台東長濱で人生を変えた!大きな少年みたいなオーナーが心を込めて1杯ずつ淹れてくれる絶品コーヒー。おいしさの秘密は「KONO式」にあり!?
こんにちは、台北ナビです。
台東の最も北側に位置する長濱。ここにオススメのコーヒーショップがあると聞いてやってきました。「巨大少年」という店名のとおり、少年のような心を持った大きな青年が開いた小さなお店。ここにどんなストーリーがあるのか……探ってみたいと思います。
オーナーの陳良鎮さんは高雄人。ここ長濱へ何度も遊びに来て、その時長濱での生活に惚れ込みました。特に長濱のここが!というのではなく、ここに居る時の感じが良かったのでしょう。高雄での仕事を終えた時、「よし長濱で暮らそう」と長濱へ移り住んできました。
コーヒーを提供するお店を出すことにした彼は、友人にコーヒーの淹れ方を教わろうとしましたが教えてもらえず…。YOUTUBEなどを見て独学することにしました。
すると「コーヒーの淹れ方に大きな違いはない」と気づき、そこから実践の日々が始まりました。世界チャンピオンの動画を見て、とにかくコーヒーを淹れてみる。誰かに習うのではなく、自分の思うままにやってみるということを続けること2年。満を持してお店をオープンしました。
「KONO式」が最もおいしいと思う
唯一のスイーツはフランス式のブラウニー!生チョコレートみたいな味わいで、これが一番簡単でおいしくできるスイーツなんだそう。コーヒーと合わせてどうぞ!
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お湯を注ぐ時はこのポーズをずっと保っています!
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巨大少年咖啡館へ来たらハンドドリップコーヒーを飲まなきゃ始まらないというので、ナビも注文してみました。手書きのメニューには焙煎の度合いとコーヒー豆の処理方法が書かれていますが、ナビはよくわからないので、苦味が強いのが好きという好みを伝えてケニア産のものにしてもらいました。
陳さんの淹れ方を見て思ったのは、お湯をゆっくり、ゆっくり落とすのです。ふむふむ、ゆっくり淹れるのがコツなのか!そう思ったのですが、そう簡単なことでもなさそうです。なんでも、コーヒー豆を焙煎した時から、コーヒー豆の状態はゆっくり変化をしていくので、焙煎の度合いが同じであっても毎回コーヒー豆の状態は違うのだとか。だからその時のコーヒー豆に一番合った方法で淹れなければ、コーヒー豆のおいしさを引き出すことができません。コーヒーを淹れる過程は同じですが、一見同じように見えるお湯をそそぐリズムや速度、量は少しずつ違うのだといいます。
これに気づけたのは、陳さんが最もおいしく淹れられると思う「KONO式」のおかげ。名前を出すのはどうかなと思ったけど、やっぱり一番だから!と絶賛していました。
ゆっくり弱火で焙煎!
独学でコーヒーを学んだというのに、コーヒー豆の焙煎までやってのける陳さん。そのこだわりは「弱火での焙煎」。
というのも、火力を抑えてゆっくり焙煎すると、コーヒー豆の持つうま味が細部にまで表現できると考えているからです。何の確証もないけれど、自分がそう思うし、自分がおいしいと思うから、この方法にこだわります。
例えば、豆本来の味わいを大切に味わうという「サードウェーブ」の到来により、浅煎りコーヒー豆の人気が出てきていますよね?一般的な焙煎方法だと、浅煎り豆の場合、3~9分間で焙煎を終えるというものが多いですが、陳さんは20分ほどかけて作るのです。
コーヒー豆は自分が好きなものだけを選んでいます。アフリカ産、中南米産のコーヒー豆が多く、処理方法は非水洗処理方法(ナチュラル/日曬)、水洗処理方式(ウォッシュド/水洗)のみ。
最近台湾産のコーヒー豆も注目されているので、どうですか?と聞いてみましたが、陳さんのお眼鏡にはかなわない様子。頑張れ!台湾産コーヒー豆!!
「鈴木保奈美」というコーヒー豆!
