レストランじゃないのに、こだわりの食がいただける不思議空間!
こんにちは、台北ナビです。
台湾で生活をしていると、日本よりも旧暦(農曆)を重視していることに驚かされます。清明節、端午節、中秋節、春節などの祝日も旧暦のため、毎年変動があります。そんな旧暦を大切にする台湾はもちろん「節気」にも重きをおき、季節を感じています。
その「節気」を感じられるお料理を提供する場所が新竹にあると聞いてやってきた「果實節氣食」。何やら独創的な住宅の中にあって、どんな場所なのかワクワクしてきました!
台湾に来てからよく聞く単語「節気」。日本では「二十四節気」と聞くことも多いですよね。立冬、春分…など日本でもおなじみの暦上の季節。旧暦を使用していた時代に季節を表すための工夫として考え出されたものだと考えられているそうです。ニュースでは「暦の上では春ですが、今日は雪がふり、寒さはまだ続きそうです。」などとよく聞きますよね?
台湾の方々は日本以上に節気を大切にしているなと感じているナビですが、「果實節氣食」を運営する「種籽設計」はまだまだ節気への認識が足りない!と考え、台中で日々料理研究を行っています。その料理研究集団(種籽設計)がそのお料理を振舞ってくれる空間が「果實節氣食」なのです。
節気を重んじる建物で「節気」を感じるお食事をどうぞ!
森の中にあるマンションのようでしょ?
「種籽設計」は普段台中にオフィスを設け、研究を行っています。予約を受けるとお料理研究家達が台中からわざわざチームを作り、新竹まで出張してくるというユニークな方式で運営されています。なぜわざわざ新竹なのかというと…この森の中にマンション建ててしまったかのような建物に秘密がありそうです。
この建物は建築会社「半畝塘」が建てた住宅マンションで、「若水」と名付けられています。「半畝塘」は節気建築の理念を掲げ、自然と融合する建物をつくりだすことで知られており、どの建物も緑に溢れています。節気にこだわりまくった空間では節気を楽しめるお料理を提供したいと考え、「半畝塘」と「種籽設計」がタッグを組み、完全予約制の「果實節氣食」を作り上げました。
完全予約制!
基本的に平日のお昼と夜のみ、予約が入れば営業するという形をとっています。1回につき1組のみという超プライベート空間です。しかし、17人以上から最大でも25人ほどの人数しか予約は受け付けてくれません。それは、ここへ来ることを理由に普段集まれない人達と集まり、食を楽しんで欲しいからだそう。
また、すべてのお料理にどんな食材を使ったかの説明をしてくださいます。目で見て、知識を深め、味わうという体験を気の置けない家族や友人と体験できるって素敵ですよね!
食べられる美術品!
山へ草を取りに行って作ったリースにパンフレットが用意されています
節気によってメニューがかわる「果實節氣食」。節気ごとにメニューのパンフレットを用意してくださるので、その日の記念になりますよ。
お水に野薑(ジンジャーリリー)を浮かべてあります。お花の香りはほんのりなので、お料理の邪魔をしないのに、お口がさっぱりします!
またお料理はひとつずつサーブされ、すべて食べ終わるまでに2時間ほどかかります。旬の食材と保存食をミックスさせた味わい深いお料理の数々を見てみましょう!
●純米米粉(ビーフン)
カクテルを入れるグラスに高く盛り付けられたビーフン。こんなおしゃれなビーフン見たことありません!これに屏東の醤油「土生土長蔭油清」と雲林のピーナッツオイル「發芽花生油」をお好みでかけて食べます。
ビーフンは100%お米から作られているものだけを厳選し、醤油は黒豆から4~6か月間自然発酵し作られたもの、ピーナッツオイルは70~90℃の低温で炒める伝統製法を採用したもの。食材、調味料どれも抜かりはありません。特に、ピーナッツオイルはさっぱりしているのに、ピーナッツの芳醇な香りが口いっぱいに広がりました。初めてピーナッツオイルを食したナビ、ピーナッツオイルに恋しちゃいましたよ~☆
●米丸子(おむすび)~薑絲鹹豬肉芒果~
台湾のお米はおいしい!ということを再認識して欲しいと作りだしたおむすび。味付けされた豚肉とマンゴーを包み、上に砂糖漬けされた月桃花がそっと飾られています。周りに飾られている細かくスライスされたドライ生姜も一緒にパクリと召し上がり下さい。旬のフレッシュマンゴーはそこまで主張せず、フローラルで爽やかな味に仕上げっているのにビックリ!
