2014年、嘉義の興中街で始まったリノベーションカフェ
こんにちは、台北ナビです。
嘉義の街は歩きやすく、散歩気分でも素敵なカフェによく巡り合います。ここは知り合いが紹介してくれ、かつ泊まったホテルのマネージャーさんが、うちのべーキングクラスでパンの焼き方を教えてくれているカフェよ、とのことで、行ってみることにしました。
さて、嘉義市内の興中街と成仁街のあたりは、若者たちの独創性あふれるMIT雑貨のショップやカフェ、レストランが続々誕生しています。その興中街を北へずっと歩いていくと、Mimico Café(秘密客咖啡館)はありました。古い家屋をリノベーションしたカフェで、ナビ友が「落ち着く」と言っていた通り、入口からして「落ち着けそう」ムードが漂っています。何気に置いてあるかもしれない小物は、どこをとっても可愛らしくていいセンスですね。
ごめんくださ~い
憲哥とMIVAが始めたこの心地よいカフェ。建物はすでに60年以上。昔は校長先生一家が住んでいたそうですが、子供たちは都会へ仕事に行きその地で住み始めます。校長先生は退職後、ここで國術を教えながら一人暮らしをしていたけど、老齢のために子供たちが自分の元に呼び寄せ、その後12年間、家屋は空き家となっていました。元校長先生はこの家に並々ならぬ愛着を持っていたため、誰も住まなくなっても売りに出そうとは思わなかったそうです。
そして、2014年のこと。嘉義でもう4年間カフェを経営していた憲哥とMIVAは、当時のカフェの雰囲気やもろもろにあまり満足はしていませんでした。そんな中、この家屋と出会い一目ぼれ。家主さんの家屋に対する想いにも共感を受け、土台を大切にしつつ窓枠や壁など直すべき場所は修繕を施し、カフェとしてスタートさせることになりました。
内部を拝見
2階は今後使用の予定というので、1階を見せてもらいましたが、奥が深~い。古い家屋は天井も高いのですが、中庭もあって、迪化街の建物と同じで鰻の寝床です。一番奥には、お手洗いがあります。キッチンも一番奥だったようですね。となると、ここは皆が食事をしたダイニング。広いです。
カウンター
奥のスペース
中庭は吹き抜けになっていました。昔からあったという池では、再び金魚を飼っています。近所の人が使わなくなった買い物かごも鉢植えの台として再利用したり。何かに使う?と近所の人が譲ってくれるそうで。当時からの植物も大きな鉢に移し替えるとどんどん成長していっています。廊下に設けられたテーブル席もステキ。
メニューいろいろ
ナビは、咖啡想牛奶(Azuki Bean Latte)150元と(法式千層薄餅(Milkcrepecake)90元をいただきました。
咖啡想牛奶は、台湾産のアズキを長時間煮詰め、エスプレッソにミルクを加えたコーヒーをお好みでアズキに足しながら飲むというもの。まずはアズキだけを先に味見。これだけでも十分においしいですね。で、そこにコーヒーを入れると、適度に苦みも加わって全体的にコクのある味となり、なかなか面白い組み合わせだと思いました。
法式千層薄餅は、憲哥の手作り。「Mimico Café」のスイーツは彼が担当し、ホテルで教えているのも彼。薄い皮とその間に均等に挟まれたカスタード。これだけでもおいしいのですが、更に手作りの嘉義産のパイナップルソースがかかって、おいしいさ倍増!
他にもココアや各種コーヒーやお茶などの飲み物、ワッフルやサンドイッチ、スコーンなどとメニューは豊富です。最低消費があり、1人コーヒーか飲み物が一杯(スイーツは例外)です。
林正峯さん
MIVAが、紹介したい人がいるのよ、と言って、入ってこられたのが、お隣で歯科医院を開業している林正峯医師でした。
以前大阪でドクターコースも学んだという林さんは日本語が流暢で、MIVA曰く、日本人のお客さんが来たら手伝ってもらってるのよ~と。この辺りは皆優しくて私たちを手伝ってくれてるの、とMIVAが言うと、今度は林さんがいや助けてもらってるのはこちらの方だよ。カフェができる前は、この辺りは老人ばかりで、カフェのおかげで皆明るく元気になったようじゃないか、と。
「Mimico Café」では、様々なイベントが行われているのですが、そういう時は近所の人も参加し、まさに老若男女の楽しい交流の場となるのだそう。古い家屋に新しい風が吹き込まれたのと同じように、街全体の空気を変化させているのが、この「Mimico Café」の出現だった、と言えるようですね。
ご近所さん、皆仲良しです
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昔の家の写真も飾ってあります
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ちなみにこの「Mimico Café」という店名、中国語の音に当てはめたら「秘密客咖啡館」。何だかちょっと足を踏み入れたくなりませんか?
嘉義が惹きつけてくれるもの
MIVAが言うに嘉義の魅力は3つ。一つ目は雞肉飯。どこで食べてもおいしいのよ!って。そして、人!林医師のように優しくて人を助けたい人がいっぱいいるの、と。そして、芸術家。嘉義出身と言えば、画家の陳澄波さんが有名ですが、同時代を生きた方に李秋禾さんがいます。彼の家はこの「Mimico Café」の向かい。今は息子で同じく画家である李伯男さんが時々ここに帰ってきているそう。店内には、嘉義出身の芸術家の作品集も置いてあります。そして、壁にはちょうど曽建皓さんの絵が展示されていました。他にも若手アーティストの作品が各所に。MIVAの作品もあります。
オリジナルTシャツも販売してます
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向かいの画家・李伯男さん宅
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近くの廟へ
台湾では寺や廟、市場など伝統的な場所は、旧暦で物事が動いているのですが、ナビが訪れた日は旧暦の15日。この日は素食を食べる人も多いのです。MIVAたちはこの日は欠かさず、近所にある廟へコーヒーを提供しています。この地で共存させてもらっているから、当たり前の気持ちでそうしているとのこと。廟でコーヒー、ここでも新と旧がうまくクロスしているようですね。
この廟の中にかかっている絵も歴史あるもので、地元の人たちにならってナビも静かに手を合わせました。
台北からコーヒーを飲みに来ただけのつもりが、思いがけなくこの地への愛着を感じてしまう、そんなほんわかした気持ちになれた一時でした。
こちらへ
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ここでコーヒーを提供
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絵も見てみてください
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お参りしました
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以上、台北ナビでした。