失われつつある正統派「台湾料理」の精神を研究した、究極の台湾料理が食べられます!
こんにちは、台北ナビです。
今日は、以前中山エリアにあった「山海樓」をご紹介します。こだわりぬいた食材とレシピで作られるお料理の数々が、目と舌を存分に喜ばせてくれることまちがいなし。旅行中、1食くらいはこんな贅沢をしてもいいかなと思わせてくれるお食事が楽しめます。
高級住宅地「仁愛エリア」にお引越し!1930年代の酒樓を再現した店内で優雅な気持ちを味わえる~♪
新しい「山海樓」は仁愛路と新生南路の交差点近くにあります。台北に詳しい人なら、ここがどれだけ高級住宅地なのかわかるはず。筋金入りのお金持ちしか住めないと言われている場所です。そんなエリアに引越ししたと聞いて、家賃が大変なのになぁと心配したナビですが、そんな心配はご無用でした。というのも、ココはオーナーの持ち物で、元々この豪邸に暮らしていたのです。
レストラン部分はこの建物の1~2階を利用しています。外から見た時もすごい作りこまれているなぁと思ったのですが、お店に一歩足を踏み入れると、一昔前へタイムスリップしたような気分になります。というのも、店内は1930年代の酒樓を再現しているから。1階は2人からでも食べられるテーブル席、奥にはVIP室があります。2階は円卓もあり、グループ旅行に最適です。
2階にもテーブル席があります
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2階の個室は1930年代に有名だった酒樓の名前がつけられています
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台湾料理の真髄に迫るには「酒樓」について知ろう!
なぜ「山海樓」は1930年代にこだわるのか……。それはその頃の酒樓にあります。
酒樓とは食事を楽しみ、お酒を飲める場所というだけでなく、社交の場として利用されていました。商人はここで商談をしたともいいます。つまり日本の料亭のような存在だったわけです。ここで食べられていたのは、手の込んだ料理の数々で、その頃の日本人が台湾の味ということで「台湾料理」と呼んだとも言われています。
1930年代の台北で最も栄えていた場所のひとつ「大稻埕(迪化街)」には、江山樓、蓬萊閣、春風得意樓、東薈芳という4軒の高級酒樓がありましたが、日本の統治が終わりを告げ、酒樓は次々と廃業に追い込まれました。それに伴い、この頃に食べられていたお料理を食べる機会はどんどん少なくなってきたのです。
今、台湾料理と言えば屋台で食べられるような小吃などを連想する人が多いですが、台湾にも料亭料理があった、台湾にはまだ知られていない味と技があるということを知ってもらいたいという思いから、山海樓はその頃の酒樓の味を再現。「蓬萊閣」で技を振るっていた料理人・黃德興氏から直に10種類以上の作り方を伝授してもらい、失われつつあった1930年代の料理の数々を復活させることに成功。ここでしか味わえない魅惑の味を堪能できると、台北の美食家から一目置かれる存在です。
「GREEN & SAFE(永豐餘生技)」の食材を使用!
あまり知られていませんが、山海樓はオーガニックマーケット「GREEN & SAFE(永豐餘生技)」が経営している台湾料理屋さんです。だから、山海樓が使用する食材はほとんどがGREEN & SAFEのもの。GREEN & SAFEは元々インターネット販売のみでしたが、今では台北に数軒のオーガニックスーパーを持っています。ちなみにお鍋屋さん「斉民市集」もここが経営しています。
野菜は自家農園「南澳豐園農場」で採れたもの、基隆崁仔頂の魚や澎湖から空輸している海鮮、台湾に昔からあるという黑豬のなかでも特別に選びぬいた桃園豬と梅山豬、鶏肉も台湾早期からあるという放山古早雞を使用しています。
海の幸&山の幸!手の込んだお料理の数々に感動♪
台湾は海に囲まれ、高山のある稀有な国。海の幸も山の幸も食材として使います。原住民、福建、広東、その他中国の各省、そして日本やオランダなどの影響を受けている台湾料理はどの国の人が食べてもどこか懐かしく感じるといいます。
では、お料理をいただいていきましょう!
