽きてきたら、お肉の部分を一緒にくるんでもおいしいですよー。
そしてスープはザーサイとダックの骨から作られたもの。ザーサイの酸味がほどよく、コクもあり後ひくおいしさです。ナビはスープに入っているお豆腐がお気に入り!
「溜黄菜」と「生菜鴨鬆」もおいしいよ!との情報も
溜黄菜
「溜黄菜」は、卵とダックの油のスープです。 ダックの肉も皮も使わず、焼いたダックから出た脂で、鶏卵を炒めスープ仕立てに仕上げてあるそうなんですが、驚くほどにダックの香りがプンプンするそう。「年配の人でもダックのおいしさを味わえるように」の思いは、まちがいなくこのスープの中で生かされています。
「生菜鴨鬆」はミンチにしたダックのお肉を、野菜や油條と一緒に炒めたものを、生のレタスにくるんでいただきます。生のレタスでくるんでたべると、とてもさっぱりと食べられるので、脂っこいものが苦手という人にもいいかも。自家製テンメンジャンを加えて食べてもおいしいそうです。
北京ダック以外にもオススメがいっぱいです!
北京ダック以外の、人気料理をご紹介いたします!
◇「陶然鍋餅(陶然特製 焼餃子)」
陶然名物の超巨大な焼餃子。パリパリに焼かれた皮の中には、ニラ、ネギなどの野菜がたっぷり詰まっていてとてもジューシー。厚めの皮の表面をびっしり覆っている焼けたゴマが、香ばしくておいしいです!
◇「蘿ト絲餡餅(細切り大根の焼きまんじゅう)」
陶然の隠れた人気商品。こんがり焼かれた皮の中には、細切りの大根がたっぷり。干エビの風味としゃくしゃくの大根、そして大根からでた甘みツユが皮と渾然一体となって、いい感じです~!1個30元と、必要な人数分だけ頼めるのも魅力。
◇松柏長青
おなじみの北京料理。「まずはコレを」と言う方も多いのでは。何時間も水にさらしアクや雑身をとったシャキシャキの白菜と、ネギや香菜などの香味野菜、ピーナッツや豆干がアクセントになって、さっぱりとしているだけでなく味のある一品。
※北京ダックをオーダーした場合は、サービスでもらえるそうです。
なんとなく敷居の高かった北京ダックを、お手ごろ価格で気軽に食べられる、なんとも嬉しいお店です。後日友人から、安くておいしい北京ダックが食べたい!とリクエストされ、迷わずこちらを推薦!しかし、電話予約するも1時間待ち・・・。待っている間にお茶をくれたり、イスを出してくれたりと心遣いが嬉しいものの、できれば待たずに食べたい!なので台湾に到着したらすぐに予約してくださいね!八通りの食べ方、いつか全種類制覇したいです! 以上、台北ナビでした。