合言葉は、冷めてもおいしい!台湾で唯一中国山東省本場の韭菜盒が食べられるお店「秦家餅店」
こんにちは、台北ナビです。
高層ビルに囲まれ、多くの車と人が行き交う仁愛路圓環も、30数年前は上を見上げれば360度の空が広がっていたといいます。路地裏・四維路でそんな街の移り変わりを見守りながらも、変わらない味を提供しつづけている小さな餅店を発見しました。注意深く歩かないと通過してしまいそうなほど、ひっそりとお店を広げているその名は「秦家餅店」。1949年に中国大陸は山東省から海を渡ってやってきた秦家の母の味が娘、孫の代までしっかりと引き継がれています。
冷めてもおいしい「北方餅」とは?
蔥油餅など台湾の小吃でもお馴染みのモチモチした生地(餅皮)ですが、熱々のときはおいしいのに、冷めると硬くておいしくなくなるのが一般的ですよね。その餅皮が冷めても柔らかいままおいしく頂けるというのは魅力的!「秦家餅店」の冷めてもおいしい北方餅の作り方の秘訣を二代目店主・秦至梅さんが教えてくれました。中国北部の餅皮の作り方の一つに、中力粉と冷水のみを使う冷水麺という手法があるそうで、生地を発酵させないため冷めてもおいしい餅皮が実現するということです。「秦家餅店」には、具なし餅皮の「單餅」のほか、長ネギを挟んだ「蔥油餅」とニラがたっぷり入った「韭菜盒」があります。至梅さんのご両親の故郷・山東省ではこれらはおやつではなく主食として食されているそうで、お店で扱う商品は至梅さんのお母さん・秦魏秀珍さんが家族のために作り続けていた主食たちなのです。
秀珍さん(左)と娘の至梅さん
現在94歳という秀珍さんが何十年と日常的に作ってきた主食たちを、今は娘の至梅さん、孫の乃絜さんらが毎朝手作りをしています。基本的には予約を受けて販売するスタイルをとっているため、「今日はこれだけの予約があるから、いくつ作ろう」という具合に、日によって生産量は異なるとのことです。手作業は機械と違い大量生産が難しいので数にも限度があるのと、予約分を優先させるため、来店した時にお店に並んでいる商品がその日の全てです。予約なしで行く場合は午前中など早い時間帯がよいと思います。
ナビが滞在中、予約の電話がたびたび掛かってきては、至梅さんが一件ずつ元気に応対していた姿が印象的でした。「お店の看板メニューは?」と尋ねると「うちのは全部看板メニューだよ」といい切る至梅さん。真心込めて手作りしているからこそ発することができる一言です。
半月版で可愛らしい形をした韭菜盒にはニラ、卵、春雨、干しエビが入っています。至梅さんのニラへのこだわりは、細くて香りの強い北部のニラをメインに使用すること。また北部のニラであれば、採りたてで鮮度の良いものが手に入るという利点もあるのだそうです。やはり鮮度は重要なのですね。餡は1個1個きっちり計量されて、一つずつ包まれ、焼かれます。この手間暇を考えると「大事に味わって食べよう」という気持ちになるナビです。お店が特注した韭菜盒専用の焼き釜を使って焼くため、油は不使用でヘルシーなのも嬉しい!ほんのり香ばしくも柔らかい生地と、ニラと干しエビの絶妙なハーモニーがたまりません!韭菜盒うましっ!
