リピートしたくなるその秘訣は、女性料理人たちが作る化学調味料一切なしの天然調味料と健康へのこだわり!
こんにちは、台北ナビです。
今回訪れたのは、永康街の静かな住宅街にたたずむ上海料理のレストラン「秀蘭小吃」。
実はナビ、上海料理を食べるは初めてで、どんな料理だろうとわくわくしながらお店へ向かいました。
お店に入るとふわ~っと厨房から醤油の甘く濃厚な匂いが漂ってきて、途端に食欲がアップ!さてさて、どんな料理に出会えるのでしょう~。
はじまりは“肝っ玉母さん”の家庭料理
任さん夫妻直筆の店名とイラスト
「秀蘭小吃」は、30数年も続く台北でも数少ない正統派の上海料理店。オーナーの奥さん・陳麗娟さんによると、このお店を始めたのはオーナーのお母さん・任秀宝さんで、彼女は中国江蘇省から30数年前に台湾にやって来ました。9人のお子さんと、麻雀を楽しみに自宅を訪れるたくさんのお友達に得意の料理を振る舞ううちに、だんだんその料理が話題に。
そして、この店を開く運びになったということです。店の名前は、お母さんの名前の一文字「秀」と、開店同時手伝ってくれた料理人の名前の一文字「蘭」をとって、「秀蘭」となりました。
料理人はほぼ女性で、厨房はピカピカ!
この店は、入ってすぐ向かいの奥の方に厨房があります。ちらちらと見える料理人、なんだか女性ばかりのような気が…。男性の料理人が多い中華料理の世界で、これってとってもめずらしいのでは??と陳さんに聞いてみると、7人の料理人のうちなんと6人は女性。「女性はとてもキレイ好きだから、ママ(任さん)が料理人はずっと女性を選んでいるんですよ」と陳さん。
役割分担もきっちり決まっているようで、皆さんテキパキ!!
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コンロ周りはピカピカ!
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厨房を見せてもらって、納得しました!!食材や道具はきれいに整理整頓して並べられ、コンロの周りはピカピカ。そして床にもゴミ一つ落ちていなくて、清潔そのものです。ナビの偏見かもしれませんが、ごちゃごちゃとした中華料理屋さんの厨房が多い中でこれは目から鱗でした。しかも、この女性軍はここでもう20数年以上働くベテランさんばかり。
てきぱきと軽快に料理されているのがとても印象的でした。
お店に入ってまず目を引くのが、通路右側の棚に置かれた小吃の数々。こちらは常時、12、3種類が用意してあります。
どれも美味しそうで、席に着く前からどれにしようかと悩んでしまいそうです。その中でもとくに人気の4品はこちら!
乾扁四季豆(小70元、大100元)
インゲン豆とひき肉の炒め物。
辛さが適度で脂っこくなく、女性に好まれそうな味付けです。何より、シャキシャキとしたインゲン豆の食感がたまりません。このシャキシャキの食感、時間が経ってもちゃんと残っていましたよ。
青椒塞肉(一本30元)
日本語メニューにはピーマンの肉詰めと書いてありますが、実際ナビ達が食べたのはししとうの中にミンチを詰め込み、煮込んだもの。
日本人好みの醤油ベースの甘辛い味付けで、柔らかいお肉と煮汁が食欲をそそります。ごはんがとても合う一品。
魚香茄子(小70元、大100元)
ナスとひき肉の炒めもの。
こちらも甘辛い味付けで、ナスにしっかりと味がしみています。本格的な上海料理なのに、どこか日本の“おふくろ”の味も連想させる料理。「おふくろの味は場所が違っても、どこか共通するものがあるのかなあ...」など考えながら食べていたら、美味しくてついつい箸が進み、お皿があっという間に空っぽになっていました!
葱烤鯽魚(220元)
こちら、茶色い見た目に「味が濃くて油っぽそう」と思いながら口に運んでみると、意外にも油っこくなくてちょうどいい塩梅。フナを揚げて、醤油や氷砂糖、ネギで甘辛く煮付けてあり、くせになる味。お腹にぎっしり詰まった魚卵は珍味で、骨は柔らかいのですべて食べられます。
そして添えてあるネギ。しっかり煮汁の味がしみていながらもネギ本来の持ち味が保たれていて、一緒に食べると一層美味しさが増します!
おすすめの人気料理はこちら!
しっかり味が浸みているのに、あっさり美味しい上海の家庭料理。数ある料理の中から、とくに人気のあるお料理を紹介していただきました。
清炒河蝦仁(600元~)
右側のお酢を付けていただきます。
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小エビはぷりぷり!
