本格会席料理のお店が台北に初の海外支店をオープン!繊細な料理の数々と豊富な日本酒に酔いしれましょう
こんにちは、台北ナビです。
今日は美味しい日本料理のお店があると聞いて、内湖までやってきました。
最近新しいお店が続々とオープンしている注目スポット・内湖ですが、お目当てのお店「錦水」はヴィクトリアホテルから3分ほど歩いた新築ビルの5階に入っていました。5階建てのこのビルはすべての階がレストランで、どのお店も評判だそうです。
エレベーターが開くと、日本風のお香の香りがただよい、扉を抜けると目の前に美しい着物が掛けられていました。実は「錦水」の本店はホテル椿山荘東京にある「料亭錦水」。初の海外支店として、2016年1月にオープンしました。もともと東京の本店にも台湾人のお客さんが多かったことから、台湾出店を決めたのだとか。
結婚式場からスタートし、現在でも1日に40組が式を挙げることもあるという椿山荘のことを知ってもらおうと、結婚式に使う着物を飾ってあるのだそうです。椿山荘といえば山縣有朋が130年以上前に築いた庭園が自慢の歴史あるホテルです。スクリーンには美しい庭園や、日本の伝統的な結婚式の様子を伝える映像が流れていました。
日本中から集められたお酒をどうぞ
スクリーンの下には日本酒の樽が。錦水には30種類以上の日本酒と20種類以上のワインが常時置いてあります。日本酒は今後もっと増える予定で、日本酒に関するイベントなども開催されています。
ナビが取材に行った7月は静岡県の「開運」がおすすめの日本酒として飾られていました。8月25日には長野県宮坂酒造とコラボレーションした「眞澄」のイベントを開催予定で、その後は長野県の日本酒を多数取り寄せるそうです。
ちなみに台湾のお客さんに一番人気があるのは「獺祭」なんだそうです。世界的に人気の日本酒が、台湾でも浸透しているようです。
柑橘系のカクテル。日本酒入りとノンアルコールが選べます
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モヒートもノンアルコールあり
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女将の佐藤咲子さんも、店長の手塚博文さんも日本の方なので、お店には日本流の細かい気配りが行き届いていてとても快適。
とはいえ、やはり最高のおもてなしはお料理です。料理長の枇杷阪仁さんは、料亭錦水で20年以上のキャリアを積んだというベテラン。
今回ご紹介いただいたのは、6000元の「涼月」というコースです。異国の地でもその腕が遺憾なく発揮された絶品料理の数々を、さっそくご紹介していきましょう。
蟹と水前寺海苔の翁昆布巻き
まずは美しい前菜から。
台湾産うなぎに兵庫産有馬山椒の風味が爽やかな「鰻山椒煮」、シャキシャキした食感も楽しい「長芋とオクラの酒盗がけ」、「栄螺と水前寺菜(台湾では紅鳳菜と呼ばれる野菜)のウニ和え」、「枝豆の当座煮」、「ズワイガニと水前寺海苔の翁昆布巻き」、レンコンの穴に明太子を鋳込み、衣をつけて揚げた「明太子鋳込み」と並びます。
涼やかな器とともにまず目で楽しませ、食感や甘辛の緩急で楽しませてくれる前菜に、次への期待が高まってしまいます!
椀物とお造りへと続きます
続いてお吸物の「焼茄子と雲丹魚素麺」です。
丁寧に皮を取った焼茄子は台湾産だそうですが、しっかりダシが染み込んでいます。雲丹の香りがいい魚素麺は魚のすり身を麺状にしたもの。蓴菜や茸、繊細な包丁が光る針人参といろいろな歯ごたえを味わっているところへ、柚子がアクセントになってとても上品な味でした。
お造りはイサキの昆布締め、トロ、サヨリの3種。昆布締めは煎り酒(煎った日本酒)、トロはみりんや酒で味を整えた土佐醤油、サヨリは凝りポン酢と、お刺身を一番引き立てる食べ方でいただきます。
サヨリとイサキは台湾産。新鮮で身のしまった素材はもちろんですが、やはり刺身は包丁なのだな、としみじみ実感してしまう美味しさです。
スタミナ鍋に贅沢牛ロースはボリューム満点
続いて「鱶鰭(フカヒレ)すっぽん鍋」が登場。
鰹だしにすっぽんエキスが入った澄んだスープに、すっぽんをすり身にした団子、高麗人参、フカヒレと高級食材が入った豪華鍋です。
スタミナ要素満点の食材ばかりで、夏の疲れた体にピッタリです。
鱶鰭すっぽん鍋は豪華食材の共演!
