ふらっと立ち寄れまったりくつろげる、初心者でも安心なツウな店。茶葉の販売店です。
こんにちは、台北ナビです。1984年開店、みなさんはこの数字を聞いてどう思いますか?日本橋あたりじゃ寛永何年に創業、なんてお店もザラにある日本ですからね、創業30年じゃ大したことないと思われるでしょう。でも台北はちょっと事情が違います。移り変わりがとにかく早いっ!美食・新しいものを求め、常に火花の散る日々。せっかくナビがお気に入りのお店を見つけても、あれよあれよという間に廃業に追い込まれ・・・半年前のお店がなくなることなんて別に珍しいことじゃないんですよ。ですから創業が30年ともなれば、台北では立派に一流の店として認められている証拠なんです。1967年に茶葉店として開業して以来、ずっと納得の行く茶葉を求め続けた雄光逸馬堂さん。1984年から今の茶芸館を始めましたが、お茶好きの地元・ご近所・常連さんの溜まり場としても深く信頼を得ているお店です。
お店の中に一歩入ると、外の喧騒が嘘みたいに独特の世界が広がります。最近のおしゃれな茶芸館とは違い、まるで中国映画に出てくる昔の家のような、それでいてどこか懐かしいような不思議な空間です。席につくと、ご主人の林さんが、まるで友人が来たような温かい笑顔で迎えてくれます。
お茶をお願いすると、客の目の前で、ご主人自らお茶を入れてくれます。もちろん、自分で入れたい人は、茶道具一式を持って来てくれるので、自由に楽しむことができますよ。
茶葉に対する林さんご主人の熱意は相当なもの。こちらで供されるのは基本的に手揉みの「阿里山石卓珠露茶」のみ。その上、お茶の味だけを楽しんでほしいからと、茶菓子の類いは一切置いていません。柔和で笑みの絶えない林さんですが、お茶に対する頑固なまでのこだわりは我々を圧倒させるものが。林さんいわく、一般的に標高が高い方がおいしいといわれる方が多い台湾茶ですが、実は一番おいしいのは1300~1500mなのだとか。2600mが一番!な~んて方もいらっしゃいますが、実際は寒さで茶葉の育ちがよくないことも多いのだそう。
今回私は、ご主人イチオシの阿里山石卓珠露茶の冬茶をいただきました。この冬茶は、茶の成分がたっぷり出た「濃い」味が特徴で、また葉に厚みがあるため、うまみが一度に出てしまわず、何杯も同じ味が楽しめるのだそうです。林さんに入れていただいたのですが、本当に苦みや渋みの全くない濃厚なお味でした。おいしいお茶ってこういう味なんですね。
台湾家常菜(家庭料理)は庶民の茶芸館らしく、家庭的でさっぱりしています。
今回、ぜひとも紹介したいのがこちらのお料理。奥様が毎日市場で仕入れた食材を使って作る台湾版おふくろの味は、野菜たっぷりでとってもヘルシー!料理は1人分ずつの定食形式で、主菜は自分で選べます。こってり続きで胃腸がもたれる方にもオススメ。席で待っていると、林さんが手書きのメモを持って注文を取りにきてくれます。メモには、その日の主菜が魚貝類、肉類合わせて7~8種類書かれているので、中国語ができなくても大丈夫♪
出てきた料理は、主菜のほかに、野菜たっぷりの炒め物3皿、滋味あふれるスープに白飯。できたてのアツアツはどれを食べてもハズレなし。油を使っているのに全くしつこくなく、しょっちゅう食べに来たくなる味です。なお、これらのお料理は昼時だけでなく、夜でもいただけます。林さんがいれてくださる美味しいお茶も一杯ついてきます。
ゆっくりと、午後のぽかぽか陽気と共にまったりと楽しみたい場所。
店内を見渡すと、たくさんの書や画が壁に掛けられています。それらは何と、全てご主人の林富郎さん自身がかかれたものばかりで、これもまた林さんが自ら集められた中国製のファブリックと共に、独特の雰囲気を醸し出しています。気軽に指差した絵はなんと30000元!でもお世辞ヌキでとってもステキでした、お金あったらなあ・・・。
取材中、大量のお茶と飴を購入していた常連さんを発見!「ここのお茶はもちろん、この飴も日本のお友達にはスゴク好評なの~」と。
へえ~!お土産にもよさそう!林さん林さん、一袋いくらですか?とお聞きしたところ・・・「お金なんていらないよ!」の一点張り。ぐいぐいとナビのカバンに押し込む優しい林さん。お陰で一袋のお値段聞きそびれてしまった・・・。しっかりとお茶味の、確かに日本人好みの飴です。
取材中、お店の片隅では、常連とおぼしき方々が午後のひとときを過ごされており、いつのまにか我々と一緒にお茶を飲み比べたり、話に加わったりして、私は取材を忘れてすっかり和んでしまったのでした。
以上、台北ナビでした。
☆☆ 料金例 ☆☆
阿里山石卓珠露茶(軽焙煎、重焙煎) 1両(37.5g) 200元~400元ほど
凍頂烏龍茶 1両(37.5g) 100元~
プラス お湯代 一人 150元