嘉義の朝を象徴する情景。70年以上も続く「炭焼杏仁茶」
こんにちは、台北ナビです。
南門ロータリーの東側、民族路と共和路の交差点付近で、番地から言えば民族路191號前に、毎朝6時ごろから10時くらいまで「炭焼杏仁茶」が出現します。屋台というと台の上で品物を販売しているイメージですが、ここは路上でお客さんにお茶をふるまっているような…感じです。台北にはない、台湾中探しても独特なスタイルで、しかも日本時代から続いているというから、これはすごいです。
店舗があるわけではなく、毎日早朝時間がくれば、路上にはプラスティック製の椅子が並べられます。ナビが行った時は、2代目のお爺ちゃん包老板(ラオバン=オーナーのこと)が入れてくれていました。時々奥さんや娘さんに替わるそうです。常連さんも多いようで、自転車やバイクで近付いてきた人を見たら、包老板はもう杏仁茶を入れ始めます。ここで飲む人なのかテイクアウトなのかは、もう日常の暗黙の了解のようです。
お爺ちゃんは包さんと言い、毎朝3時半から杏仁茶を煮始めるそうです。主な材料は生米と杏仁で、これを粉状にしたものを一緒に炭火でじっくり煮ると、炭焼杏仁茶が出来上がるというわけ。炭火で煮た杏仁茶は、大きな容器の中に入れ保温します。微かな炭と杏仁の優しい香りがロータリー付近から漂って来たら、もう開店しています。夏場は5時過ぎ、冬場は6時くらいからで、毎日10時まで、とは言っていますが、9時くらいに底をついたらもう店じまいです。
体に良し、美容に良し
一般的に杏仁茶はお肌にいいと言われていますが、杏仁(きょうにん)自体はお通じをよくしたり、疲労回復、貧血予防、食欲増進などにも効果があるそうで、多量のカロチンを含んでいます。その匂いが苦手な人もいるようですが、ここに来てここの杏仁茶を飲んだら、そのおいしさに目覚めるはず。
杏仁をつぶすのにも多くの時間をかけ、夜明け前から取り掛かるわけですから、おいしくないわけがありません。椅子に座って、注文するときには卵がいるかどうか聞かれます。「加蛋」(蛋入り)と伝えると、卵の黄身をコップに入れ、ちょっと塩をつけた竹箸でシャカシャカシャカとかき混ぜます。その後杏仁茶を注いだら、油條1本と一緒にくれます。油條もいるかどうか聞かれますが、もちろん一緒に食べるのをおすすめ♪
新鮮な卵
|
|
下から炭火で温めている杏仁茶
|
注ぎます
|
|
油條も忘れずに
|
このセットで!
杏仁茶一杯20元、卵を加えプラス5元、油條も15元。合計40元で極上の朝食がいただけます。
地元民にならう
冬場はコップで手も温めつつ、フーフー吹きながら飲むのもいいものです。ちょっと脂っこい食事に胃が疲れた時、朝は優しい食べ物がほしい時、この一杯の杏仁茶は最高ですね,ほかのお客さんも眺めつつ、ナビはゆっくりゆっくりいただきました。炭焼きのいい香りと杏仁のほのかな味、そして、パリパリの油條。そのまま食べてもいいし、漬けるとまあそれもよし。
常連さんたちは自分の指定席もあるみたいで、包老板の真ん前に座る人もいれば、老板のずっと後ろに椅子を引っ張っていって静かにすするおばちゃんもいたり。皆が思い思いにこの杏仁茶をじっくり味わっているようです。
思い思いの場所へ座り
それぞれの朝の時間を共有します
ここに座って両手でコップをはさみ、ゆっくり杏仁茶をすすると、自分も常連客の一員になったような、ちょっと面はゆい幸せな気分に包まれます。常連さんは多くは語らず、包老板も寡黙ですが、どうやら相手にもよるみたい、かな。
こうやって持って帰ります
テイクアウトの人たちは家族の分も買っていきます、ビニール袋がパンパンになるまで人数分入れられ、中にはマイカップを持ってきて入れてもらう人も。
冬場はこのまま飲むと美味しいですが、夏は暑いので、テイクアウトの人たちは冷蔵庫で冷やして飲むのだとか。冷やしたのもまた格別の味なのよ、とこの日横にいらっしゃった奥さんが教えてくれました。
嘉義へ来たら、朝はこれで
初代は屋台を引いて杏仁茶を売っていたそうです。毎朝のこの情景、今や嘉義の朝を象徴する景色の一つでもあります。観光客はちょっと勇気がいるかもしれませんが、まずは空いた席に座ってください。卵入りで、油條も1本どうぞ。 旅気分を忘れて、ここに住んでいるようなしみじみとした気分になれます。
以上、嘉義に魅了された台北ナビでした。