☆ミシュラン店☆伝統と革新が混在する台湾料理レストラン。家庭的なサービスも◎!
こんにちは、台北ナビです。
2018年春、初の台湾版となる「ミシュランガイド台北2018」が発売され、大きな話題となったのはまだ記憶に新しいところです。そんなミシュランの星付きレストランに選ばれたのは全20店舗。さまざまなジャンルのレストランが網羅されていますが、ここは台湾。とりわけ気になるのは台湾料理のレストランではないでしょうか?
そこで本日ナビがご紹介するのは「金蓬莱」。20の星付きレストランの中でも、たった2つの台湾料理レストランのうちの1店です。それでは、さっそく行ってみましょう!
わざわざ行きたい、レストラン
「金蓬莱」のついでに陽明山や士林夜市、国立故宮博物院に立ち寄るのもいいかも!?なんてナビは思うのデス
市中心部からタクシーで20分ほど。公共機関なら、MRTとバスを乗り継がなければならない天母エリアにある「金蓬莱」。観光ついでに立ち寄るのには、お世辞にも便利とは言い難い場所です。
しかし、ここは台湾人でさえ、わざわざ行きたいと思えるレストラン。みな「金蓬莱」の料理を食べに行く!という確固たる目的を持ってやってきます。アジアで人気の台湾人歌手Jもたびたび訪れる常連さんだとか。多くの人を魅了してやまない、「金蓬莱」。いったい、どんな秘密があるのでしょうか?
邸宅風の店構え
メインストリートである忠誠路を「新光三越」のある角で繁華街と逆方向へ。すると、並木道沿いに低層マンションが立ち並ぶ落ち着いた通りへと変わりました。1階にはショップやレストランが見受けられ、閑静な住宅街といた趣きです。突如、高い建物が途切れ、青空が見えた先に現れたのが「金蓬莱」。その向こうには緑の山も見えます。なんだかのどか~!
「金蓬莱」は一軒家の邸宅風レストラン。ナビがおじゃましたその時はちょうど改装工事中だったのが……残念。きっと、みなさんが訪れる頃には新しく生まれ変わった店舗になっているはずです。
「酒家菜」から始まった歴史
店内を見学していると、目に飛び込んできたのが壁に飾られた古い写真。 素朴な店構えの外観と、年代を感じるキッチン、そして大きなお鍋をのぞき込むようにお玉をかき混ぜる子供の姿……。すると、フロアを取り仕切るLillyさんが店の歴史を語ってくれました。
創業は北投から
「金蓬莱」の始まりは1950年代にさかのぼります。温泉地、北投が歓楽街としてにぎわっていた頃、現オーナー陳博璿氏の祖父にあたる陳良枝氏は「蓬莱食堂」をオープン。日本人経営の高級料亭で鍛えた腕でみるみるうちに評判となりました。提供するのは「酒家菜」。
「酒家菜」とは簡単に言えば、「高級宴席料理」のこと。日本時代、料亭では、カラスミやトコブシといった高級食材を使った料理がふるまわれ、政府高官など上流階級の人々が、お酒と共に楽しんだとか。そこでは那卡西(なかし=日本語の「流し」が語源)と呼ばれる演奏者に合わせて歌を楽しんだり、美女が宴席を共にしたり……と華やかな夜が繰り広げられていたそうです。そんな夜を彩った料理のこと。福建料理をベースに広東料理や日本料理、それまでの台湾料理を融合させた種々のメニューが生み出されたのだとか。
その後、店は二代目の陳芳宗氏に受け継がれ、北投から天母エリアへお引っ越し。名前も「金蓬莱」と改められました。当初は新しい「蓬莱食堂」ということで「新蓬莱」にしようと思ったそうですが、すでにその名は登記済み。役所の窓口で新じゃなく「金」にすればいいよ!縁起がいいし!という職員の一言で、「金蓬莱」という名前が気に入り、命名したとか。その後も評判の広がりと共に、お店も拡大し、天母エリアで引っ越しを繰り返して現在の場所へ。厨房を取り仕切るのも息子の陳博璿氏へと引き継がれました。
伝統+独創性=ミシュラン1つ星「金蓬莱」
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酒家菜は真の台湾料理」と言うのはLillyさん。伝統的な「酒家菜」であり、「金蓬莱」の名物料理でもある「排骨酥」や「佛跳懎」類は、初代から受け継ぐ秘伝のレシピで今なお昔ながらの味を守り続けています。排骨酥のレシピは店の主人となるものだけが知る門外不出の調理法なんだとか。
さて、そんな伝統的な味に、独創的な要素を加えて新たなる味を生み出しているのが陳博璿シェフ率いる現在の「金蓬莱」。陳シェフ考案の数々のオリジナルメニューが評判を呼び、連日大にぎわい。この度、ミシュランでも1つ星を獲得したのです!
