2019年ミシュラン・ビブグルマンに輝いた80年の歴史を持つ老舗台湾料理
こんにちは、台北ナビです。
台北市の南側・文山区の景美に、2019年のミシュラン・ビブグルマンに輝いたレストランがあります。実はナビはかつて文山区内の大学院に通い、この義興楼の前を何度も通ったことがあったのですが、ここがビブグルマンに輝く名店だとは全く気付いていませんでした。今回、遅ればせながらナビも訪問。美味しさの秘密を探ってきましたよ。
日本時代から4代に渡って受け継がれる味
義興楼があるのは、MRT「景美」駅から徒歩4分の場所。台北市立動物園や猫空ロープウェイのターミナルとなるMRT「動物園」駅からは欣欣客運の251番バスで約30分、「文山二分局」バス停からも徒歩4分の場所にあります。お店は景美夜市の前にあるバス通り沿いにあるのですが、店構えは至極一般的なレストラン。意識しないと本当に気付きません。
迎えてくれたのは女将さんの劉碧霞さん。ビブグルマンに輝くほどの実力を持つレストランを切り盛りするというのに、おっとりとしていて、とてもチャーミング。有名店だと忙しすぎて殺伐としているお店も多いですが、ここなら安心して食事ができそうです。
お話を聞くと、実は80年前の日本統治時代にオープンして、現在で4代目になる老舗なんだとか。地元の人々に愛されていて、宴会利用も多いんだそう。ただ、外国人観光客の利用はまだ少ない方だというので、「日本人の少ないディープなお店に行ってみたい」と言う方、ぜひお越しください!
「おもしろいのがあるのよ」といって2階に案内してくれた劉さん。表通りに面した小さなバルコニーがあったのですが、外壁に書かれていたのは右から読む「公共食堂義興」の文字。現在は大きな外看板に遮られて外からは見られないのですが、この建物が建てられた当時の看板が今でもしっかりと残されていました。
外からは見えないのにペンキはしっかりと塗られて大切にされていました
そして、1階の奥には観音像が飾ってあるのですが、これには理由があるんだそう。それは、かつて劉さん一家は景美よりもさらに南に行った新店の山に暮らしていたのですが、ある日の嵐に伴う土砂災害で家が流されてしまった時、持ち出した唯一のものが、この観音像だったんだとか。今でも店内でお店を守っています。
飾らない台湾料理。お酒によく合う濃い目の味付けです
【糖醋排骨(酢豚風炒め物)250元】サクサクに揚げたスペアリブを酢豚のあのソースと絡めた一品。甘酸っぱいソースがジューシーなお肉とちょうどいい食感を産み出していて、白いご飯と一緒にかき込みたくなる味です。
【金錢蝦(エビ団子)250元】
こちらの看板メニューが、このエビ団子。新鮮な剣エビを使用して、絶妙な温度の油で揚げられているので、外はカリカリ、中はジューシーです。エビの濃厚の味が閉じ込められていて、口に入れた瞬間、エビの香りが広がるのがグッド。
【水蓮(水蓮炒め)100元】台湾南部でしか栽培されない茎菜の炒め物。シャキシャキとした歯ごたえが特徴的で、空心菜と並んで日本人に人気の野菜です。南部から運ばれてくるので新鮮でないとえぐみが出ることがあるのですが、この日食べたものは甘みすら感じられました。
【菜脯蛋(たくあん入り卵焼き)80元】台湾家庭料理の定番ともいえるたくあんが入った卵焼き。「焼く」というよりも大量の油で「揚げた」ようなキツネ色のふんわり卵に、コリコリしたたくあんの食感が楽しくて美味しいです。お値段も80元ととっても良心的。
【芋頭酥(タロイモ揚げ)150元】
タロイモ団子を揚げた、おかずのような、デザートのような不思議な芋頭酥も義興楼の名物。しっとり、ホクホクでほんのり甘い優しい味は、初めて食べてもなんとなく懐かしさを感じられる不思議な一皿でした。
【涼拌豬肝(冷製レバー)180元】「美味しいおいしい」といって食べていたら女将さんが「これもオススメよ~」といっておオススメしてくれたのがこの甘いソースがかけられたレバー。オレンジの輪切りの上に載っていて、ちょっと日本で見かけるレバーとは印象が違います。口に入れると独特の臭みはなく、クリーミーであっさりとしたフォアグラを食べているようでした。
まだまだ知られていない景美という台北郊外にある飾らない素朴なレストランですが、だからこそ、古くから続く台湾料理の味を堅実に現在に伝えていて、多くの人から支持されているのかもしれません。食べ終わったら、景美夜市に繰り出して有名な豆花を食べるのもよし、さらに新店へ足を伸ばして名勝・碧潭の夜景を眺めるのもよし。台北郊外の観光スポットと組み合わせて訪れてみてくださいね。
以上、台北ナビでした。