スタミナ鍋のあとは、涼しげなガラスの器に盛られた「冷製濠州牛ロース蒸焼き」。
オーストラリア産の牛ロースを58~60度くらいで60分間蒸し焼きにしたという、手間のかかった一品。その60分間で旨味がしっかり閉じ込められていて、ピンク色に光るお肉は噛むほどに甘くなります。
そのままでもおいしいですが、錦水特性の落花生ソース、柚子胡椒、山椒、沖縄の雪塩を好みでつけて食べられるのも楽しいですよね。ナビとカメラマンはさらさらの雪塩が一番おいしく感じました。一緒に盛り付けられた夏野菜もそれぞれ美味ですので、残さずいただきましょう。
冷製濠州牛ロース蒸焼き
料理長がその場で揚げた天ぷらは絶品!
揚げたての天ぷらもこちらのお店の自慢の一つ。
手際よく揚げる料理長の姿をガラス越しに見ることができます。これも台湾人のお客さんには人気なんだそうです。パリパリと小気味好い音も食欲をそそります。
この日の野菜は子持ち青唐辛子、サツマイモ、まいたけの3種。白身魚は鱧(はも)の葱巻き。鱧の天ぷらは外はサクッと、中はふんわり甘みがありました。
天つゆにも一工夫あり、ゼラチンで固めてあるんです。冷たい天つゆゼリーに揚げたての天ぷらをつけると、少し溶けてほどよく天ぷらに絡みつき、美味しく食べられました。粉醤油、カレー塩もあるので、こちらもお好みでどうぞ。
粉醤油(左)とカレー塩
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天つゆはゼラチンで固める一工夫
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舌が喜び続けた食事の最後は、繊細極まる握り寿司です。
笹にはホテル椿山荘東京の刻印が。その上にトロ、しめ鯖、ハタ、穴子の握り、ウニの軍艦巻きが並びます。シャリは口の中でほどける絶妙な握り加減。ここでも見た目と味、食感に変化のあるネタが多く、一貫一貫それぞれの美味しさに酔いしれたナビ一行でした。錦水の焼印がついた玉子焼は、お寿司に合わせて甘さを控えめにしてあります。
デザートは台湾フルーツを和風にアレンジ
絶品料理の数々にお腹も心も満たされた後は、デザートをどうぞ。
フルーツは台湾らしく、とろりと甘いマンゴーと、みずみずしい梨。アイスクリームはサツマイモチップとよく合います。料理長オリジナルというパッションフルーツ餅は、パッションフルーツとヤクルトを葛粉で固めたもの。酸味とモチモチの食感が面白いデザートでした。
日本人なのにぎこちないナビ
コースの最後はお干菓子と抹茶でおもてなし。
実はお店の中央に畳のお座敷があり、ここでお店の女将でもあり、表千家茶道教授の資格を持つ佐藤さんが、実際にお点前を披露してくださるのです!
ご希望の方、誕生日や記念日で来店された方など1日だいたい1組のお客様がここでお茶を楽しむのだとか。台湾人の方もお点前の手順を習ったりして、楽しんでいるそうです。
女将と料理長の気さくな人柄も魅力です
次々と出てくるお料理はどれも素晴らしく、日本料理の素晴らしさを改めて感じたのはもちろんですが、台湾産の食材が多く使われていたことも印象的でした。
日本の技を通して、台湾の海や山の幸の豊かさに気づかせてもらえるという点は、台湾錦水だけの楽しみではないかと思います。この特別な味を、ぜひご自分で味わってみてください。
以上、台北ナビがお届けしました。