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人蔘豬心」は高麗ニンジンを豚の心臓(ハツ)に詰めて漢方に2日間漬けたもの。
漢方の優しい甘みがハツに染み込んでいます。
ナビお気に入りの「
甘蔗燻雞」は、台湾原生だという放し飼いされた鶏肉をサトウキビで燻製にしたもの。
スモーキーな鶏肉にサトウキビの甘さがよく合い、もうひと口、もうひと口……とどんどん手が伸びてしまいます。
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手工現灌香腸」は字のごとく手作りのソーセージです。
その昔、お金持ちが好んでよく食べていたおやつと言えば、ソーセージでした。そのため、ソーセージが上手に作られているかどうかが、良いお店の指標のひとつにもなっていました。現在、町で見かけるソーセージは赤いものが多いですが、それは亜硝酸塩を加えているから。しかし山海樓のソーセージはこれを加えていないので、茶色です。ちなみに隣に添えられた生ニンニクと食べるのが台湾式。試してみてくださいね。
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肝花」は雞卷とも呼ばれます。
そういうと鶏肉を巻いたものだと思いますが、そうではありません。豚肉や野菜などの余り物を湯葉で巻いて油で揚げた料理なんです。
台湾語で「雞」と「多的」の音が同じなので、多めに残ってしまったものを巻いたものということ。山海樓の雞卷は宜蘭式で、新鮮な豚の肝臓(レバー)を入れています。
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三色蛋中卷」は昔ながらの作り方で2ヶ月もの時間をかけて作った皮蛋(ピータン)、食塩・水・黄土を混ぜた特製の泥に40日間漬けた鴨のタマゴ、生産量の少ないニワトリの初卵を黄金比でイカに詰めたもの。
3種類のタマゴとイカの甘みがくせになります。
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達那滷鮑魚」は台湾のアワビをタイヤル族の香料「達那」と醸造醤油に2日間つけたもの。
これは日本でアワビを煮る時の方法なんですと教えてもらいましたが、アワビを煮たことのないナビにはよくわからず……。ちなみに達那は独特な清涼感がありました!
太平町玫瑰蝦680元現在の延平南路一帯はかつて太平町と呼ばれ、その付近にあった酒樓で出されていた看板料理だったことから、太平町が料理名に使われています。新鮮なエビ、カラスミ、鹹鴨蛋を湯葉で巻いています。エビのすり身、海苔、ニンニクの芽を薄く切ったもの、パクチーなども1層1層重ねていくことで、バラの花が開いているように見える美しいお料理です。
蒲瓜封880元春限定で食べられるお料理。ユウガオとニンジンを市松模様に編んでいます。野菜はどちらも自家製のオーガニックなもの。中には黒豚、アガリクス、エリンギ、ヒラタケなどの各種キノコが詰まっています。最後に上からチキンスープをかけて完成。コロンとした見た目がキュートで写真が映えます。食べるとあっさりしていますが、中に旨味がギュッと詰まっていますよ。
古早味炒米粉580元100%米粉から作られるビーフンを使用し、自家製の干しエビ、澎湖の干しイカ、原木栽培で育てられたシイタケと季節の野菜を一緒に炒めた代表的な台湾料理。いわゆるビーフン炒めですが、炒め方、油、素材の良さがあるのでしょう、上品な味で、あっさりした中にも旨味が際立っていました。
杏仁豆腐280元宜蘭の有名な總舖師である「阿海師」のレシピを忠実に再現にした杏仁豆腐は、すべて手作りです。ピーナッツとアーモンドをペースト状にして、手でかき混ぜること40分以上。ペーストと水を黄金比で混ぜると……ほかでは食べられないような柔らかいのにもちっとした食感を味わえる究極の杏仁豆腐が完成します。香料を使用していないので、自然なアーモンドの香りで、杏仁豆腐ってこんなにおいしいものなんだ!と感動すること間違いなしです。
菊花干貝湯3600元昔、よく食べられていた酒家菜(宴会料理)。薄焼きタマゴを菊の花に見立て、美しく咲き誇っているように見えて、とっても美しい!大きなホタテ、原木栽培で育てられたシイタケ、マツタケ、マテガイなどの食材から出る自然の甘みと旨味でスルスルと飲み干してしまいました。
※写真は一人前セット(蘭コース)のものです。