磯崎集落に新しくできたレストラン! 原住民の若者達の思いがたくさん詰まっています
こんにちは、台北ナビです。
今回は台北を飛び出し、花蓮県は豊濱郷にある磯崎村にきています。ここで最近原住民の若者たちが新たな取り組みを始めたと聞いてやってきたのです。さて、どんな場所なのでしょうか。
高収入を捨ててでも守りたかった場所
「磯崎好聚落」は陳健瓏(Emas)さんと馬中原さんのふたりが中心となって開いているワークショップで、「磯崎村」をもっと多くの方に知ってもらおうと活動しています。その活動のひとつが、原住民の暮らしを体験できるツアーの開催。そして2016年秋にスタートした原住民レストラン「太陽月亮廚房」なのです。今回ナビは「太陽月亮廚房」へ夕食を食べにきました。
以前は職業軍人として働いていたEmasさん。台湾の給与からすればかなりいい待遇だったにも関わらず、「磯崎村」へ戻ってきたのは、「ここの文化を守りたい」という思いだけだったと言います。「磯崎村」だけが持っている文化を語り継げるお年寄りが少なくなってきている現実。このままではこの文化が廃れてしまうという危機感があったんです。
「磯崎村」のことを知ってもらうため、ワークショップ内にあるレストラン「太陽月亮廚房」ではお食事の前に、「磯崎村」についてのレクチャーがあります。正直、基礎知識が乏しいナビには難しい説明も多く、すべてを聞き取れなかったのですが、「磯崎村」への思いはとても伝わってきました。
多民族が共存しあう稀有な場所
「磯崎村」は南北10キロほどの村で、約8個の集落が仲良く暮らしています。布農(ブヌン)、撒奇萊雅(サキザヤ)、噶瑪蘭(クバラン)、阿美(アミ)という4大集落に加え、太魯閣(タロコ)族や閩南、客家などがいます。ここまで多くの民族が共に過ごすとなると、争いごとが絶えないのでは?と思いますが、各々の種族が、それぞれの事情を抱え、さまざまなルートを経て「磯崎村」へたどりつた彼らは、奪い合うことより「助け合う」ことを選んだのだといいます。狩りが得意な部族、農業が得意な部族、漁業が得意な部族など…お互いが得意なことを教えあい、部族の壁を越えて共存しているのです。
各部族がどのような暮らしをしているかをあらわした絵
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れで、どの部族がどのように「磯崎村」へたどり着いたかを説明してくださいます
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Emasさん曰く、原住民の部族に対する思いは、とても繊細で複雑なのだそう。それは、それぞれ自分の部族に誇りを持って生きているから。ナビは初めて知ったのですが、「阿美族=Amis」だとは限らないということ。Amisは台東などの南側の人たち、花蓮などの北側の方達はPangcahと呼ぶんだそう。生活もアミ語と呼ばれる言語も違うそうですよ~。また、「あなたは阿美(アミ)族でしょう?」というように、断定的に部族を決め付けるようなことを言うと違っていた時に気分を害してしまうこともあるので、「どこの部族ですか?」と聞くようにした方がいいともアドバイスをくれましたよ。
これを着けて豐年祭に参加するのだそう
本来なら違う集落どおしが、ここまで仲良く暮らしているというのは考えられないのだとか。そんな「磯崎村」の豊年祭は各集落が各々の民族衣装を着て参加するんだそうです! 阿美と撒奇萊雅のハーフであるEmasさんは撒奇萊雅の象徴である鳥の羽を挿し、デニムで参加したりしているそうです。それは「磯崎村」や「撒奇萊雅」に関する記録はまだまだ発見されておらず、わからないことが多いということも関係あるそうです。
ナビが日本人だとわかると「日本統治時代の資料が必ずどこかにあると思うから、是非日本の方に伝えて欲しい! とても欲しているんだ!!」と懇願されました。もし記録を保管している方がいらっしゃったら、Emasさんまで連絡してあげてくださいね。
伝統的な撒奇萊雅の建物をできるだけそのまま保存しているというレストランは雰囲気抜群!どことなく日本風の建物っぽくって、リラックスできる空間です。また、この日は小雨が降る肌寒い日だったのですが、外で焚き火をしていて、暖をとることもできました。薪が燃える香りが屋内まで入ってきてそれも雰囲気作りに一役買っているなと感じましたよ~。
小石をつるして、「磯崎村」を囲む山の様子を表しています
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なんとなく日本っぽく感じませんか?
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メニューはなし! その日だけの特別メニュー
月桃茶で炊いたご飯は色が美しい! 馬告で味付けされた雞胸肉もうまうま~♪
お料理はEmasさんのお姉さんが調理してくれます。当日の仕入れた食材をお母さんからのレシピを大切に作るお料理の数々は、日本人好みな味付けですが、辛口に言えばメニューのセレクトはまだまだ進歩の余地があるかなという印象です。
というのも、こちらの集落でよく食べられる「芯」を使ったお料理が多すぎたこと。苦味の強いお料理が多かったことなど…。どれもひとつずつ食べればおいしいのですが、コースとして出てきてしまうと、ちょっと飽きてしまって…。正直に伝えてみると、多くの方に満足してもらえるようにもっと研究してみる! と、とても前向きなお返事をくださいました。
※今回は7人で訪れたので、大皿料理は7人分となります
鹽豬 藤芯の汁も利用して作るという塩豚。脂身の部分にうまみがぎゅっと詰まっていました~♪
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草茸 恋人の涙という別名も持つもの。見た目以上にあっさりしていておいしい! ヌルっとした歯ざわりが何だか健康に良さそうな気がするのはナビだけ?
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今回ナビはお食事を目的にやってきましたが、ほかにツアーも開催していると聞いて、俄然こちらのツアーにも興味が沸いてきました。Emasさんたちを応援するためにも、次回花蓮へ来る時には、またここを訪れたいなと思います。
以上、「磯崎村」や「撒奇萊雅」の資料が見つかればいいなと心から願うナビがお届けしました。