●米丸子(おむすび)~荔枝玫瑰老梅醬~
ジューシーなライチの中にご飯を詰め込んだおむすびはとっても斬新ですよね?中にはバラと梅のソースが入り、味を調え、上に置かれたわさびがピリっと効いていて、味を引き締めています。それでも、やっぱり旬のライチの存在感が半端ない!!
●油飯
台湾風のおこわともいうべき油飯は「喜びのしるし」として台湾人に親しまれているお料理。気の置けない仲間達と楽しい食事の時間を持てた喜びを表現しているそうです。油飯を分厚い椎茸に乗せ、巾着絞りに。その上に當歸花を乗せました。味がよくしみ込んだしいたけとあっさりとしている油飯は相性バッチリ!當歸は乾燥させたものを漢方薬として使用したり、スープを煮込む時にも使われていて、台湾では非常にポピュラーなものですが、お花を食べたのは初めてです。漢方の味はするけど、それほど強くなく、漢方になる前の若かりし頃の味というような感じ。
●農麵包(パン)~番茄破布子醬(トマト&イヌジシャの実ソース)
ドライトマトと白身魚を蒸す際によく使用する破布子(イヌジシャの実)から作られるソースはほどよい酸味が癖になる味です。これに新鮮な九層塔(台湾バジル)を添えてパンにのせていただきました。これでいただくのももちろんおいしいのですが、さきほど食べたピーナッツオイルの味が忘れられず、パンにつけて食べてみると、やっぱりうんま~い!ピーナッツバターをトーストに塗ると罪悪感がありますが、ピーナッツオイルを塗るだけなら、なぜか罪悪感を全然感じな~~い!この日はお財布に余裕がなかったので、購入しませんでしたが、誠品などで販売しているので、後日買おうかなぁと真剣に考えています。
もちろんパンも手作りです♪
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保存食と新鮮なものを混ぜるのが本当にお上手です!
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●茭白筍(マコモダケ)こんなに豪快で美しく飾られたマコモダケは見たことがありません!出てきた途端、周りのみんなが勢いよく写真を撮り、撮り終わったらすぐマコモダケを取っていくものだから、写真を撮るのも一苦労です。それほどまでにみんなの心をつかんだということですね~。自分で皮を剥き、6つのソースからお好みのソースにつけていただきます。
彩りも美しいソース6種はこの通り!
・玫瑰辣椒醬(ローズ唐辛子ソース)
・香菇芹菜辣油醬(椎茸&セロリのラー油ソース)
・香椿菜脯辣椒醬(チャンチン&切干大根の唐辛子ソース)
・楊桃彩椒醬(スターフルーツ&パプリカソース)
・腐乳芫荽醬(腐乳&香菜ソース)
・刺蔥馬告鹽藏(刺葱&馬告ソルト)
ナビは辛いものと香菜(パクチー)が大の苦手なので、食べられるソースが少なかったのですが、特に「楊桃彩椒醬」はパプリカ本来の甘みが感じられ気にいりました。原住民料理によく使われる「馬告」を使用した「刺蔥馬告鹽藏」はスパイシーさが癖になりましたよ。周りの方(特に女性)の感想を聞いていると「玫瑰辣椒醬」が好評でした。
●台灣味爌肉飯(豚の角煮丼)
おむすびの上に豚の角煮とウズラ卵を焼いたものを添えたおしゃれな丼もの。お弁当屋さんで見るものとはビジュアルが違いすぎます!想像より油っぽくなく、さっぱりしているに味がよくしみ込んでいましたよ~。
●筍雞湯(たけのこのチキンスープ)
新鮮な「春たけのこ」と「たけのこ」の漬物を使用としたチキンスープ。「醬筍」と呼ばれる「たけのこの漬物」を煮込むことでたけのこのうま味がにじみでて、スープに味の厚みを増しています。そして新鮮なたけのこはしゃきしゃきとした楽しい食感が感じられるのが楽しい!
春たけのこ
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白きくらげも入っていました!コリコリ~♪
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●柚五花(文旦の砂糖漬け)
一瞬五花肉(豚のバラ肉)に見えることからこの名前が付けられました。甘みの中にも少しの苦味と酸味があるのが特徴です。ナビ的にはもうちょっと酸味が欲しいなぁという感じ。このデザートは紅心芭樂茶(ピンクグァバ茶)と一緒にいただきます。名前からフルーツティのような味を想像しましたが、ちょっと漢方のような味がしてビックリ!
極力台湾の食材を使用したお料理の数々は、目と舌で楽しめるものばかり!そして、スタッフがお料理の説明とともに楽しいお話をしてくださるので、気づけば笑顔になっていました。