潮州の三平珈琲、台湾南部に日本の和がうまく溶け込んだ安らぎのカフェがありました
こんにちは、台北ナビです。
ナビは台湾にかなり長いのですが、初めて潮州というところに行きました。すでに半年前に屏東の知り合いから、絶対行くべきカフェ、と言われ、ずーっと気にはなっていたものの、台湾南部、しかも屏東のそのまた先で、駅から車となると、早々すぐ行けるものではありません。が、念願かなって今日、大雨で南部には珍しくとっても寒い日でしたが、訪れることができました。
車が停まった先には、のどかな風景の中にたたずむ日本の穀倉のようでありながら…なぜか周囲に溶け込んでいる建物。さて、㊂の暖簾を分けて、中に入ってみました。
天井が高い
吹き抜けの天井は、一瞬白川郷の建物に入ったようでもあり、古風な和の家具やこけし群に、ようこそ日本へおかえりなさい、と迎えられたようでした。
ナビはよく日本統治時代の家屋を改装したカフェやレストランには行くことがありますが、そこで受ける印象とは全く異なる心地のよい、馴染みやすい「和」が、ここにはありました。
KIKOさんと寿江さん
三平珈琲のオーナーは、台湾人の楊文正(KIKO楊)さんと上野寿江さん。2人ともアーティストで、寿江さんは陶芸を、KIKOさんは絵を描き、版画をし、陶芸の絵付けもします。
おふたりの出会いはスペインのマドリッド。陶芸の勉強に行った寿江さんとスペイン語と絵の勉強に向かったKIKOさん。もともとは数学の先生だったというKIKOさんですが、芸術への興味の方が勝ったようで、スペインで寿江さんと知り合ってからは、陶芸の絵付けも行うようになりました。やがておふたりが自分たちの窯を構え、創作を続けていくために選んだ土地は、KIKOさんの故郷である潮州でした。
そして、台湾に拠点を移してから10年目、2015年1月20日に三平珈琲はオープンしました。
建物全体が彼らの作品と言っていいくらい、隅から隅までおふたりのセンスであふれています。この建物の設計デザイン、食器の陶器制作、ステンドグラスや人形たちの制作、料理の献立や調理は寿江さんの担当。店内インテリア、陶器の絵付けや水彩画、生け花や飲み物メニューの考案やお品書きはKIKOさんの担当。
スタッフとしてKIKOさんのお姉さんたちも手伝っていますが、皆さんそれぞれが仕事を持ちながら、人形制作やパンフラワーを趣味にし、かつコーヒーも勉強してお店で淹れているという多彩さ。オープン後は、徐々に口コミが口コミを呼び、週末は予約必須という混みよう。寿江さん手作りのスイーツが堪能できるアフタヌーンティーの時間は、お店の前に長蛇の列ができることもしばしばだそうです。
店内のアート感じましょう
店内の落ち着いた暗めの木目と白い壁が、おふたりの鮮やかな作品をより一層引き立てています。
ナビが気に入ったのは、ステンドグラス。ヨーロッパの教会では、ため息が出るほど美しいステンドグラスが多いですが、寿江さんは、富士山や松、そして、コーヒー等、自分流にデザインし、それらがお店の中にうまく溶け込んでいます。
お2人が造った陶器のカップがズラリ
店名と富士山
KIKOさんが描いた絵
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KIKOさんのお姉さん作のパンフラワーもありました
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ランチセット
この日のメニューは三平弁当と野菜カレーの2種。
お弁当は週替わり弁当と言ってもいいでしょう。まずは豚汁が運ばれてきました。屏東は豚肉がおいしいですが、いい出汁が出ていますね。
見た目もきれいで、ワクワクするお弁当です。おいしいご飯の隣には季節の野菜の和風煮つけ。この日はさやえんどうとナスでした。そしてサツマイモなどの季節の野菜などの天ぷら3種。サラダ、出し巻、肉団子。ボリューミーですが、ヘルシー。
ディナーは、2週間から3週間がわりで、サラダ スープ、 焼きたてパンにメインに飲み物がついていて、パンが評判が高いです。ランチタイムはにぎやかな雰囲気でしたが、夜は静かにゆったりと過ごせるそうですよ。
豚汁、おいしかった~
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ランチョンマットも寿江さんの手作り
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2階に上がりました
一階は食事のお客さんたちでにぎわっています。入口の横の階段を上っていくと天井の低い2階があります。ここはアフタヌーンティー席として、予約が必要。
ここに上がると…いきなり昭和の時代にタイムスリップしました。
レトロなソファにかかる手編みのカバー。寿江さんのお母さまが大好きだったという手編みを見て、ナビもいきなり実家の情景が思い起こされました。そういえば、昔はこういうカバー、いたるところに掛けていた…それは電話機だったり、家電だったり…。
うわっ!ナビ宅では今でもの台所と居間の間にかかる木製の暖簾を発見!これうちにもありますよ!と思わず叫びました。さらに奥のケースに並ぶ人形たちを目にした時は、自分が女の子だった時代にぐわーっと逆戻りさせてもらいました。あぁ、こういう顔がまん丸の大きな目が離れてて、鼻と口が一緒になった布人形、自分も持っていたなあ、今どこへ行っちゃったんだろう…。
ここの暖簾!
しばしのノスタルジーに浸れる落ち着きの空間。
台湾はどんどん日本に近くなっている感じがするナビですが、台北にはこういう昭和の空間はありません。異郷にいて自分がアレンジできるカフェだからこそ、寿江さんはこういう自分の原点に還れるような場所を欲していたのかなと思いました。
ナビも近所にこんなカフェがあったら、毎日通いたいくらいです。
アフタヌーンティーセット
さて、ここでケーキとコーヒーをいただきました。寿江さんのお気に入りの席は1階の様子がよく見えるところ。
蘋菓派(アップルパイ)とアメリカンのセット(アイスクリーム付き) スイーツはすべて寿江さんの手作りなのですが、ご自身が押しのスイーツというだけあって焼き具合もいいし、味の方も甘すぎず上品でちょうどいい…、こういうアップルパイが食べたかったのよ!と叫びたいパイに仕上がっていました。コーヒーもおいしかったです。
法式奶油巧克力(クリームとチョコのケーキ)とカプチーノのセット甘いものが好きな方はぜひこちらをどうぞ。とは言ってもやはり甘すぎません。少しずつ味をかみしめるように食べたい…、カプチーノがよく合います。
アフタヌーンティーセットは、220元。飲み物は150元内で、越える場合は差額が加算されます。味、香り、量、そして、この雰囲気、幸せな午後のひと時が過ごせます。
以上、台北ナビでした。