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小さな川エビとネギの炒め物。ぷりぷりのエビにお酢を付けていただきます。エビ自体は軽い味付けのみで、新鮮なネギといっしょにお酢をつけていただく、シンプルなお料理。さっぱりしていて、箸休めにぴったりです。
牛肉と大根の土鍋煮。お醤油ベースの煮物で、日本人ならどこか懐かしい料理とも感じる一品かも。牛肉はしっかりと味がしみて、筋までとってもやわらか。もちろん大根も味がしみてほろほろでした!ナビオススメの土鍋の煮物です。
清蒸臭豆腐(3塊/100元)
揚げた臭豆腐は夜市で買い食いしてよく食べるナビですが、この蒸したタイプは初挑戦。揚げたら臭さや味がなんとなくごまかせそうですが、「蒸し」だとそのごまかしが効きません。味勝負、というところで内心どきどきしながらパクリ。
しっかりとした噛みごたえがあり、味が浸みたはんぺんのような食感。味のほうは、臭豆腐だけを食べるとちょっと臭いですが、上に添えてあるひき肉とネギ、唐辛子をいっしょに食べると臭さと辛みがなんともいいコンビネーションです。最初食べた時はあまり感動がなかったのですが、不思議とちびちびと食べるごとに美味しさがじわじわと沸いてきました。最後には「ここにビールがあれば最高の酒のつまみだ!」と思ったナビです。
この臭豆腐、台湾だと夜市でよく見かけるのでB級グルメという印象が強いですが、上海料理では高級料理だそうですよ。
白菜獅子頭(2個/300元、3個/450元、4個/600元)
白菜の下にはとっても大きな肉団子が隠れていました!
ここの看板メニュー、白菜と肉団子の土鍋煮。たっぷりと煮汁を吸ったとろとろの白菜に、かなり大きな肉団子がベストマッチ!ジューシーでふわふわの肉団子が印象的でした。しっかりと食材に味がついているのに、なぜか全体的にあっさりしたお味で、どんどん箸が進みますよ。こちらの土鍋料理もオススメです。
肉絲豆腐羹(200元~)
豆腐と脂身のない豚肉が入った煮込みスープ。ほんのり塩気がするやさしい味で、ネギや卵も入っていました。
清菜飯(20元)
上海料理でごはんといえば、これ!だそうです。ちょっと柔らかめの白ご飯に青菜が混ぜ込んであります。青菜にちょっと塩気があるので、ご飯だけ食べても十分美味しいです。
紅棗銀耳湯(50元)
ナツメと白キクラゲの甘いデザート。白キクラゲたっぷりで、これを食べればきっと翌朝はうるおいお肌間違いなし!!
化学調味料一切なしで、塩分と油を控えた健康志向
今回いただいた料理に共通していたのは、しっかりと食材に味がついているのに、全体としてはあっさりめということ。醤油ベースの甘辛い煮物でも、しっかりと味が浸みているのになぜかあっさりしているので驚きです。
その秘訣を陳さんに聞いてみると、化学調味料を一切使用せず、すべて天然の調味料を使用していて、塩分と油の量を少なめにしているからだとか。そのため、しっかりと味が定着しているにもかかわらず、中華料理によくありがちな「食べた後に喉が渇く」ということもありませんでした。
元気な“ママ”とベテラン料理人で開店当時と変わらぬ味を!
「紅葱烤排」も秀蘭の人気メニュー。また訪れたくなるようなお料理がたくさんあります!
この店を開いた任さんは現在83歳で、いまはアメリカをベースに、上海とここ台湾を行き来されているとか。「ママ(任さん)はこの店の化学調味料を全く使用していない、健康な料理をいつも食べてきたから、いまも元気そのもの」と陳さん。任さんはこちらのお店にもたまに顔を出し、味のチェックも欠かさないそうです。元気な“ママ”と、ここで20数年働くベテラン料理人によって、この店の味は開店から30数年経った今も当時と変わらぬ味を保っています。
はじめて食べた上海料理は、日本人のナビにとってはどこか懐かしくてほっとする料理でした。
安定した料理の美味しさと、お世話好きで威勢のいい女性のスタッフと料理人ー。またふらりと訪れたくなる「秀蘭小吃」、MRT信義線の開通でますますアクセスしやすくなったので、皆さんもぜひ訪れてみてくださいね。
以上、台北ナビでした。