メニューを見ていると「鈴木保奈美」というコーヒー豆を発見!もう注文しないわけにはいきませんよね?ということで、もう1杯注文しました。
日本のコーヒーショップで飲んだ一杯のコーヒー。透き通ったそのコーヒーは甘みがあり、すっきりとした飲み口でした。これに衝撃を覚えたオーナー。台湾へ帰ってきて、このコーヒーを再現してみたのです。
まだまだあの感動の味には及ばないということですが、これを飲んだなじみ客の1人が「このコーヒーは鈴木保奈美のような味!」と形容したことから、このコーヒー豆は「鈴木保奈美」と命名されました。「カーンチっ!」と呼びかけていたあの時代の鈴木保奈美さんのような凛とした味がしたように思います。
こんなに続くなんて思ってもみなかった!
海の風を感じながらコーヒー飲めるって最高です!
巨大少年咖啡館はオープンから3年経ちましたが、その間一度引っ越しています。以前は町の中心地にあり、規模も大きかったのですが、貸借契約期間終了のため、今の場所へ半年前に引っ越してきました。
今の場所はかなり見つけにくいところにあるし、自分でもお店を閉じるのも早いかなと思っていたのですが、予想に反して、引っ越しても元のお客さんが遊びにきてくれるのだそう。そういえば、ナビがお邪魔している時にも、以前訪れて気に入ったからフェイスブックの住所を頼りに来てみたというお客さんもいました。
もちろん、ここへ引っ越してきてから新しいお客さんも増えました。特に多いのが、原住民のお客さん。というのも、コーヒー豆の焙煎のいい香りにつられて飲みに来るのだそう。そこからここから一番近くの集落である南竹湖集落について理解を深めることができ、今まで自分が持っていた原住民とはこういうものだろうという概念が全然当てはまらないことに気づいたともいいます。
正直すぎる陳さん
「ずばり陳さんにとってコーヒーを淹れるということに熱い思いはありますか?」というナビの質問に……「正直言うと、コーヒーを淹れるのは
長濱で生活をするため」というとてもシンプルな答えが返ってきました。
でも「
想像もできないくらい色んな人に出会えるのが、長濱でお店を開いている魅力なのかもしれません」
例えば……と、公益平台基金會の嚴長壽總裁が友人を連れて来た時のことを教えてくださいました。嚴長壽總裁は、日本の方にはあまりなじみがないかもしれませんが、台湾では知らぬ人はいないであろうと言われるくらい有名な方。アメリカンエクスプレスの台湾地区総経理、ランディス台北の総裁、台灣觀光協會会長、圓山大飯店総経理と輝かしい経歴を重ね、現在は公益平台基金會を運営し、東台湾の発展に尽力されています。
そんなすんごい人ですが、若さと健康を保つ秘訣を聞かれ、ほかのお客さんがいなかったこともありますが、スーツを着ているにも関わらず、お店の床の上で寝転がりながらどう身体を動かして運動するかを披露してくれたんだそうです。こんな有名な人だけど、実は普通の人と変わらず、しかも誠実なんだなと感じられた。これが台北のカフェなら嚴總裁が、こんなことするなんてありえないでしょう?
裸足でコーヒーを淹れてくれますよ~
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レトロな扇風機
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この場所にあるカフェだから、「お客さんが
自分を偽ったり、隠したりせず、ありのままで時間を過ごせる」と言います。ここにはひとり旅で来る人も多く、話しかけてみると、その人達それぞれに物語があって、話してくれるのだとか。
心を込めて1杯のコーヒーを淹れる、そのコーヒーを通して色んな人の様々な人生に出合える。もう本でも書けそうじゃないですか!!
長濱の地に恋をして、この土地で生きると決めた陳さん。彼が提供するのは1杯のコーヒーと心地よい空間だけです。でも飾らぬ陳さんが長濱に開いたこのお店だからこそ、疲れた心が解放され、ふっと心が軽くなるのだと思います。
自分を見つめに、一息つきに、ぼーっとする時間を味わいに、ここ長濱を訪れてみませんか?
以上、台北ナビがお届けしました。