おいしい蔥油餅であふれている台湾ですが、「冷めてもおいしい蔥油餅」となると話は別です。ほんのりした塩加減で飽きのこない生地と季節によって使い分けているというこだわりのネギが特徴です。香りの強い南部のネギをメインに使っていますが、南部のネギは葉の部分が柔らかいため台北に到着する頃に黄色く変色してしまうことがあるのだとか。そういうときには宜蘭の有名なブランドネギ、三星葱を使います。三星葱は加熱するのがもったいないくらい、生でも甘みのある台湾の高級ネギであります。至梅さん曰く、蔥油餅に使うネギはシャキッとした鮮度が重要だそうで、手間はかかるけれどネギの使い分けはきっちりしているのだとか。また油はピーナツオイル(花生油)を使用しているためか、脂っこさをあまり感じず、重くないのが嬉しいです。実際に店内で調理してもらった熱々のものと、それを家に持ち帰り冷めたもの、両方頂きましたが確かに「冷めてもおいしい蔥油餅」であることは間違いなかったです。でもやっぱり、熱々の方がおいしいかな?主食であるため優しい味つけです。辣椒醬(唐辛子ペースト)をつけて食べてもおいしかったですよ~。
必須の豆腐捲(非遺伝子組み換え豆腐60元・個遺伝子組み換え豆腐45元/個)
15cmほどの長さでコロンと巻かれた白くてかわいらしい形の食べ物「豆腐捲」、ナビはお初にお目にかかりました。それもそのはず、家庭での食事は別として、台湾中どこを探しても商品として販売しているのは「秦家餅店」だけだからです。「花素」と「素」の2種類で、小麦粉・豆腐・春雨・千切り大根のベースにネギと干しエビが入っているのが「花素」。エビアレルギーの方に配慮されているのがセロリと木耳入りの「素」です。今回は花素を頂きました。ほんのり塩気のある千切り大根と干しエビがアクセントになっていて、モチモチの皮とのバランスが素晴らしい!熱々のまま店頭に置いておくと酸化してしまうため、手作り後に冷凍され販売されています。食べるときは蒸し器などで解凍してから頂きましょう。せっかく真心こめて作られた「豆腐捲」、正しい調理方法でおいしく頂きたい!ということで、至梅さんが伝授してくれた<冷凍ものをおいしく解凍する方法>をご紹介します!まず、台湾のキッチンツールでおなじみの電鍋(電気調理鍋)に直接お皿→お皿の上に網→網の上に食材の順で置いていくのだそうです。皆さん、ご存知でしたか!?今までずう~っと、網の上→お皿→食材の順で調理していたナビとカメラマンは目から鱗状態でした!
シンプルに餅皮だけも売られています。ご飯の代わりとしてそのまま食べてもよいのですが、直径35cmほどもある單餅に茶葉蛋(茶葉の煮卵)や肉鬆(肉のでんぶ)、香腸(台湾ソーセージ)、野菜類など何でも好きなものを包んで食べることもできるんです。至梅さんが発明したというこの素敵な食べ方、とてもワクワクしませんか?しょっぱい系は何でも合いそうだし、甘党の方はあんこなどを挟んでもよさそうです。この日は、コンビニで買ったという茶葉蛋を片手に来店したお客さんがいました。至梅さんはその茶葉蛋を素早く單餅にのせてつぶした後、クルクル巻いた状態でお客さんへお渡し。具材にもよるかもしれませんが、こうして自分好みの具材を持ち込んでお店の人に加工してもらえる環境はいかにも台湾らしいなぁ、と感じました。皆さんなら、何を包みますか?
※保存方法ですが、韭菜盒、蔥油餅、豆腐捲、單餅いずれも冷凍保存で、風味が失われる前の2カ月以内に食べきることをオススメしているそうです。
独特の豆腐乳(450元/瓶・20元/個)
(左)不辣口味、(右)麻辣口味
ご紹介した餅たちのお供にオススメなのが豆腐を発酵させた豆腐乳!お店の全商品にちょっとのせて食べてみましたが、これまた一味違った味わいがあり楽しいです!辛みのない不辣口味はよそで食べる豆腐乳に比べると酸味が感じられ、ナビ好みでした!麻辣口味はピリッと辛かったです。酒のつまみにもピッタリな豆腐乳ですが、こちらのお店ではなんとバラ売りも可能なので、旅行中ホテルでのビールのお供にもイケそうです。豆腐乳は餅類、ご飯と一緒に食べてもおいしいですが、トーストに塗ってもイケるそうですよ!お試しあれ。
保存方法は涼しいところ、もしくは冷蔵庫で1年間保存可能だそうです。
その他にも、手作りされた後に冷凍保存されている商品があります。
な、な、なんとこのまま食べてもおいしいという紅燒牛腱(140元/1パック)。オーストラリア産牛肉のアキレスけんを醤油ベースで味付けし煮込んだものです。冷凍で1カ月保存可能で、冷たいままでも温めてもおいしく頂けるそうです。
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手作り水餃子も気になります!
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ただおいしさを追求するだけでなく、家族の健康を思いやるようにお客さんへの健康面での配慮にもこだわっている「秦家餅店」。電話のほか、インターネットからの予約も可能です!ぜひ帰国前にトライして見て下さい♪
以上、台北ナビでした。