眷村料理の味わえるローカル感たっぷりな食堂
こんにちは、台北ナビです。
今日ご紹介するのは台北アリーナからほど近い場所にある、眷村料理の味わえる食堂です。あまり日本人には馴染みのなさそうな「眷村料理」って何?と思うかもしれません。が、以下で詳しく説明していきますね。お店の住所は敦化北路なんですが、あの並木のある大通り沿いではなく、一本中に入った敦化北路155巷で、東西に走る道路沿いになります。お店の前にスロープが設置されている造りで、道路よりも少し高い位置にあります。
お店から見て左側。MRTで来る時は このOKマートが目印です
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お店から見て右側。狭めの道路ですが、 タクシーがガンガン通っていました
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眷村とは…
ひとことで言うと、“台湾に移住した外省人の小規模な移民集落”のことです。眷村の多くの建物が日本統治時代の建築物を利用していて、その時代、日本人が多く住んでいた台北市や高雄市などにありました。台北市で主なものは台北101近くの「四四南村」。その昔、中国から逃れてきた聯勤44兵工場の兵士とその家族が、倉庫を利用して居住していました。現在は建物が歴史的建造物として残されて整備され、眷村文物館やお洒落カフェ「好丘」などになっています。そして「二空眷村小館」が今あるこの場所も、松山空港から歩ける位置で、以前空軍兵たちの憩いの場でした。空軍兵たちがココに来て、くつろいでご飯を食べて帰って行く場所だったのです。 二空は、台南の空軍基地として使われていた空港の名前から由来しています。台南出身の店主は、外省人ではないですが、小さい頃から眷村のすぐ近くで育ってきました。周りの友達も外省人の子供だったため、彼らの食や習慣などに触れる機会が必然にある環境でした。
店内にはサインや空軍グッズがあります
縦に“王作榮”さんと“葉樹姍”さん2名のサイン
奥の壁面に無造作に書かれたサイン。これはココに訪れたお客さんが記念に書いて行ったもの。中には以前の法務大臣の“王作榮”さんやその乾女兒(親子のように仲のいい娘の意味)でキャスターの“葉樹姍”さんのサインもありました。他には実際に空軍兵が着ていたユニフォームや肩に付けていたワッペン、店主の友達が持ち込んだという写真、飛行機のおもちゃなども飾ってありました。空軍のワッペンは毎期違うデザインに変わります。これも実際に空軍兵だった方が、自分の家に置いていても宝の持ち腐れだからとお店に持ってきてくれたそうです。
空軍兵が着ていたオレンジのユニフォーム
老闆(店主)からきいた深イイ話
去年中国から団体のツアー旅行で来た中のひとりが壁に書いた言葉を指して、こんな話をしてくれました。「第二次世界大戦後、台湾と中国大陸は行き来ができない状態になっていました。戦争のため大陸に渡った台湾人である姜秉衡さんは、後に中国大陸で自分の家族を作りました。息子にはその話をしていたようです。あれから何年も経ち、今回そのツアーのひとりとして台湾に来た息子さんが、父の話しを思い出し、壁に書いたのが“台湾に来て、眷村の同胞に会いたかった”という言葉。ハッキリとはわかりませんが、恐らくその話の流れからその方は亡くなったかと思われます。」と感慨深げに語ってくれました。大陸に渡らざるをえなかったお父さんの思い、そして息子さんが台湾を訪れ、こうして壁にお父さんの思いを綴ったこと、ナビもこの話を聞いてとても胸が熱くなりました。
真剣な表情でいろいろ語ってくれる老闆の蘇義彬さん
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右から始まる縦に書かれた五行がお父さんの言葉
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眷村料理をご紹介!
眷村料理を中心に素食(ベジタリアン料理)もあります。
* 二空烤方 380元 (小饅頭 10元 / 1個)烤方とは、上海料理に含まれる東坡肉のことです。
台北から南西部に行った三峽の黒毛豚を使い8時間以上じっくりと煮込んで作った豚の角煮。白いパンのようなマントウと一緒に食べるのがオススメですが、ご飯と一緒でもオッケーです。煮る段階で脂肪分を飛ばしてあるので、油っぽさがなく、とても柔らかいです。見るからに美味しそうな色の多めのタレも食欲をそそります。
* 木須炒餅 130元木須と聞くと肉をたくさん使ってあると思われる方が多いようですが、木須は卵のことです。卵、白菜、キクラゲ、肉、とうがらし、そして餅と呼ばれる薄くのばしたクレープのようなものをざっくり切って入れて、炒めた中国北方地方の料理。眷村のお母さんたちは、毎日たくさんの人数のごはんを作っていたため、少しでもお金を節約しようと作った餅を入れました。そこからこの料理ができたのです。
薄くても弾力のある餅はほんのりと塩味が効いていて、他の食材ととても合います。控えめな味ですが、お箸が止まらなくなる美味しさでした。
* 夫妻肺片 200元
牛の内臓である牛肚と牛建をメインに四川花椒、にんにく、とうがらしの効いた四川料理の一品。この料理はある夫婦が発明したことから、“夫婦肺片”という料理名が付きました。もともとは牛の内臓を全て混ぜて作っていましたが、台湾人はあまり内臓を食べないということで、2種のみにしたそうです。
食べると花椒の痺れる感覚がします。香菜(コリアンダー)とネギが牛肚と牛建に絶妙に合っていて、とてもさっぱりした味わい。冷菜なので、ビールも余計に進んでしまいますね。
* 眷村豆腐 220元にんにくがたっぷり入った眷村豆腐は、豆豉(とうち)と野菜をたっぷり炒めて絡めた湖南料理。安くてタンパク質が豊富なお豆腐は、眷村料理で重宝されました。豆腐の中がふっかふかに柔らかいです。熱っいうちにほくほくしながら食べるのがおすすめです。
* 油雞 280元夫妻肺片と共にこの料理も冷菜の一品になります。台東の鶏を使い煮込んでから、雲林産の葱と油で作られた葱油でさっと揚げてあります。口に運ぶ際に葱のいい香りが漂います。
すっごーく辛いとうがらし
老闆が「辛いの、大丈夫?」とニヤリと笑い、持ってきてくれたのがこの激辛とうがらし。ナビ、辛いのが得意ではないですが、苦手でもないので挑戦してみることにしました。
ひと口、ほんのひと口齧っただけで、口の中がヒーヒーになってしまいました。これは、眷村にいたおじいちゃんたちが食べていたもので、このように料理に入れたりするのではなく、直接齧っていたそうです。ナビは料理と一緒に食べるなら、美味しいなとは思います。それにしてもおじいちゃんたち、すごい味覚です。
おじいちゃんたち、こんなに刺激のすごいものを食べるのがすごいです!
地元の台湾人のみでなく、欧米の方もこの店を気に入って多人数で訪れるのだとか。料理が美味しいだけでなく、眷村にもさらに興味が湧いたナビ、次回台南に行く時は、このお店を思い出し、空軍を意識することでしょう。
以上台北ナビでした。