夜中の1時半が開店時間、これは夜食?それとも朝食?
こんにちは、台北ナビです。
台南人の朝ごはん、と言えば「牛肉湯」(牛肉スープ)!早朝から極上のお肉を求めて、かなりの早起きもいとわない、いえ、台南に住むとそれが習慣になるかも?「石精臼」という字にピンとくる方もいらっしゃるでしょう。
その昔赤崁楼の周辺は24時間営業の屋台であふれていました。いつ何時来ても台南で一番おいしいものが食べられる、そういうところだったのです。その屋台群は1980年代に、当時の台南市長の都市計画によって仕切り直されました。
石精臼の誇り
もともと石精臼の精は「舂」の意味で、それは物をつぶす工具を表し、臼はまさしく臼(うす)。なので石精臼は石臼のことで、それが赤崁楼周辺の地名で、通称「米街」(現在は「新美街」)と呼ばれました。清朝から日本統治時代は、赤崁樓横の廣安宮付近に多くの米倉と石臼があり、米を粉にするには体力もいるし腹も減る、しだいにここから「飯桌」(屋外にテーブルを出し食するスタイル)文化も発展していったのです。
都市計画で分散していった店舗は看板に「石精臼」とつけることで、由緒正しき「米街」の出身(=これぞ台南の小吃本家)と自ら謳っているわけなのです。
→こちら國華街の有名なカキオムレツの店です。
元祖石精臼の牛肉湯
が、「石精臼牛肉湯」は、昔も今もずっとここ。赤崁楼と同じ並びにあります。ナビが訪れたのは、平日の21時半だったのですが、新鮮な肉はもうあまりなくて、少し煮込んだ牛腩というのを混ぜるけどいい?と聞かれて、スープを1碗いただきました。そういったスープもナビの5人後にはもう売り切れ。そして、新鮮な肉だけじゃないといやだと言う人もいるのです。でも地元民じゃなければ、このお店の牛肉湯が食べられる、というだけで受け入れられますよね。老板(オーナー)の王石山さんがあと30分したら肉が届くからまた来てよ、と次から次へ来るお客さんに断っていきます。
メニューは、牛肉湯だけ?と聞いたら(その時はそれしかなかったので)、王さん曰く「肉燥飯もあるし、朝は牛心や牛肝、牛筋…いろいろあるさ、でも毎日その日のうちに売り切るから、特にモツ類は夕方俺の時間はもうほとんどないよ、新鮮さが命だし。食べたかったら親父がいる朝の時間だね」とのこと。なんと王さんのお父さんが朝(と言っていいのか…)1:30~11:00の担当で、こちらの息子の王さんは17:00~23:00。でもナビ近隣のお粥やさんで聞いたら、どちらも閉店前にはもうとっくに終わっているのが通常だそうで。それに、夜もお客さんが立て続けに来ていましたが、早朝はもっとすごいよとのこと。
お客さんは老板の横で注文したり
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テイクアウトはまずは肉を入れ
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スープを流し込みます
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このザル一つで、手早く準備できるんです
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さて、その肝心の牛肉湯のお味は?
肉が柔らかい、溶ける…。牛肉ってこんなにおいしいんだ…と実感するには、まず牛肉湯、ですね。極上のステーキもいいかもしれませんが、薄く切った牛肉を口にほうり込み、溶けていく前の数回噛んだ時の甘味…。がっつりほおばるステーキよりも風味が感じられます。
お好みで肉につけて
夜でこれだけおいしいので、ぜひ今度は早朝に、なんて思いました。朝が苦手な人なら、お父さんに交代する朝(いえ、深夜1時半)に夜食気分で来るのはどうでしょう?ナビもそうですが、夜なら何時でもOKという夜型人間には、この手しかないでしょう。
牛肉湯につくタレもやはり秘伝の味。牛肉はこれにつけて食べますが、まずは何もつけないでお口にほおり込んでください。タレはテーブルの上にも置いてあります。そして、酢と米酒。これらはスープにお好みで足します。
王さんが「うちの店は台湾メディアにも紹介されているんだけど、動画を撮った人がいてさ。肉が踊っているんだよ。ちょっと探して見てみてよ。」と。
それって、新鮮の度合いがすごすぎる、牛がまだ生きているって…?
味が良ければすべてよし
台湾、特に台南の老舗の食べ物屋の老板は非常に無愛想な人たちが多いです。
客が来たら気づいているのに見なかったようなふりをして、客が注文をあぐねている間は客を睨むように、或いは完全無視で待っています。注文が出たら、スープ無しかね?とか小さなサイズでいいのか?とぶっきらぼうに確認を入れます。客はビビって席に着き、ほどなくして料理がさっとテーブルに差し出される…。一口食べて、う、うまい…。老板の怖さも忘れて、料理の虜になる。そんな光景が台南のそこかしこで見られます。
この無愛想でとっつきにくい老板たちも、少しずつ話しをし始めると、徐々に態度が軟化していき、最後にはどの店でも台南に来たらまた必ず寄るんだよ、と親切に声をかけてくれます。台南て不思議、それに日本人には優しい人も多いようです。
以上、台北ナビでした。