漢方薬局が薬膳食堂に!代々受け継がれるレシピで身体の内側からキレイになる
こんにちは、台北ナビです。
「漢方」と聞くと、なんとなく身体によさそうではあるものの、むずかしそうとか、苦そうなイメージを抱いている人も多いのではないでしょうか?ですが、「医食同源」という言葉があるように、漢方は病を治すためだけのものではありません。健康を保つために普段の食事から取り入れるもの…そんな文化の根付く台湾では、街のいたる所に漢方医があり、家庭でも日頃から薬膳料理が食卓に上ります。せっかく台湾に来たからには、この漢方パワーにあやかっておきましょう!おいしい薬膳料理を食べれば、「良薬は口に苦し」のイメージはなくなりますよ。
薬局でもあり食堂でもある「博仁堂」はここに!
今回ご紹介する「博仁堂」があるのは、「開基武廟原正殿」という歴史ある廟近くの細い路地。この「開基武廟原正殿」の籤(おみくじ)がよく当たると噂が噂を呼び、たくさんの人でにぎわっていたことから、この廟のある新美街はかつて「抽籤巷」と呼ばれていたんだそう……。今でもこのエリアには、ノスタルジックな台南を感じらるお店や建物が多く残されていて、老舗「博仁堂」もそのひとつ。店頭にかかる扁額からも、格式の高さが感じられます。
漢方初心者でちょっと緊張しながらお店に入ったナビを、温かく迎え入れてくれたのは6代目となる若きご主人、周建文さん。建文さんのお父さんのおじいちゃんのおじいちゃん…えーっと…とにかく、1代目ご主人が漢方の本場、中国で開業され、3代目ご主人の代で、この路地にお店を構えたそう。老舗中の老舗である漢方薬局ですが、食堂として薬膳メニューを提供するようになったのは、今から1年半ほど前。近ごろ、若者などの漢方離れが進んでいるそうですが、漢方を始めてみたいけど、どう生活に取り入れていったらいいかわからない…そんな人たちに、漢方を身近に感じられる場所となりそうですね。
漢方特有の香りがたちこめる店内には、薬局ならではの百味箪笥が目を引きます。台湾でお店を構えるときにご近所さんから譲り受けたというヒノキの箪笥で、もらった時すでに50年ほど使い込んであったそう……。ということは、もう100歳以上という長老箪笥です。4文字のことわざが書かれた扁額をテーブルとしているのも特徴的です。
いざ、薬膳ご飯!良薬なのにうまし
家族で考案したという「博仁堂」のメニューは、10種類ほどのス―プが中心。うれしいことに日本語メニューも近日公開予定!!気になった名前のメニューを注文してみる以外にも、例えば便秘や冷え性など、身体の気になる症状をお伝えして、おすすめのメニューを選んでもらうこともできます。実際、ナビも美肌に効果がありそうなものを注文したところ、おすすめの「養生雞窩盅(養生チキンスープ/120元)」が登場しました。鶏ダシがしっかりと効いたあっさりスープは、コラーゲンがたっぷり!ホロホロとほぐれるチキンと、ナツメ、白キクラゲがが一緒に煮込まれた透き通るスープで、なんだかパワーが湧いてきました。
同じ料理でも、各家庭やお店によって、漢方の配合量や煮込み時間が違うので味もそれぞれ。「博仁堂」のレシピは、周家で代々受け継がれてきた伝統の味。漢方の風味が最大限に活かされるよう、6時間ほどかけてじっくりと煮込まれています。
「南洋風味肉骨茶盅(南洋風バクテー/120元)」のお肉も軟らか~。おそらくいろいろな漢方がブレンドされているであろう黒いスープには、豚肉の旨みも溶け込んで絶妙なバランスです。飲んでいるうちに身体が芯から温まってきました。スープには、麺やご飯、ドリンクなどをプラスすることもできます。個人的には、ゴマ油の効いた「麻油麺線」と一緒にいただくのがおすすめですよ。
そのほかにも、お店ではかわいいボトルに入った漢方茶も販売しています。ふらりとお店に立ち寄って買っていかれるお客さんもいました。特に夏場のこの季節、冷えっ冷えの漢方茶は街歩きの強い味方になってくれそうですね。食堂としても、ドリンクスタンドとしても利用できる薬局となると、ますます漢方デビューの場にピッタリです。
「博仁堂」で楽しめるいろいろ
「漢方」というものをもっと身近に感じてもらえるよう、「博仁堂」では時々、生薬をブレンドしたアロマオイルや、塗り薬などを作るDIY教室などを開催しています。詳しくはお店のホームページをご覧ください。
また、自宅でも気軽に薬膳料理が楽しめるよう、藥膳スープ2~3人前用のDIYパックも販売しています。どれもお好みを具材をプラスして、だいたい40分ほど煮込むだけで、簡単に本格的な薬膳スープが楽しめるという優れもの。ただし日本に持ち込む場合、生薬は植物なので植物検疫を受ける必要があります。中には持ち込めない品目もあるので、飛行機に持ち込む際は事前に農林水産省の「植物防疫所」のウェブサイトで確認しておくことをおすすめします。
今回「博仁堂」におうかがいして、むずかしいとか苦いと思っていた漢方のイメージは、おいしくて身近!とイメージに変わりました。薬と言うと、不調を見つけた時にお世話になるものという考えでしたが、先ほどメニューを選ぶときに、自分のどこが弱っているかを久しぶりに考えたように、漢方とは日頃から自分の健康と向き合えるきっかけでもあるんですね。特にホルモンバランスの影響を受けやすい女性にとって、強い味方となってくれそうです。
ストレスの多い現代社会。台湾に来たら、ぜひ漢方の力で自然治癒力を高めてみてくださいね。
以上、台北ナビ(岩田優子)がお伝えしました。