細く白い新竹ビーフンのおいしさの裏には、辛い肉体作業を笑顔で毎日こなし続ける、手作りビーフンの匠、郭夫妻の姿がありました。
こんにちは!台北NAVIです。今日は風の谷「新竹」にやってきました。台湾の中でも風が強いことで有名な新竹、実は名産が「ビーフン」なんです!ここ台湾ではビーフンのパッケージのほとんどには、「新竹」と書かれているのはもちろん、実は「ビーフン」というこの言葉、数少ない、“台湾語”がそのまま日本語として転用された外来語なんです (ちなみに中国語で米粉はミーフェン、台湾語ではビーフンです) 。それだけ、台湾のビーフンは有名だというところでしょうか。今日はそんな台湾名産ビーフンを90年も「手作り」で作り続けているという街の工場を訪れてみました。日本人にとっては外国の食材“ビーフン”、いったいどんな風につくられているのかな??
お店は、新竹の下町の、細い細い路地が入り組む一角にありました。えっこれが工場!?なんて思ったのは当然で、どう見ても「ガレージ」という印象が抜けない、ちょっとボロイ!?工場なんです。NAVIはもっと大きな工場を想像していただけに、かなりびっくり。お店の前には、にこやかな笑顔で奥様が待っていてくれました。
「これがうちで作っている商品だよ。新竹炊粉」と満面の笑みで紹介してくれる郭夫人。えっ、ちょっと待って!“炊粉”ってなぁに?NAVIはビーフンを取材に来たんですよ!?
実は“炊粉”とは、ビーフンの一種類のこと。まさかビーフンの中にも小分けがあるなんて思いもよらず、びっくりのNAVI。“炊粉”の他に“水粉”という種類もあるらしく、現在ビーフンと言えば、売られているのは“水粉”が一般的なんですって。
さて、“炊粉”と“水粉”の違いというと、これ比較してみないと難しいのですが、どうやら、現在の“水粉”にはコーンの粉末が入っていて、麺が太くて、黄身がかっているところが特徴です。炊粉の方が柔らかく、白く、麺も細く、繊細な味。麺が太い分、“水粉”の方がより歯ごたえを楽しめるとのことです。ちなみに写真の手前が「水粉」奥が「炊粉」ですよ。
なんと朝5時から作業開始!
NAVIがこの日訪れたのは午前10時ごろ。最初に電話をかけた時、「いやぁ、うちは朝5時から作業開始なんだよ。朝8時に来れば、大体の工程は見学できるよ。」といわれたのですが、さすがにネボスケNAVIは朝5時台に台北出発ができず、工場に着いたときは、すでに、(1)お米をとぐ作業→(2)お米を擦って米漿を作る作業(4)残りカスからお団子を作って(5)それを蒸す ここまでの一連の作業は終了していました。
お米を洗っています
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しばらく水に浸して水を吸わせます
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この機械でお米を擦って米漿を作ります。
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この作業は見られませんでしたが、このよう袋に入れて、一気に圧縮します。
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水切りした米カスを機械を使って団子にします。
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押し出した後、フィルターにはこんなにカスが!
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団子を蒸します。この辺りから、おいしそうな匂いが漂います。
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蒸した団子を、こんな風にシート状に押しのばします。
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シートを機械にセットして、押し出す@@ニョロニョロっと素麵のようなものが出てきました!
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ビーフンの素というより、生糸のよう
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そして、最後に再度蒸す!
ここで蒸すのが「炊粉」の特徴!
さて、ここからがスピード作業の「必見ポイント」蒸しあがり~乾燥
一時間ほど蒸した後、蒸し器のブザーとともに、職人たちが目の色を変えてバタバタし始めます。何段ものビーフンのザルが重ねられたこの蒸し器を、上から順にスピーディーに外していきます。これ結構重いんですよ。なんせ、水分含んでますからね。
蒸し器から下ろした後、竹網の上に蒸されたビーフンを並べていきます。実はこの工場の室内、すごい勢いで扇風機がかかっているんです。竹網のマットの隙間からは、扇風機の風が入るようになり、効率的に水分を飛ばす仕組みなっています。
並べてからも、麵と麵がくっつかないように、何度もパタパタと麺を動かします。炊粉は麺がとても細く、粘り気があるため、麺を並べる作業はここでもやはり「Speedyさ」が命です。中に蒸気がこもると、ビーフンの麺がくっついてしまって、おいしいビーフンが作れないんですって!ものすごい蒸気の熱気の中、息をのむスピードで作業が行われていきます。
この状態で、しばらく麺を寝かします。それにしても良いにおい~❤この香りをかぐと、お腹がすいてくるんです!
ものほしそうな顔でビーフンを見つめていたら、オーナーが、できたての麺を食べさせてくれました!!コメの香りが口中一杯に!やっぱりできたて程うまいものはない★
ビーフンを外に運ぶよっ!
室内でしばらく寝かしてから、今度は箸でこの形にまとめます。
そして三階の屋上まで運ぶのですぅ~。よーいショットと、軽々と運ぶおかみさん。
夏場は朝早くからお昼までが乾燥タイム。10月~11月頃が、最も風が強く、日中の乾燥に適しています。それでも、突然の雨だとか、鳥や、猫に食べられないようにとか、その日の天候の様子によって、干せたり干せなかったりすることから、この仕事は、長年のキャリアによる「カン」が大切なんだそうです。
旧正月前だったこともあり、NAVIもこの吹粉を買おうと思ったのに、もう売り切れ!!えぇぇ!しかも今作っているものも、すべて予約が入っているんだとか。とってもショック!!
そしたら、おかみさんが、「うぅぅぅん、そうだなぁ…中途半端に余っているのがちょっとあるから、持ってきな」と気を利かせて持ってきてくれました!
「ちょっと、あなた、これ見てみなさい。」といって見せてくれたのは、なんだかよくわからない台湾語と中国語で書かれた詩のようなもの。どんな意味かと尋ねたら、
『良材豚舎に使わず、良妻ビーフン家に嫁がず。毎日疲れて、顔もボロボロ、体もボロボロ。ビーフンできたら、すぐ草刈り、竹網担いで涙ホロホロ。』っていう意味だよ。ビーフン作りは、本当に体力仕事なんだよ。大変な仕事なんだよ。」
実はこの工場、手作りで時間をかけて作っている割に、一斤100元で売っています。一般ビーフンの二割増ぐらい。「…一日に作れる量も、機械生産に比べたら圧倒的に少ないのに、定価がちょっと安すぎるんじゃない?…」と思ったナビ。「もっと高く売ってもいいんじゃない?儲からないでしょ、こんな大変な作業を毎日続けて、割に合わないなんて思わないんですか?」と聞くと、こんな答えが。
「儲けようと思えば、儲けられるけれど、そんなに必死に稼いでどうするの?機械で進歩的な技術を導入しても、科学の進歩はどんどん後ろから追いかけてきて、すぐに新手のライバルが登場する。いつもいつも、「どうやって儲けようか、どうやってライバルに勝とうか」と考えていたところで、そんなの心がすさむだけ、心の安住の地はないわ。これでも、家族全員、ちゃんと毎日ご飯を食べていけるんだから、それでいいのよ。十分幸せよ。」
満面の笑みで、信念を語ってくれるおかみさん、とっても謙虚。でも、心の奥には、しっかりとした芯を持っていると感じ取れました。以上、台北ナビでした。
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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2008-07-14