真心をテーブルへ
何十年作り続けている料理でも、毎日試食を欠かしません
先の写真の中の子供……実は、陳シェフの幼少時代を写したものとお伝えしましたよね。物心つかぬ内から祖父と父の様子を見ては、厨房に立っていたとか。そんなシェフにおいしさの秘密を伺ってみると「ココだよ」と胸を叩きます。ママが家族を想って作るように、お客さんを想ってふるまう味が「金蓬莱」にはあるのです。
それでは、シェフの♡がこもった料理をいただいてみましょう。
蓬萊排骨酥 250元/份(1份3つ)
☆伝統料理
♥ナビMおすすめ
「金蓬萊」の名物料理の1つ、骨付きポークリブの唐揚げ。肋骨のやや下部を厳選して使用しているので、ほんのり脂が乗っていて柔らか~い。肉は8~9㎝にきっかり定規で計ってカット、火の通りを均一にしているとか。外はサクッと軽く、中はじゅわっとジューシー。冷めてもその味が損なわれないのはシェフの腕!
こんな花や飾り包丁を施したフルーツが台湾的。自家製の漬物もうまし!
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手づかみで豪快にいくのが正しい食べ方。骨から肉がスルりと取れます
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御品佛跳懎 1350元(6人前) ☆伝統料理
事前オーダー必須のスペシャルメニュー。排骨酥で切り揃えた時に出た切れ端リブの外、タロイモ、魚皮、ナツメ、栗、シイタケ、うずらの卵……など10種類以上の食材を煮込むこと1時間半。素材それぞれの旨味が染み出た味わい深いスープです。まあるい口細の陶器の器は、冷めにくいからいつまでもアツアツをいただけちゃう!
烏魚子炒飯 480元(小) ★陳シェフオリジナル料理
炒飯の米粒はパラパラに、それでいてカラスミはしっとりと。この2つの相異なる状態を1皿で表現するのは至難の業ですが、陳シェフの腕にかかれば……それが実現しちゃうんだから見事。香り立つカラスミの風味におなかがグ~と鳴っちゃっても仕方ない!
干貝蚵煎 480元 ★陳シェフオリジナル料理
見た目は菜脯蛋(切り干し大根の卵焼き)のようですが、ベースは屋台料理の蚵仔煎(カキのオムレツ)。それもゴージャス版!なんとホタテの貝柱入りです。さらに焼き方にも一工夫が。蒸し焼きにする屋台と違い水を使わず焼き上げるから、縁はカリッ&中はふっくら。海鮮の旨味もギュッと濃縮しています。
炒水蓮 250元(小) ♥ナビMおすすめ
中華野菜、水連菜の炒め物。シャキシャキとした食感とクセのない味の特徴を活かすように、あっさり味に仕上げています。日本ではあまり見ることのない野菜。台湾であっても、限られたレストランで見かけるメニュー、ぜひトライして!
大蝦粉絲煲 600元(小)♥ナビEおすすめ
乾燥したはるさめはエビのエキスで戻すから中までよ~く味がしみ込んでいて美味。さらに、大ぶりのエビとポットで煮込んだ一品。濃い目の醬油ベースだからお酒も進みそう♡
香炸芋條 200元
☆伝統料理 ♥ナビMおすすめ
台湾の家庭料理というタロイモのフライ。タロイモ版コロッケといった感じで素朴な風味です。食事のシメのデザートとしてどうぞ。
金柑檸檬汁 150元(グラス)サッパリしていて美味~!街角でよく見かけるキンカンレモンジュースですが、上品な味わいです。ボトルもありますよ~!
まさに「アットホーム」な雰囲気!
さて、本日案内してくれたLillyさんは陳博璿シェフの妹さん。ほかにもレストラン受付では奥様が、先代の陳芳宗氏も店に姿を現したりして、家族仲良く切り盛りしている様子が伝わってきます。もちろん従業員さんも多いけれど、厨房をのぞかせてもらっても、みな家族のように和気あいあいと働いている様子が伝わってきます。規模は大きくなれど、昔のまま家族みんなでがんばっている感じ。続いているのは料理の味、技だけではないんだなぁ…。
昼の営業を終えて、キッチンを清掃中
また、フロアスタッフはみな日本語が上手。「イラッシャイマセ~」「コレ、オイシイネ」「イチバン!」なんていう片言レベルじゃないんです。かなりハイレベル。それもそのはず、お店では毎日15分、レッスンタイムがあるそうです。だから料理の説明も日本語でOK!ちなみに英語も同じくらい上手に話すそうです。
「日本語で料理の説明をしたら、お客さんも安心してお食事できるでしょう?」とLillyさん。彼女の日本語もとっても上手。異国の地でありながら、温かなおもてなしを日本語で受けられるのはとってもうれしいな、とナビは思いました。
絶妙バランスのミシュラン台湾料理
となりは系列の鍋料理店、「宗」。洒落た洋風テイストのインテリアの中、火鍋がいただけます。2階へ上がると、「金蓬莱」ともつながる広々とした空間。何でも厨房は「金蓬莱」と同じだから、お鍋を食べながら、「酒家菜」をいただくのも可能。その逆もアリなんだとか。得した気分~♪
台湾料理は薄味、というイメージもありますが、「金蓬莱」のお料理はお酒も進みそうなしっかりとした味付け。それでいて、脂っこさや重たさはなく、絶妙なバランス。だから日本人の口にもピッタリ。ミシュラン星付きレストランながら、お手頃価格なのも高ポイントです。
さっそく行ってみたいと思ったあなた、向かう前にはご予約をお忘れなく!
以上、台北ナビでした。